>  >  > スカパラが体現した「日本人のスカ」

「宗像明将の現場批評〜Particular Sight Seeing」第33回 東京スカパラダイスオーケストラ『Paradise Has No Border』

東京スカパラダイスオーケストラが貫いてきた「日本人によるスカバンド」という軸

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 会場で沸き起こるスカダンスの嵐。1960年代にジャマイカで生まれたスカが、これほどまでに日本の聴衆を熱狂させることを、東京スカパラダイスオーケストラは私に見せつけた。それは、彼らがライブハウスツアーを選択したからに他ならない。東京スカパラダイスオーケストラのライブハウスツアー『Paradise Has No Border』は、2016年11月23日に新木場Studio Coastの東京公演で中盤を迎えた。

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 新木場Studio Coastを埋め尽くす超満員のフロアにザ・スカタライツの「Reburial」が流れると、メンバーがステージに登場。彼らの演奏で踊るフロアは、さながら「日本のスカシーン」を体現するものだった。そう、1989年にアナログ盤『TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA』をリリースしてから27年、どんなにヒットを飛ばしても彼らは「スカバンド」であり続けてきた。この日は「ちょっとただごとではない」と感じるほどの熱気だったが、そこにライブハウスツアーを行った意義はある。聴衆が自由に踊れるのだから。

 ライブの随所には「沖祐市の世界」という、キーボードの沖祐市によるジングルのようなコーナーも挿入されていた。そして、今回のライブハウスツアーは、ひとつの公演が4つのセクションにわけられており、会場ごとにそのセクション内の選曲が変わる趣向なのだという(この新木場公演のときはそうであるが、常に進化・変更を繰り返すバンドだけあって、ツアー後半はどうなっているか分からない)。東京スカパラダイスオーケストラは、25公演にも及ぶツアーでそれを行なっているのだ。

 たとえば2番目のセクションでは、ギターの加藤隆志が中心になっていた。特に、加藤隆志がBOØWYの「BAD FEELING」に合わせギターを弾き、咆哮するかのような演奏を聴かせたのには驚いた。

 3番目のセクションは、テナー・サックスのGAMOが中心。そこで始まったのが、小沢健二の「ぼくらが旅に出る理由」だ。まさかこの日のライブで聴くことになるとは思わなかったが、原曲のホーン・アレンジにはトロンボーンの北原雅彦が参加していた。そして、ボーカルをとったのはドラムの茂木欣一……! 「ぼくらが旅に出る理由」を収録した小沢健二のアルバム『LIFE』がリリースされた1994年当時、茂木欣一がフィッシュマンズに在籍していたことを知る者には、なおさら胸に迫るものがあっただろう。

 誤解のないように書くが、BOØWYや小沢健二のカバーは、決して懐メロとして演奏されていたわけではない。東京スカパラダイスオーケストラというバンドは、「日本人によるスカバンド」としてスカに深く根差す一方で、大衆性も充分に持ちあわせている。そして、カバーされた楽曲のひとつひとつは、現在の彼らを作ってきた軌跡であったのだ。

      

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