ラックライフ PONが語る、ポップであり続けることの自負「キャッチーは正義やと思ってる」

ラックライフPONにとっての“ポップ”とは

「楽しかった後にある空白の瞬間に哀愁というか寂しさが生まれる」

――歌詞作りの話がすごく印象的だったので、より掘り下げられればと。ラックライフの楽曲は、すごく言葉を大切にしているなと、作品が出る度に思います。PONさんは、ありのままの自分を描くことが多いですよね。

PON:自分に嘘偽りない歌を作る。これは僕の最大の武器であり、誇りなのかなぁと思っていて。

――自分を信じているからこそ、真っ直ぐな言葉を紡げる、と。

PON:自分を信じているというよりは、周りを信じている方が強いのかもしれません。振り返れば、ダメダメな自分なんですけど、それでも僕が信じる周りの人が、僕のことを信じてきた。そんな自分を信じたい、という気持ちですね。

――歌詞を書く上で、一番言葉がでてくる瞬間というのは、どういう時ですか?

PON:満たされてない時に出てくることももちろんあるんですけど、一番は心が充実している時ですね。例えば、明日も朝早いのに、友だちと話が盛り上がりすぎて、コンビニの前で2時間立ち話しちゃったみたいな。作るのは一人なんやけど、黙々と部屋に籠って作業するより、誰かと会って、喋って何かを想った後の隙間に生まれることが多くて。皆と別れて一人になり、楽しかったと思えた後に生まれる空白の瞬間に、哀愁というか寂しさが生まれるんですよね。

――滑り出しはネガティブな言葉が多いのですが、そこから、反転してのポジティブへと着地するのが、PONさんの言葉の“らしい”ところですよね。

PON:自分が前を向きたいがために最後は明るくいこうというのは、自分にとっての希望でもあるし、せっかく音楽をやってるんやから、聴いてもらう人をガクッと落ち込ませてどうするんだという気持ちがあって。自分がやるからには、聴いた時に少しでも「やったろか」という気持ちになってもらいたい。個人的にドン底まで落ち込みたい時にメッチャ暗い曲を聴くのはもちろんあるけど、“ラックライフ”という名前を冠したからには、俺らがドンヨリさせるのは違うなと。

――また、ラックライフの歌詞で面白いのは、英語を一切使わないところ。

PON:だって、英語全然わからないですから(笑)。これだけ曲を書いてきたのに、今まで使った横文字が「One Two Three」「Hey! Mr.~」「Hey! Boy~」の三つ(笑)。

――三つ! しかもそのうち二つは「Hey!~」絡み。

PON それぐらい分かるヤツやないと(笑)。英語なんて普段つかわないじゃないですか。自分の普段使っている言葉じゃないと、作りものになってしまう気がしていて。ウソはつきたくないし「普段そんな言い回しせんのに、何自分カッコつけてんの?」と、冷静になるんですよね。

――悪い意味での背伸びが一切ないですよね。

PON:ないですねぇ。夢についてのことは書いたりしますけど、そこに抽象的なフレーズを入れることもしないし、妄想もない。歌詞のほとんどは実話で、この歌詞の“あなた”は誰で、あの場所はここと、全部一つひとつに正確な想いを込めた曲たちなんですよ。むしろリアリティのみ(笑)。

――曲作りに関しても伺います。PONさんの作られる曲は、言い方は悪いかもしれませんが“キャッチー”であり“ポップ”ですよね。

PON:メッチャ褒め言葉! 僕は完全なJ-POP世代だから“キャッチー”、“ポップ”は正義やと思ってるし、それに勝るものは何もない。誰もが一聴して「いい」と思ってもらえるぐらい、スッと馴染む音じゃないとイヤなんですよ。「これ、やったらカッコイイんちゃう?」と思って作った曲は、おおむねAメロ~Bメロ~サビという、「このメロきたら、この展開でしょ!」という“ザ・J-POP”な展開になってて、完全にポップな音が身体に染み付いてますよ。言い方は悪いかもしれないけど、染み付いたものが勝手に出てくる、いわばノリで作ってる部分が大きいかもしれません(笑)。

――ポップスの黄金律は守りつつも、展開には一捻り加えてるのが面白いですよね。楽曲のほとんどが、次の展開で同じフレーズを弾かない。

PON:繰り返しはイヤやなぁと。やっぱり変化は付けたいし、ラックライフとして様々な色を見せていきたいじゃないですか。

――ディストーションやファズといった歪み系の音作りをされてないのもラックライフの特徴ですよね。クリーントーンが軸になっているのは、言葉を大切にするからこそでしょうか?

PON:どうあがいても、僕は歌が真ん中にあって。そうじゃないとイヤですし、「何を届けたい? 」と言われたら、歌、言葉を届けたいバンドやし。それを大事にしていたら、気が付いたらこういう音作りになってましたね。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる