HOWL BE QUIET、リアルを歌うことで引き出された意識「僕らの武器は“歌”だと改めて気付けた」

HOWL BE QUIETの“歌”という武器

「楽曲として『これがいい』と感じたところに突き進む」(岩野)

HOWL BE QUIET「Higher Climber」

ーー2曲目は先ほども話に出ていた「Higher Climber」。「Wake We Up」に続きTVアニメ『DAYS』のオープニング主題歌ですが、アニメの楽曲を手がけたことでこれまでとは違うリアクションもあったのでは?

竹縄:音楽のカルチャー以外の人たちも見ていますからね、アニメは。自分たちのお客さん以外の人たちに届いているのはすごく新鮮だし、嬉しいです。

黒木:楽曲に関してはもちろん『DAYS』との連動性もあるし、今回のオープニングの映像も本当に素晴らしくて。僕達も当然「最高の曲が出来た」と思っているし、そこでケミストリーが起こせているのは良かったですね。『DAYS』のイベントに出演させてもらったり、声優の方々とも話をさせてもらって、お互いにわかり合えたうえで今回のオープニング主題歌も任せてもらえて。そういう関係が築けたこともすごく嬉しいですね。

竹縄:『DAYS』の1期は(アニメに登場する“聖蹟高校サッカー部”が)負けたところで終わって、第2期は負けたところから始まって。逆境に立ち向かう気持ちも描けたし、前回よりも竹縄航太の歌、HOWL BE QUIETの音楽というものを詰め込めたと思います。

黒木:これはシングルに入っている3曲に共通していることなんですけど、竹縄の声のダビングがすごく多いんですよ。3曲合わせると300本くらい歌ってるんじゃない?

竹縄:そうかも(笑)。

岩野:めちゃくちゃ入ってるからね、ホントに。

黒木:声で空間を埋めていくというか。竹縄がいろんな声で歌っているレコーディング現場もすごくおもしろかったし、曲の雰囲気もすごく変わって。それは僕らにとっても発見でしたね。今回のシングルもたぶん「ジャンルの共通点がわからない」って言われると思いますけど(笑)、アレンジにおいては、ボーカルの多重録音感という共通点があるんですよね。

ーー声のダビングを増やしたのはどうしてですか?

竹縄:今回のシングルはJeff Miyaharaさんにプロデューサーとして入ってもらっていて。声をたくさん重ねたのもJeffさんとの話のなかから出て来たアイデアなんですよ。さっき黒木が言ったように「自分の声を重ねるとこういうふうに聴こえるんだ」という発見もあったし、いい化学反応が生まれたかなって。それがシングルの核になってますからね。

橋本:「Higher Climber」は全編シンセベースなんです。フレーズや入れ方に関してもJeffさんと打ち合わせしながら打ち込んでいって。テンポがハーフになるところだったり、4つ打ちのパートによってもフレーズが違うし、「シンセベースって、こんなに奥行きがあるんだ?」ということにもビックリしましたね。僕はずっと生のベースを弾いてきたし、シンセベースの音を追求してきたわけではなくて。今回のレコーディングは勉強になりました。

岩野:HOWL BE QUIETの特徴であり、僕自身も好きなところは“やり切る”ということなんですよね。セルフプロデュースであってもプロデューサーと一緒に作っても、実際にライブで出来るかどうかではなく、楽曲として「これがいい」と感じたところに突き進むっていう。デジタルサウンドがいいと思えば徹底してやるし、「サネカズラ」みたいに生楽器中心のアプローチもあって。「Higher Climer」もまさにそうで、最初のスタジオの段階から方向性がハッキリしてたんです。アレンジが出来るまでの時間も最短だったんじゃないかな。

ーー3曲目の「Dousite」はアコギ、ホーンセクションを軸にした軽快なポップチューン。1曲目、2曲目とはまったく違うカラーの楽曲ですね。

竹縄:そうですね。「Dousite」はいちばん最近出来た曲なんですけど、この曲を書いたきっかけは『Wake We Up』のミュージックビデオの撮影なんですよ。「Wake We Up」のミュージックビデオと“その後”みたいな5分くらいの映像が収録されているんですけど、そこで何か新しい曲をやろうって話になって、10分か15分くらいでワンコーラスだけ書いたのが「Dousite」なんです。シングルに入れるつもりはなかったんですけど、メンバーもスタッフ、それから自分のなかの評判もすごく良かったから、1曲分作って収録することになって。

黒木:すごくハードな撮影の最中に「このメロディが……」って。初めて見ましたね、曲を書いてるところを。しかも僕は2ndシングルの映像でそういう企画があることも知らず(笑)。

橋本:「いいね、誰の曲?」とか言ってましたから。「いま作ってるんだよ」って言われて「え、そうなの?」って(笑)。

竹縄:(笑)。アコギを弾きながら作ってたんですけど、そのときの雰囲気は仕上がりのアレンジにも残ってますね。歌っていても気持ちいいし、気に入ってます。

ーー<ずっと一つも進歩していない/ダメダメな僕がここにいるんだ>という歌詞があったり、この曲もかなり等身大ですよね。

竹縄:皮肉というか、後悔というか。この曲も自分のことを吐き出してますよね。そんな大げさな話ではないんですけど、素直に曲が書けているし、今のテンションはいい感じですよ。

『サネカズラ』ダイジェストトレーラー

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