関ジャニ∞、冠番組好調で充実期へ 『クロニクル』と『関ジャム』から“強み”を探る

 一方、『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)(以下『関ジャム』と表記)では、関ジャニ∞の持つ音楽的部分を見ることができる。

 番組は、毎回一組のミュージシャンを招いて、その人やグループの音楽を掘り下げていくのが基本だ。1970年代、80年代から活躍しているベテランから次代を担うと目される新進ミュージシャンまで、ゲストの幅は広い。また、「ミュージカル」のようにある分野がテーマになることもあれば、「J-POP検定」のようなクイズ形式の回もある。

 トーク部分の関ジャニ∞は、MCあるいはひな壇の立場として番組を進行し、盛り上げていく。これも彼らのバラエティ能力が発揮されて楽しいのだが、この番組ならではという意味では、やはり彼らとゲストのジャムセッションに注目したい。

 ゲストミュージシャンの代表曲や名曲を番組用にアレンジし、関ジャニ∞メンバーがゲストとともに楽器を演奏して歌うこのコーナー、ポップスやロックからフォーク、ときには演歌まであらゆるジャンルをカバーする。

 とは言え、美空ひばりの『お祭りマンボ』をリメイクした『お祭り忍者』(1990)でデビューした忍者の例もあるように、最新の音楽トレンドを取り込むだけでなく、歌謡曲や演歌へのリスペクトもジャニーズの音楽をかたちづくっている一面だ。関ジャニ∞自体、デビュー曲が『浪花いろは節』(2004)という歌謡曲テイストにあふれるものであったことを覚えている方も多いだろう。ジャニーズの伝統を正当に受け継いでいる関ジャニ∞は、こうした音楽番組に実は適役なのである。

 『関ジャム』という番組そのものに関して言えば、KinKi Kidsがかつてやっていた『LOVE LOVE あいしてる』『堂本兄弟』『新堂本兄弟』(フジテレビ系)のラインを継承しているという見方ができるだろう。やはりこうした音楽中心の冠番組の歴史は途切れさせてほしくないものだ。またジャニーズということを離れても、近年テレビの音楽番組全般が苦戦を強いられている現状を考えれば、貴重な番組のひとつであることは間違いない。

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