尾崎裕哉は単なる“尾崎豊二世”ではないーー音楽的ルーツから考えるシンガーとしての可能性

 また、以前インタビューで裕哉は「ぼくのなかでのミュージシャン像は、頼れる兄貴みたいな存在です。だから、ぼくもそうなりたい」と語り、高校時代、ジョン・ウッドによる授業に感銘を受けたことから、「音楽で社会問題を解決しようと決めました」と話していた。(参考:オルタナS 尾崎豊息子・裕哉さん、「音楽で社会問題を解決したい」)日本のアーティストは、社会問題に対する発言を積極的にしたがらない傾向にある。しかし、思春期のセンシティブな時期をアメリカで過ごし、社会への疑問や反抗を歌う父親・豊の音楽に加え、ゲイであることをカミングアウトしたサム・スミスなども好んで聴いている彼ならば、父親とは異なる「頼れる兄貴」として社会問題に臆さず言及できるシンガーとなる可能性も十分にある。

 彼のオリジナル楽曲のリリースは現時点では1曲のみ。しかし、ロック、ブルース、ポップス…と、海外の音楽をリアルタイムで貪欲に聴いている“尾崎裕哉”だからこそ書ける曲と詞が今後生まれていくのでは、という期待が高まる。また、音楽を使ってどのように社会と向き合っていくのか、彼の発言も追っていきたい。

(文=村上夏菜)

尾崎裕哉 HP

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