石橋凌、60歳バースデーライブで豪華ゲストと共に見せた“ボーカリストとしての凄味” 

石橋凌、60歳BDライブを振り返る

 9月23日の23時から26時まで、フジテレビNEXT/フジテレビNEXTsmartで『石橋凌 R-60 Project "SOULFUL CARNIVAL”』が放映される。これは、石橋凌が2016年7月20日に赤坂ブリッツで行なった、彼の60歳を祝うバースデーライブの模様を収録した内容で、当日は豪華出演者が多数登場した。リアルサウンドではこのオンエアを記念し、番組をより深く堪能するためのナビゲートとして、音楽コンシェルジュ“ふくりゅう”氏によるテキストを掲載する。彼の文からエモーショナルな空間を想像し、熱いエネルギーを感じてほしい。(編集部)

 7月20日に赤坂ブリッツで行なわれた石橋凌の60歳記念ライブ『石橋凌 Birthday Live SOULFUL CARNIVAL』を観た。石橋凌の『R-60プロジェクト』として実施された第3弾企画には、ゲストとしてチバユウスケ(The Birthday / The Golden Wet Fingers)、浅井健一、中村獅童、そして、仲井戸麗市、鮎川誠、柴山俊之(aka.菊)、土屋公平、花田裕之(ROCK’N ROLL GYPSIES)、井上富雄というレジェンドに加えて、増子直純(怒髪天)、上田健司、上中丈弥(THEイナズマ戦隊)、優河という最強のミュージシャンが集結した。

 石橋凌といえば、1977年に結成されたロックバンドARBで、日本ロックシーンの礎を築き、その後、松田優作の遺志を継ぎ俳優として、“二足のわらじ”を歩み続ける唯一無二の表現者だ。こんなに両極を歩けるロックスターは他にいないだろう。

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 当日は、ジョークを交えながら「感激ライブ」として、“還暦”という言葉を禁句としながら、なんと4時間で38曲という濃密な夜となった。司会は、九州つながりの盟友スマイリー原島。バンドには日本最強といっても過言ではない池畑潤二(Drums)、渡辺圭一(Bass&A.Guitar)、藤井一彦(Guitar)、伊東ミキオ(Keyboards)、梅津和時(Sax) 、太田恵資(Vl. )というおなじみの面子が、ロックやジャズ、ブルースを横断する芳醇なサウンドを生み出していく。さらに途中では、ザ・ルースターズの花田裕之(Guitar)、井上富雄(Bass)、池畑潤二(Drums)がバックを支えるスペシャルな一面も。それぞれのアーティストが、それぞれのスタイルで石橋凌に敬意を表していたのが印象的だった。

 名シーンばかりのライブだったが、特に注目したいのが石橋凌の娘であり、シンガー・ソングライターとして活躍する優河との初共演だ。もともと優河が、歌の道に進むことを石橋凌は応援していなかったという。しかし、それでも夢を諦めなかった父ゆずりの信念の強さを持つ優河。晴れて共演となったステージで選ばれたナンバーは「AFTER'45」。ARB時代に生まれ、今もなお石橋凌が大事に歌い紡ぐナンバーが、あたたかくもハスキーな歌声によって継承されていく。感動のワンシーンだ。

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 その後も、石橋凌は、ザ・ルースターズのメンバーとともにバンド時代の珠玉の名曲たちを共演するなど、夢のようなシーンが続いていく。

 翌日以降に前夜祭が行われた20周年を迎えた『フジロックフェスティバル』の前々夜祭のようにも思えてしまった奇跡の夜。『SOULFUL CARNIVAL』は、日本ロック・シーンの縮図のような夜だった。とくに、苗場でのリハから戻りながら全40曲を叩いた池畑潤二のすごさに驚かされた。リハと合わせたら、そしてフジロックでのライブも合わせたらこの数日で彼は何曲ドラムを叩いていたのだろう。まさに鉄人だ。 アクの強いゲストを迎えることで、さらなる凄みを感じられた石橋凌のボーカル力の高さ。通常のライブでは、なかなか聴けない、チバユウスケとの「飲まずにいられない」や、浅井健一との「DEVIL」での共演、そして、土屋公平とともに歌われた味わい深いプレイでの「ワイルド・ローティーン・ガール」、仲井戸麗市とともに歌うRCサクセションの名曲「いい事ばかりはありゃしない」など、グッとくるシーンが満載の夜。

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