横山健が語る、Hi-STANDARDの新たなロマン「ハイスタじゃないと得られないものを体験したい」

横山健が語るハイスタのロマン

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「全部ハイスタだからできた」

一一10月にリリースした『ANOTHER STARTING LINE』と今回のカバーシングルは、同時に制作されたんですよね。

横山:そう。カバーシングルに関しては、4曲目の「Happy Xmas(War Is Over)」(ジョン・レノンのカバー)を97年に録っていて。俺この音源がすごく好きで、これを正式に、今聴けるフォーマットでリリースしたかった。それが最初の発想かな。同じようなレア音源として「Money Changes Everything」があったし、さらに新録2曲を入れて4曲入りのシングルにしようと。『ANOTHER STARTING LING』の新曲4曲とはまたコンセプトの違う、二つの違うものとして、ちゃんと出そうと思ってた。

一一古いポップスのカバーが多いのも、相変わらずハイスタらしいです。

横山:うん、そこはほんと趣味。そういう曲が心底好きなんだと思う。あと2曲目の「You Can’t Hurry Love」(シュープリームス「恋はあせらず」のカバー)は、実は『Growing Up』より前の頃にハイスタで何度かステージでやったことがあって。俺たちにとっては意外とお馴染みの曲だったの。それをまたやってみた。

一一ハイスタは、そういう無邪気な趣味の部分と、戦略とかメッセージのバランスが絶妙なんですよね。特に『ANOTHER STARTING LINE』のゲリラ発売。やられたなぁって。

横山:ふふふ。これはね、俺のアイデアではあるけど、でもみんなそう思ってたっぽい。90年代に7インチを店頭のみ無告知で置く、いわゆるゲリラ発売を2回やっていて。今回の新作も「メンバーみんなそこ見てるんじゃないかなぁ? 今やるべきか言えずにいるのかなぁ?」って思ってた。それでミーティングの時に俺から「ノンプロモーションでやろうよ」って言ったの。

一一それは、Hi-STANDARDだからできること。

横山:Hi-STANDARDだからというより、16年間音源をリリースしてなかったバンドだからできること、かもしれない。10年以上もリリースなくて何の予感もないまま、いきなり出されたらみんな焦るでしょう? だからコンスタントにリリースしてるバンド、ずっと続いてるバンドがやってもこうはなんなかった。Ken Bandがやっても違うだろうし。この『ANOTHER STARTING LINE』がなかったとして、Ken Bandの次回作をノンプロモーションで出したとしても「……へぇ~」で終わってたと思う(笑)。そういったところも含めて、全部ハイスタだからできた、とも言えるけど。

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一一嫌らしい言い方ですけど「ハイスタの有効な使い方を、メンバー3人が一番わかっている」と思いました。そういう感覚ってありますか。

横山:……いや? なかった。ここまで響くとは想像もしてなかったし。ほんとに。発売日が10月5日でしょ? もともと自分の持ってたイメージって、4日の夕方くらいに店員さんが謎の箱を見つけて「これ、明日棚出しって書いてあるけど何だ?……わ、ハイスタだ!」っていうものだったの。そういう店員さんがいるかなぁ、と思ってツイッター見たぐらい。

一一そしたら午後からずーっと大騒ぎ(笑)。

横山:そう。ほんとに。AIR JAM2011の発表の時もそうだったけど、なんか一瞬、指名手配されたかのような怖さ(笑)。「俺やっちゃったかも!?」感がまずあって。今の時代、話題になることって決していい面だけではないでしょう? だから話題になっていることの質をちゃんと確かめられるまでは喜べなかった。みんな喜んでくれてる、あぁやって良かったんだ、って思えるまでに数時間はかかったかな。

一一拾った声、届いた声の中で、特に印象に残ったものはありますか。

横山:……そうだなぁ。いくつもあるんだけれども。一番今印象的なのは若い子たちが「Hi-STANDARDの新譜を手にするとは思ってなかった!」って言ってる喜びの声。もちろん昔から聴いてて、待っててくれた人が新譜を手に取る様子は想像できるじゃない? でもそういった若者たちがいることはあんまり想像してなかったから。それは俺、嬉しかったかな。『Making The Road』じゃなくて、2016年の新譜を手にするっていうの……なんかロマンがあるなって思ったな。

一一不思議ですよね。若い世代がメロディック・パンクをよく聴いているかといえば、現状は決してそうではない。彼らはハイスタに何を見出しているんだと思いますか。

横山:「こんな騒ぎになってるんだからどんだけスゲェんだろう?」っていうのを確かめたかったんじゃない? わかんない。伝説とか言われても、もちろん「そういう枕詞をつけるほうがわかりやすいよね」とは思うけど。でも……自分で自分のことを伝説だって思うのは相当ハードル高いもん(爆笑)。

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