SuG、ベスト盤から振り返る10年の歩み「SuGというアートフォームの中でなら何でもあり」

SuGが振り返る10年の歩み

新しい扉を開いた「sweeToxic」

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Chiyu(Ba)

ーー次の「KILL KILL」(2016年11月2日)は、メジャー2枚目のミニアルバム『SHUDDUP』収録曲であり、最新シングル曲ですね。ツイキャスでの緊急生配信で、歌詞のアイデアをファンに募って話題になりました。

武瑠:そういう意味でも、ファンと一緒に作ったという気持ちが大きいですね。制作段階から楽曲を見せていくという、新たな試みも印象に残っていますし、ずっと一緒にやりたかった増田セバスチャンさんにMVの監督をお願いしたりして、とても思い入れのある曲です。あと、歌詞が原因でUSENで流せなくなったのも、話題作りという意味では思惑通りでしたね(笑)。

ーーこの曲は「怒り」がモチベーションで生まれたとおっしゃっていましたね。

武瑠:僕は「怒り」のエネルギーが、他の人の10倍くらいあるんですよね。イライラすると歯噛みするので、奥歯とか10箇所くらい割れてる(笑)。体に支障が出るくらい「怒り」が湧くんですよ。年末に頭にくることがあって、今も3カ所くらい割れてるし。

Chiyu:お前、ヤベエな(笑)。

武瑠:それがポップな楽曲へと昇華されてるから、音楽をやっててほんと良かったと思います。

ーーメジャー9枚目のシングル『sweeToxic』(2012年9月19日)表題曲はヘヴィなダンスチューンで、SuGの音楽性が広がった感がありますよね。

武瑠:ですね。この曲は新しい扉を開いた感じが自分たちでもありましたし、周りの音楽的評価も変わった気がします。

Chiyu:実はこれ、Folder5と、太陽とシスコムーンにインスパイアされて作った曲なんですよ(笑)。関係者とか、バンド仲間にもすごく評判がいい。動画再生数も、海外からのアクセスも多かったんですよね。「こういう曲をやってもいいんだ」と思って嬉しかった。

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shinpei(Dr)

shinpei:海外ではインディーズ時代の楽曲と、最近だと「sweeToxic」が人気あって。MVも含めて、SuGのイメージってこんな感じなのかなと。

武瑠:この曲は、おそらく男性にウケがいいだろうなと思ったので、MVはあえて女の子たちに喜んでもらえそうな可愛い雰囲気にしたんですよね。そういういろんな要素が入ったゴチャゴチャ感が「SuGらしさ」につながっているのかもしれない。

ーー「Vi-Vi-Vi -Rebirth ver.-」(2008年5月14日)は?

武瑠:オリジナル・バージョンは、インディーズ時代に出した4枚目のシングルなんです。この曲が入った僕らの最初のフルアルバム『nOiZ stAr』は、今考えると超駄作(笑)。色々トラブルがあって、制作期間が全然取れなかったんですけど、そういう状況で納得のいくものを作り上げるだけの力量が、当時の自分たちにはまだなかったんですよね。

yuji:出来上がった時には、そこまでひどいアルバムだと思わなかったんだけどね。しばらくして聴き返してみて唖然とした(笑)。でも、そんな中で「Vi-Vi-Vi」はずば抜けて良い曲だったから、メジャーデビュー後に再録してシングル『不完全Beautyfool Days』初回限定盤Cに収録したんです。

武瑠:「Vi-Vi-Vi」は誰が聴いても名曲なのに、当時は思ったようなリアクションが得られなくて。「やっぱり俺たちはインディーズじゃなくて、メジャーで勝負すべきだ」と改めて思いましたね。自分たちの音楽を、どうやって届けるべきかについても改めて考えさせられました。

ーーこうやって初期から最近までの楽曲を「ベストアルバム」という形でランダムに聴いていると、SuGのメロディセンスやポップ感覚が、最初から全くブレてなかったんだなということに、改めて気付かされますね。

武瑠:多分、やりたいこと、やろうとしてたことはずっと同じだったんですけど、納得のいく楽曲を出せる確率が、初期はまだ低かったんでしょうね。なので、アルバム単位で聴くとムラがある(笑)。

Chiyu:当時はやり方がまだよく分かっていなかったのかもね。アイデアは頭の中にあっても、それを具体的な形に落とし込むスキルがなかったというか。それを、Tom-H@ckさんと出会って教えてもらったり、手探りで進みながら、自分たちなりに身につけていったりした10年でした。

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masato(Gt)

ーー「桜雨」は、ミニアルバム『VIRGIN』(2016年3月9日)のリード曲でしたね。

武瑠:この曲は、活休した直後にサビのメロディと歌詞が浮かんできて。温めておいたものです。元々は、僕のサイドプロジェクト「浮気者」のために書いていたんですけど、「浮気者」の活動がなくなったので、SuGの選曲会に持っていって採用された曲。

Chiyu:このMVは、バンドの演奏シーンがほとんどなくて、ストーリー仕立ての映像が中心になっているんですけど、「こういう見せ方もあるな」と思わせてくれた楽曲ですね。僕らが演奏しない曲があってもいいし、SuGというアートフォームの中でなら、何でもありだなと。そういうのって、普通のV系バンドではあり得ないことだと思うけど(笑)。

SuG「桜雨」

ーー「無条件幸福論 -Rebirth ver.-」(2010年11月17日)は、「DVDシングル」としてリリースするという、ちょっとイレギュラーな楽曲でした。

武瑠:この頃は、SuGのグチャッとしたポップさを前面に打ち出そうとしていた時期だったので、普通の恋愛をテーマにした楽曲を出すのが嫌だったんですね。その結果、こういう形でリリースすることになったんですけど、今考えると普通にCDシングルを作っておけば良かったと思います(笑)。

shinpei:バラードをシングルで出すっていうことへの抵抗感もあったんだよね。

武瑠:そう。実はまだ、バラード曲ってシングルでは1枚もないんですよ。

masato:何度か出す機会はあったんだけどね、「今は違うだろう」ということになって流れるパターンを繰り返してる。

武瑠:バラードに合うような映像が思いつかないんですよ。結局そこなんですよね。常に「いい映像が撮れるかどうか?」で、シングル曲を選んできた気がします。考えてみれば、19歳の時からずっとそのやり方なんですよ。我ながらよく続けてきたなあと(笑)。

ーー「teenAge dream」(2015年7月15日)は?

武瑠:この曲は、退院して3日後に作った曲なので印象に残っています。扁桃腺の切除をして、声が出ない状態で作ったら面白いんじゃないかと。比喩でもなく、本当に血を吐きながら作ったんですよ(笑)。

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