Buono!がついに帰ってくるーーハロプロ内の“異端”ユニットを改めて紐解く

 Buono!がついに帰ってくる。夏焼雅24歳の誕生日である8月25日に日本武道館で行われる『Buono! Festa 2016』。ここ数年は『Berryz工房祭り』や『Hello!Project COUNTDOWN PARTY』など、ゲスト的なポジションでのイベント出演はあったものの、表立った活動はしておらず、メインでライブを行なうのは、実に4年ぶりとなる。

 Buono!は、Berryz工房の嗣永桃子、夏焼雅、℃-uteの鈴木愛理という、ハロー!プロジェクトキッズ屈指の実力派3人によって2007年に結成されたグループであり、テレビ東京系列のテレビアニメ『しゅごキャラ!』のテーマを担当とするという企画的なところからのスタートだった。あくまで各メンバーはメイングループでの活動を主としていたため、不定期な活動になってしまっており、2010年には結成当初より制作全般を担っていたポニーキャニオンとの契約満了後、アップフロントワークスへの移籍で活動が継続されたものの、2012年からリリースと単独ライブが途絶え、2015年にはBerryz工房が無期限活動停止を迎えるなど、ファンから見れば今後グループ存続が危ぶまれる不安要素があったことも事実だ。

 そんなモヤモヤを払拭するがごとく、Buono!は『Buono! Festa 2016』を発表。さらには4年9カ月ぶりとなる待望の新曲『ソラシド~ねぇねぇ~/ロックの聖地』をDVDシングルとして2016年9月21日にリリースし、武道館公演で会場先行販売することを発表した。

Buono!『ソラシド〜ねえねえ〜』 (MV short Ver.)

 王道ポップスのメロディに爽快なバンドサウンド、どこか初期Buono!を彷彿とさせる同曲は、赤い公園・津野米咲が詞曲を担当し、Buono!サウンドの土台を作った西川進が久々に編曲を手掛けている。イントロから炸裂する西川節全開のギターフレーズ。生粋のJ-POPクリエイター・津野と感情直結型ギタリスト・西川という布陣はロックファンにとっても垂涎の組み合わせだろう。

ロックアイドルであり、正統派アイドルであるBuono!

 ビジュアルワークにモッズのターゲットマークやユニオンジャックなどのブリティッシュなモチーフを多く用いたり、Buono!の掲げる“ロックアイドル”アイコンは多岐にわたるが、音楽性とサウンドにおいて、西川進のブリティッシュ・ロックスタイルのギターとサウンドプロダクトによる貢献度は大きい。レッド・ツェッペリンのオマージュをふんだんに盛り込んだ「ロッタラ ロッタラ」(2008年)は、Jアイドルポップスとブリティッシュ・ロックの融合として、西川の数多いアレンジワークスの中でも代表曲のひとつとしてあげられている。

Buono! 『ロッタラ ロッタラ』 (MV)

 Buono!はバックバンド“Dolce”を従えたライブを行うことで知られており、当時としては画期的な試みでもあった。今でこそバックバンドをつけるアイドルグループも珍しくはないが、他と少し違うのは単に「アイドルがロックをやる」わけではないということである。Buono!楽曲の基盤となっているのは王道のガールズ・ポップスであり、男勝りのロック的なカッコよさよりもアイドルとしてのガーリーな可愛さを表す要素のほうが多い。“ロックアイドル”とはいっても、「アイドルがロックナンバーを歌う」というより、先述の「ロッタラロッタラ」しかり、「アイドルソングをロック調にする」といった趣のほうが強い。ライブでは、もちろん生バンドならではの臨場感とアグッレシブなパフォーマンスを繰り広げるわけだが、きらびやかな衣装を纏って華のある振り付けで歌う、といった正統派アイドルの姿とのバランスを大事にしている。それは、オケを使用したアイドルモードの前半からの生バンド演奏によるロックモードの後半、といったワンマンライブの構成にも現れている。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる