BAND-MAIDが、充実の2016年を経て見出したバンドの芯「今までとは違った“強さ”も見せたい」

BAND-MAIDが見出したバンドの芯

「よりライブ映えする楽曲が多くなった」(彩姫)

ーーそしてついに1stフルアルバム『Just Bring It』がリリースされます。これまで発表してきたミニアルバムは10曲まで満たない程良い長さでしたが、今作は全13曲収録。収録曲数が増えることで、聴かせ方も以前とは違った工夫が必要になるのかなと思いますが?

小鳩:そうですね。フルアルバムを作るんだったら、自分たちが今まで見せられなかった、ちょっと今までのBAND-MAIDとはタイプの違う楽曲に挑戦できるチャンスかなと話して。それで最初にできたのが、11曲目の「Awkward」だったんです。

KANAMI:基本的にBAND-MAIDの楽曲制作では、まず私がメロディやリフ、大まかな構成を考えてみんなに投げてるんですけど、この曲は最初にメロディをメンバーに提出したときに、MISAが「すごい! これやりたい!」とめっちゃ食いついてきて。その時点ではまだアレンジ前だったので、「だったら一緒にやってみる?」とアイデアを出し合ったんです。それもあってか、以前とはちょっと雰囲気が違うのかもしれませんね。

MISA(B):「Awkward」は普段自分が好きな音楽と近い匂いがして。最初に聴いたときはその空気感に惹かれて、それでアレンジしたいと申し出たんです。

ーーこの曲、リズム隊のアンサンブルがめちゃめちゃカッコいいと思いました。

MISA:本当ですか? すごく繊細なリズムで、私も気に入ってます。

AKANE(Dr):Aメロは特に3点(バスドラム、スネア、ハイハット)を中心に構成されているので、激しさよりも繊細さにこだわりました。ハイハットのニュアンスも結構難しかったんですよ。これは私たちにとっても成長の1曲ですね。

ーーそういう、バンドにとって新境地的な楽曲から制作が始まったんですね。さっきSAIKIさんが「BAND-MAIDらしさ」と口にしましたが、新しい側面を見せつつも、BAND-MAIDとして守るべき芯の部分とのバランスも考えたということでしょうか?

彩姫:そうです。話し合うことでメンバー間で共通の認識を持って、制作を進めていったんです。

ーー全体的にヘヴィさが強まった印象がありますが、ところどころに「Awkward」のような気だるさの強い楽曲や「OOPARTS」みたいにポップな曲も入ってきて、そこでメリハリをつけている。結果、13曲通して聴いてもダレることがないんです。

彩姫:飽きないようにというのは、常に意識してました。

小鳩:曲順は基本この2人(小鳩、彩姫)で考えたんですけど、1曲目から続けて聴いて楽しめるような曲順はかなり意識しました。

ーーしかも、今作では全13曲中9曲がBAND-MAIDによる作曲ナンバー。前作『Brand New MAID』のときは「alone
1曲のみでしたが、先日のシングル『YOLO』でも3曲すべてがバンドのオリジナル曲でしたし、そこでの成長も感じられて興味深かったです。

KANAMI:いやぁ、ここまで採用されると本当に嬉しいですね。

小鳩:アルバム用に楽曲コンペを開いたんですけど、そこで自分たちで作った曲を多く出せて、しかもたくさん採用されたというのは自信につながりました。

ーー曲作りやアレンジにおいて、海外でのライブや初の全国ツアーの経験は反映されていると思いますか?

小鳩:ツアー中に制作を進めていったので、そこでの生の声というのは少なくとも入ってきてるんじゃないかな。

彩姫:その土地土地のご主人様、お嬢様の反応を見ながら、「こういう感じが好きなんだね。じゃあもっとこっちで攻めようか」も確認できたし。そういう意味では、よりライブ映えする楽曲が多くなったんじゃないかと思います。でも、作家さんに提供していただく楽曲も大事で、アレンジを聴いて勉強することも多いですし、いい刺激になってますね。

小鳩:自分たちが思いつかなかったアイデアもあるので、「これを吸収しちゃおう」とか話したり(笑)。なので、第三者が考えるBAND-MAIDの曲というのもすごく大事だなと思ってますっぽ。

ーー皆さんそれぞれ、今回のアルバムで特にこだわったパートや注目してほしいポイントはありますか?

MISA:私は普段5弦ベースを使ってるんですけど、さっき話に上がった「Awkward」では唯一フェンダーの4弦ベースを使っていて。サビまでのフレーズも何パターンも考えて、いろいろ詰めまくってる1曲なんですよ。

ーーベースだと、7曲目「Take me highter!!」のスラップもカッコいいですよね。

MISA:ありがとうございます!

KANAMI:あそこは「ベースきた!」じゃないですけど、ソロっぽいのを入れたいねみたいな話があって考えたんだよね。

ーーあのスラップからのベースラインへの流れが、すごく気持ち良いんですよ。

MISA:演奏する側も気持ち良いですよ(笑)。あと、2曲目の「PuzzleにはKANAMIと私のユニゾンパートがあって。サビで速弾きをするんですけど、そこは結構苦戦しましたね。もともと速弾きに対して苦手意識があったんですけど、練習を重ねてレコーディングまでになんとか弾けるようになりました。

AKANE:私は挑戦というか、3曲目の「モラトリアム」が一番の強敵でした。この曲はスネアとバスドラのコンビネーションがすごく大切になるので、一番集中力を研ぎ澄まして叩いていて。だから『Just Bring It』(「かかってこい!」の意)ってタイトルは、「モラトリアム」に言われてるような気がしているんです。

ーーそれだけ気合いが入った1曲だと。

AKANE:はい。それと「Puzzle」はリズム展開がすごく多いんですけど、これは彩姫からのアイデアで。1曲通して飽きないようなアレンジに仕上がっていて、結果自分の引き出しを増やすことにつながったと思います。

ーー今作ではリズムのパターンが増え、聴かせ方も以前と変わってきてますよね。

AKANE:はい。それこそ13曲目の「secret My lips」もそうですけど、1曲通して展開がコロコロ変わる曲が今回は多いので、コピーする人は大変だろうなと(笑)。

ーーコピーする人に対しても「かかってこい!」と。

AKANE:まさにその気持ちです(笑)。

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