I Don’t Like Mondays.が『FASHION』ツアーで示した、作家性と享楽性の両立

アイドラが提示した、作家性と享楽性の両立

  「バンドという形の中で、自分たちができることはすべて表現していきたい」。そんなテーマを胸に、9月にリリースされた2ndアルバム『FASHION』では、デビューから2年の間に音楽やファッションなど様々な要素を横断して確立した自分たちの「流儀(=fashion)」を反映し、これまで以上に多彩な表情を作品に詰め込んだI Don’t Like Mondays.。彼らによるキャリア初の全国ツアー『I Don't Like Mondays. “FASHION” 1st Tour』の最終日となった東京・Zepp DiverCity公演は、現在のバンドの魅力が凝縮された一夜となった。

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 今回のツアーの重要なポイントは、2015年リリースの1stアルバム『TOKYO』や、これまでのシングル群を筆頭にしたキラー・チューン満載の楽曲の中に、『FASHION』で達成した多様性を加えることで、ライブ全体に豊かな起伏が生まれていたこと。自身最大となる2000人以上の観客が詰めかけたこの日は、新作のタイトル曲「Fashion」からスタートすると、序盤は70年代ディスコやファンクを思わせる「PERFECT NIGHT」や「BADMAN」など、『TOKYO』や2014年リリースのミニアルバム『PLAY』の楽曲を次々に披露。早くもダンスフロアと化した会場を「超いい景色! 今日は普段の嫌なことやネガティブなこと、全部ここに置いていってください」と悠(Vo.)が煽り、以降も「Sorry」やコール&レスポンスを駆使した「SUPER SPECIAL」で盛り上げる。そして中盤では一転、テンポをぐっと落とした「Stranger」や弾き語りの「Marry me」でグルーヴに緩急をつけることで、ライブに深い余韻やメリハリ、そして瞬間の爆発力が生まれ、今や女子を中心にしながらもカップル、もしくは男子にまで広がりつつあるファンと「ポップであれば何でもあり」を地で行くような多様性を作り上げていく。この雰囲気は、現在の彼らのライブならではの魅力と言えるものだ。

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 それを象徴するのが、中盤に用意されたセレクトショップ「RESTIR」とコラボレーションしたファッションショーだった。メンバーが一度舞台から去り、ステージ奥の高台に作られたランウェイに照明が当たると、テクノ/ハウス・ベースのBGMに乗せてモデルが登場。本格的なショーが展開されていく。直後に演奏した「Crazy」ではランウェイに登場した悠が数メートル下に陣取った他メンバーとステージをタテに広く使って会場を沸かせるなど、全編にライブならではのアイデアがふんだんに詰め込まれ、一瞬たりとも観客を飽きさせない。その様子はまるで、バンド形式の可能性を最大限に引き出した一大エンターテインメントだ。

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