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過去作再現ライブ、楽曲とリスナーの関係性どう写す? GRAPEVINEとTRICERATOPSを例に考察

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 ここ数年、“過去作再現ライブ”が盛り上がりを見せている。

 世界的には、ザ・ビーチ・ボーイズをはじめ、クラフトワークやジーザス&メリーチェイン、イエス、日本でもくるりやサニーデイ・サービス、GRAPEVINE、TRICERATOPSらが、過去に発表したアルバムを曲順のまま演奏し、“再現”するライブを行っている。

 リリース記念として、新作を“再現”と称して曲順通りに披露するアーティストは珍しくない。また、リリースがなくとも、たとえばファン投票でセットリストを決めたり、カップリング曲だけを披露するなど、ひとつのコンセプトを設けたライブも最近はよく耳にするようになった。しかし、前述したように活動歴の長いバンドが、初期にリリースしたアルバムを今再びライブで披露するというのは、そういった“企画ものライブ”とは異なる特別な意味を担っているように思う。

 先日9月24日、GRAPEVINEとTRICERATOPSの、それぞれのデビュー・アルバム『退屈の花』『TRICERATOPS』を再現するツアー『IN A LIFETIME 2016』が、仙台でファイナルを迎えた。筆者はそのツアー初日、東京・NHKホール公演に足を運んだ。

20161018-vinetricera11.jpgTRICERATOPS

 2014年、GRAPEVINEは2ndアルバム『Lifetime』(1999年リリース)の再現ライブを東名阪で開催。アルバム名にちなんで、そのツアーは『IN A LIFETIME』と名付けられた。今回のTRICERATOPSと共に回ったツアーも、そのタイトルを引き継ぎ、第2回として行われた。GRAPEVINEとTRICERATOPS。デビューしたのは共に1997年。当サイトでは昨年、田中和将と和田唱によるフロントマン同士の対談(参考:TRICERATOPS和田唱×GRAPEVINE田中和将 特別対談 前編後編)も実施したが、2バンドはデビュー当時から交流があり、それ以降も何度も共演しているし、2マンライブも数回行っている。しかし、共に全国を回る2マンツアーは今回が初。しかも、それがデビュー・アルバムの再現ライブということで、発表時からファンの間では大きな話題を呼んでいた。

20161018-vinetricera6.jpgTRICERATOPS 和田唱(Vo・G)

 TRICERATOPS(以下、トライセラ)は、結成当初のオリジナルメンバーから成る3ピースバンド。デビュー当時から「踊れるロック」をテーマに、ディスコビートを大胆に取り入れてきた。1stアルバムから最新作『SONGS FOR THE STARLIGHT』まで、そのスタンスは変わらない。しかし、そのキャリアに安住することなく、毎回新たな実験を試み、フレッシュかつロマンチックな高揚感をもたらす、トライセラなりの「ダンス・ロック」を追い求めてきた。

 今では曲によっては、キーボードやシンセなども同期させ使用することもあるが、この日のライブは当時と同じく、ギター、ベース、ドラムの基本編成。しかし、それが単調にはならずにカラフルに聞こえるのは、多くの曲にコーラスを多彩に取り入れているのも理由のひとつだろう。また、和田の甘い歌声も、デビュー当時から変わらない。「ロケットに乗って」は、今でも彼らがこだわり抜いているギターのリフが軸になっており、メジャー・デビュー曲「Raspberry」「プレゼント」などでは、トライセラならではのメロディのフックが光っていた。

20161018-vinetricera7.jpgTRICERATOPS 林幸治(B)

 また、コール&レスポンスや手拍子を煽ったり、ハンドマイクでステージ上を歩き回る和田のエンターテイナーっぷりも、トライセラのライブの楽しみのひとつ。ラストの「My Skywalker’s T-Shirt」では、ベース、ドラム、ギターと各楽器のソロパートやセッションを曲中に織り交ぜ、その熱量のこもった抜群のバンド・アンサンブルはまさに阿吽の呼吸で、3人の熟練のコンビネーションを感じさせるものだった。

20161018-vinetricera8.jpgTRICERATOPS 吉田佳史(Dr)

      

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