TRUSTRICKが見せたこれまでの歩みと未来 『UNION』ライブに感じたこと

トラトリ、集大成&未来形を見せた一夜

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 続くアンコールでは、ひとつずつユニットの歴史を紐解いていくようだった本編からガラッと雰囲気を変え、一気に最新モードへ。最新シングルからTVアニメ『ダンガンロンパ3-The End of 希望ヶ峰学園-未来編』のEDテーマ「Recall THE END」と、舞台『ダンガンロンパ THE STAGE~絶望の学園と希望の高校生~2016』の公演テーマ曲「REBORN AT CAUTION AREA –theme of DANGANRONPA THE STAGE 2016-」を披露する。『ダンガンロンパ』は今やTRUSTRICKとは切っても切り離せない作品のひとつ。自身が舞台で役を演じる江ノ島盾子の世界観を反映した衣装で、神田沙也加が江ノ島お馴染みのポーズを決めていたのも、そんな作品との相思相愛の関係性ゆえだ。新旧の楽曲を16曲演奏して辿り着いた2度目のアンコールでは、「まだ演ってない曲があるでしょ? その曲をやります!」と伝えて「未来形Answer」を披露し、最後は『beloved E.P.』に収録されたここ最近の定番のラスト曲「それが奇跡だと知らない」で大団円。会場が一体となって手を振る巨大な多幸感の中で、<だけど、(奇跡は)今じゃないいつかね>と歌うこの曲は、目の前のファンとこれからも物語を紡ぎたいという、2人からのメッセージでもあるのだろう。

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 10月26日にはSUGIZO(LUNA SEA/X JAPAN)やchelly (EGOIST)が参加した3作目『TRICK』のリリースを予定し、その後は単独で自身最大となる中野サンプラザ公演を含むアルバム・ツアーも控えているTRUSTRICK。その前にキャリアの集大成とも言えるライブを披露したことは、恐らく、自分たちのこれまでを見つめる貴重な機会になったことだろう。

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 そしてこの日のライブで何よりも印象的だったのは、新旧の様々な楽曲を詰め込んだ演奏の数々が、最終的には「現在の2人」ならではの魅力を強烈に伝えていたということ。選曲/アレンジともに豊かに広がった可能性、初期と比べてさらに上がった演奏や歌のスキル、セット全体をコントロールするライブの展開能力、そして2年間の間に築いてきたファンとの信頼関係――。どれをとっても、この日感じた魅力は現在の彼らだから出来るものだった。そもそも、ファン投票でセットリストを決める今回の企画が魅力的になりうるのは、2人がリリースした楽曲がファンに愛されてきたからこそでもある。3作目を目前にして、TRUSTRICKの今後への期待がさらに膨らむような一夜だった。

(撮影=森 久)

■杉山 仁
乙女座B型。07年より音楽ライターとして活動を始め、『Hard To Explain』~『CROSSBEAT』編集部を経て、現在はフリーランスのライター/編集者として活動中。2015年より、音楽サイト『CARELESS CRITIC』もはじめました。こちらもチェックしてもらえると嬉しいです。

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