TOKIO、V6、KinKi Kids……今なお存在感示す「J-FRIENDS」組の軌跡

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(C)タナカケンイチ

 V6も、昨年デビュー20周年を迎えたあたりから、再びグループ、ソロ両方の活動に勢いが増している。『NHK紅白歌合戦』には一昨年の初出場から2年連続出場、『あさイチ』(NHK)などでのMCの評価も高い井ノ原快彦は、昨年初の白組司会にもなった。他のメンバーも、映画、テレビ、舞台などさまざまなジャンルで、これまでの実績や得意分野を生かし順調な活動ぶりだ。

 そのなかで今回特筆したいのは、今年の9月に放送された『みんなで応援!リオパラリンピック』(NHK Eテレ)に出演した三宅健である。これまで同じEテレの『みんなの手話』でナビゲーターとして培った経験を生かし、リオパラリンピックの日本代表選手の競技結果などを伝える番組のメインパーソナリティとなった。障害のある人もない人も一緒に楽しめる「ユニバーサル放送」として、NHKのパラリンピック番組史上初の手話を使うキャスターである。

 『あさイチ』での井ノ原もそうだが、アイドルが芸能の分野を超えて社会と接点を持った仕事をすることも増えた。

 そうしたとき、井ノ原にしても、今回の三宅にしても、真っすぐな熱い部分を根本に持ちながら、変に構えることなくいつも同じスタンスで物事に取り組んでいる様子がうかがえる。今回のパラリンピック番組は、最近のスポーツ番組にありがちなように過剰に「感動」を強調することもなく、自然に競技を楽しみ、なおかつ日本選手を応援できるものになっていたが、そうした雰囲気づくりにキャスターである三宅の果たした役割は大きかった。そしてそこには、さかのぼってみれば「J-FRIENDS」の精神に通じるものがあるのではあるまいか。

 「J-FRIENDS」のメンバーだった残りの一組、KinKi Kidsは、今年デビュー20年目を迎えた。この9月からはそれを記念しての全国ツアー中、その初日には年末・年始のドーム公演も発表された。テレビ各局で恒例となった大型音楽特番への出演も活発だ。いまだ正式出場のない『NHK紅白歌合戦』への初出場の可能性もあるだろう。

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(C)タナカケンイチ

 ただ、そうした大きな節目の年を迎えても、二人はいたってマイペースに見える。そこがいかにも彼ららしくもある。もちろん、堂本光一はミュージカル俳優、堂本剛はミュージシャンとしてソロでも精力的に活動するプロのエンターテイナーではあるのだが、同時に仕事仲間、友人、家族でもあるような互いの「相方」として存在している。そこに私たちは、ほかのジャニーズグループにはないなにかを感じ取っているのだろう。

 それを生み出すうえで、関西出身者ならではの掛け合いの間やリズムの果たす部分は大きいはずだ。だから二人が会話をしだすと、それだけで他の人間には入り込む隙のないように思わせる空気感が生まれる。

 2014年10月に始まった彼らの冠番組『KinKi Kidsのブンブブーン』(フジテレビ系)も開始からちょうど2年を迎え、番組としても安定している。そこでも、時おり二人の関係性がふと顔をのぞかせる場面があるのが面白い。

 たとえば、10月23日放送の夏木マリがゲストの回でも、二人でペアを組んでヨガをやることになり、イチャついているような、はたまたコントのような“二人だけの世界”になった。それでもポーズは無事に完成、最後は堂本剛が「次のジャケットこれで決まりやな」とKinKi Kidsらしくオチをつけて終わった。

 かつて「J-FRIENDS」としてともに活動したTOKIO、V6、KinKi Kidsの3組。彼らは、多彩な分野でのジャニーズの活躍の一翼を担う一方で、それぞれ他のグループにはない個性で衰えぬ存在感を発揮していると言えるだろう。

■太田省一
1960年生まれ。社会学者。テレビとその周辺(アイドル、お笑いなど)に関することが現在の主な執筆テーマ。著書に『中居正広という生き方』『社会は笑う・増補版』(以上、青弓社)、『紅白歌合戦と日本人』『アイドル進化論』(以上、筑摩書房)。WEBRONZAにて「ネット動画の風景」を連載中。

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