SCREEN mode 雅友が語る、自身の音楽観とアニソンの未来「アーティスト発信で変えていきたい」

スクモ雅友が語る音楽観とアニソンの未来

「星野源さんはすごい好きです。でも悔しい(笑)」

ーーそうしてたくさんの音楽に触れる中で、作曲家として影響を受けたのは誰なんですか?

雅友:やっぱりめざしたいのはBARBEE BOYSのいまみち(ともたか)さんなんです。でも、いまだにああいう感じの曲はなかなか書けなくて。その他にお手本にしているのは松本(孝弘)さん、ASKAさんですね。

ーー少し話を戻して、オリラブといえば、新作に収録された「Last Train」にはちょっと彼らっぽい匂いを感じたんです。90年代渋谷系経由のソウル感というか。

雅友:確かに。これくらい跳ねてる曲は常々やりたいと思いながらも、アニソンだとなかなかやる機会がないのでアイデアを温存していたんです。個人的な作家仕事では、Kis-My-Ft2でこういう感じの曲はやってるんですけど、なかなかそれを話す機会もなくて。と思ってたら、星野源さんが出てきて、「んー、やられた!」と思って。

ーーやられたというのは?

雅友:チャート常連の人でブラックミュージックのエッセンスをきちんと落とし込む人が出てきたんだって。Suchmosも2016年の途中くらいからグングン頭角を現したじゃないですか。フェスでもすごいたくさん人を集めていて。そういうのを見ていて、J-POPのシーンが変わってきたなと思いましたから。だから後追いみたいになっちゃうなと思って、ちょっと悔しいんですよ。星野源さんとSuchmosには「はぁぁ、やられた」って感じです。僕らがデビューした3年前に今回のアルバムを出しておけば良かったと思って。

ーー「俺もそれ、できるのに」っていう。

雅友:そう。全然やりたかったことのひとつでもありましたし。

ーー時代を遡ると、小室哲哉さんやつんく♂さんもソウル感を絶妙な加減で楽曲にまぶしていたと思うんです。彼らのプロデュース楽曲をどう捉えていますか?

雅友:今のJ-POPっぽいディスコのフォーマットを作ったのはモーニング娘。の「LOVEマシーン」だと思います。小室さんはTM NETWORKの曲で「黒くなろうとしてる」みたいな曲はあったけど、そこからレイヴ音楽を始めて……からの安室(奈美恵)さんじゃないですか。だから、僕は小室さんにはスウィング感っていう部分で黒人音楽の要素をあまり感じないんですね。ブラックミュージックってグルーヴだと思うんで。でも、つんく♂さんはそこを意識してらっしゃるのを感じますね。

ーー星野源さんやSuchmosのブレイクで、そういう歌謡曲やJ-POPにおけるソウル感が変わってきたなと思いますか?

雅友:つんく♂さんや小室さんがよく使うのはダイアトニックスケールという普通のドレミファソラシドなんです。だけど、星野さんとかSuchmosのメロディーはオルタードテンションとか、ジャズのスケールなんですよね。彼らが出てくる前にも当然そういう楽曲はありましたけど、それがメインストリームではなかった。

ーー売れる音楽ではなかった。

雅友:例えばaikoさんも結構際どいテンションを使ったメロディーなんですけど、彼女はブラックミュージックではないと思うんです。白いジャズというか。でも、星野さんがやってるのはちゃんとブラックミュージック感があって、でも日本人のポジションからそれを放とうとしているのもはっきりわかる。だから「先にやられた」って思うんです。

ーーつくづく、そこに戻るんですね(笑)。

雅友:だから、すごい好きです、星野さんは(笑)。でも悔しいっていう(笑)。

ーーそういう日本人的ブラックミュージック感を今後もSCREEN modeで求めていきたいと考えているんですか?

雅友:僕たちはライブを重要視してるんですが、アニソンって特定のところに収束しつつあって、どのアーティストも曲の雰囲気がある程度似てるんですよね。そうするとライブの演出もどうしても似たような感じになりがちなんですよ。

ーー曲調が似てくれば、見せ方も似てくる。

雅友:だから、僕はそうならないよう、過去にプロデュースしたアーティストではアルバムにビッグバンドジャズの曲を入れたりとか、いろんな工夫してきたつもりなんです。大きな会場でいろんな景色を作れるようにって。で、SCREEN modeもそういうふうにしていきたいという思いがもともとある。なので、今回のアルバムがそこに向かうための第一歩になるというか、基本ロックな姿勢でも、1回こういうことをやっていれば、次に何かやっても「この人たち、こういうこともやるよね」と取ってもらえるんじゃないかと。

ーー1回違う顔を見せたことで、たとえば次にジャズをやっても「今度はそういう方向をやったんだね」と受けとめてもらえるかもしれない。

雅友:そう。次はそっちモードのSCREEN modeなんだねと。だから今後のことも見据えて、ライブの演出も見据えて、自分たちの幅を出すためにこういうことをやりたかったんです。そういう意味では、今後も今回のような要素は入れていきたいと思ってます。

ーー 一作曲家としてこういう音楽をつくりたいんだけど、SCREEN modeではそれが表現できない、みたいな。そういうストレスは感じていますか?

雅友:それはあまりないですね。確かに、やってることがずっと同じだったら飽きると思うんです。それがブラックミュージックだったとしても。いろんな要素をやっていきたいと思っていますが、今回はLantisさんの理解によって、こういうアルバムを出させてもらえた。SCREEN modeは多様性が認められている部分もあるので、今の体制でやるぶんにはそういうストレスはないですね。

ーー先程話されたように、むしろ今後はもっといろんなことがやれそうだと。

雅友:そうですね。今回こういうアルバムを作れたことで楽しみが増えましたから。そうやってアーティストとしての自分たちの底力というか戦闘能力みたいなものを高めて、その力でアニソンをもっとよくしていきたいっていう思いがあるんですよね。たとえば去年流行った『おそ松さん』というアニメの「SIX SHAME FACES ~今夜も最高!!!!!!」という曲もすごくかっこいいファンクなんですよ。でも、それはキャラソンなんですよね。アーティスト発信でそれが出てこない。そこを変えていきたいんですよね。

(取材・文=猪又孝)

■リリース情報
『SOUL』
発売日:2017年2月22日(水)
価格:¥2,500+税

<CD収録内容>
1. SOU
作曲:太田雅友
2.WHY NOT!
作詞:松井洋平
作曲・編曲:太田雅友
3.Liar
作詞:結城アイラ、林 勇
作曲・編曲:太田雅友
4.Interlude(Why do I love you so much?)
作詞:結城アイラ、林 勇
作曲:太田雅友
編曲:太田雅友、EFFY
5.True Sweet Heart
作詞:松井洋平
作曲・編曲:太田雅友
6. Never say never end
作詞:松井五郎
作曲:太田雅友
編曲:太田雅友、EFFY
7.Last Train
作詞:村野直球
作曲:太田雅友
編曲:太田雅友、EFFY

<DVD収録内容>
・リード曲「WHY NOT!」のMusic Video
・リード曲「WHY NOT!」のMusic Video ー演奏 Ver.ー
・SCREEN mode LIVE 2016 Spring「Live Naked」LIVE映像
 極限Dreamer/Naked Dive/アンビバレンス/LφVEST/アメイジング ザ ワールド/Bloody Rain/RED AND BLACK/君と僕の願いのまま/START LINE/LOVE and FAKE/ワナガナCHANGE!/Distance ~風の先へ~/Crystal Kiss/ハジマルメロディ/Brand-new land/Happiness!/Hello HALO/STAR PARK

■ライブ情報
『SCREEN mode LIVE TOUR 2017 Spring “SOUL”』

2017年4月15日(土)
愛知:SPADE BOX OPEN 17:30 / START18:00
問い合わせ先:サンデーフォークプロモーション 052-320-9100

2017年4月16日(日)
大阪:OSAKA MUSE OPEN 16:30 / START17:00
問い合わせ先:キョードーインフォメーション 057-200-888

2017年4月30日(日)
東京:渋谷 CLUB QUATTRO OPEN 16:00 / START17:00
問い合わせ先:インフォメーションダイヤル 03-5793-8878

チケット代:スタンディング ¥4,200(税抜価格)
※整理番号順入場※ドリンク代別途必要※3歳以上有料※1人1公演につき4枚まで

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