テレビCMの好感度は“音楽”がカギ? au、docomo、SoftBankを軸に検証

 また、これまでの3社の一貫したCM楽曲の傾向を比較する。

「auはかつて『LISMO』や『音楽配信』のCMキャンペーンソングとして起用した絢香、flumpool、ORANGE RANGEなど、後に大ブレイクしたアーティストを輩出しました。また、OASISやレディー・ガガ、ダフト・パンク、きゃりーぱみゅぱみゅなど、音楽と映像がマッチしたヒットCMがあります。長い時間軸の中で、auとdocomoの使用する音楽は似ている点がありますが、3社の中で、音楽をフックにしたCMのヒットが多いのはdocomoです。青山テルマ、 One Direction、SPICY CHOCOLATE、ONE OK ROCKなど若年層に人気の高いアーティストを起用したり、発掘する傾向がみられます。また、SoftBankはキャメロン・ディアスやブラッド・ピットがCM出演していた時期には、The Nolansやオリビア・ニュートン=ジョンなど、かつて大ヒットした有名な洋楽を使用していたことがあります。邦楽の使用曲についても『懐メロ』が多く使用されおり、若年層と同時に、親世代に向けた幅広い年齢層にもアピールする狙いがあると思われます。昨年末、SMAPの解散に際しては、およそ6年間のさまざまなCMシーンを『オリジナルスマイル』に乗せて60秒に編集し、『今まで本当にありがとう』篇として1回だけ放送しています。その粋な計らいには、視聴者から多くの感動コメントが寄せられました」

 今シーズンに放送されている3社のCMの中でも特に話題を集めているというSoftBankのCMについて、今後の影響について分析する。

「まず、“ジャスティン・ビーバーをCMに起用”したことが、1つのニュース。また、ピコ太郎を一躍世界的に有名にしたジャスティン本人と、ピコ太郎との共演も大きな話題です。2017年2月後期の『CM好感度調査』において、このCMは、幅広い女性層から支持されています。ターゲットの若年層からは、『本当にCMに出ると思わなかった』という驚きの声が多く、『かっこいい』『歌が好き』と出演が歓迎されています。中高年の女性層にもジャスティンへの認知度は高いですが、『初めて歌を聴いた』とのコメントもあり、歌を聴き直すなど、シンガーとしてのジャスティンに再度注目が集まるのではないでしょうか。また、ジャスティンがSNS上で発信すれば、さらに話題が拡散してCMへの注目度も高まると思われます」

ソフトバンク CM SUPER STUDENT 「学校」篇A (60秒)

 元々人気のあるアーティストの出演だけでなく、新進アーティストの認知向上にも一役買ってきたテレビCM。多くの企業が「若年層」をターゲットにしていることを踏まえると、今後も若手のロックバンドやシンガーの起用は続きそうだ。

(文=大和田茉椰)

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