Brian the Sunが語る“遅れてきたルーキー”の戦い方「結果的に目的地が一緒、というのが理想形」

Brian the Sun、“遅れてきたルーキーの戦い方”

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「お客さんにあえて目線を合わせないのが自分たちのスタイル」(森)

――冒頭で「メジャーデビュー以降、曲は届けられているけどライブの場でのコミュニケーションがそこまでできていない」という話がありましたが、今年は大型フェスへの出演も多く控えています。Brian the Sunはそこでどのようなステージングを心がけようと考えていますか?

白山:僕は普段からライブにもフェスにも行く人なので、バンドの中でもそのあたりは一番考えていて。フェスで盛り上がるバンドって、2時間ワンマンのハイライト部分を切り取ってやっていたり、1曲目からキラーチューンで盛り上げる人たちが多いと感じるんですけど、僕らはそうじゃないのかもしれません。まだハッキリとした正解は見えていないし、これだけ大きなフェスにでるのは今年が初めてなので、やっていくなかで自分たちの戦い方を見つけられれば。

森:正直なことを言うと、Brian the Sunとして今は呼んでいただいているというより、ルーキーとして出させていただいているような印象で。まだまだ「Brian the Sunじゃないとダメ」という必要性を感じてもらっていないと思います。僕らも長くやってきたバンドなので、初々しさやフレッシュさを求められてもそれは違いますし。この間、島根でライブをしたときに思ったことなのですが、僕らはお客さんにあえて目線を合わせないのが、自分たちのスタイルやったんだと気づいたんです。ライブに来てくれるお客さんも、音源を聴いてくれるリスナーもそこまでアホじゃないし、一人ひとりがしっかりと聴きたいもの・見たいものを絞ったなかで僕らを選んでくれたのであれば、そこに対して目線を下げて「フェスだからこういうセットリストで~」と迎合するのはちょっと違うかな、と。

白山:せやな。そうやと思う。だからといって目線を合わせにいく人たちが悪いというわけでもないけどね。

森:その人たちなりに一番音楽を届けることのできるやり方やからね。Brian the Sunがそうじゃないというだけであって。僕らは受け取ってくれる方の心の中に潜っていって、結果的にみんなの目的地が一緒やった、というライブが理想形ですから。

小川:フェス自体は、普段ライブで共演できないような有名アーティストも出ているのに、僕らの名前を知ってくれているお客さんはその辺のライブハウスより圧倒的に多いという風にも感じています。そういう人たちに25分~30分でどう自分たちの良さを伝えるかというときに、結局は楽曲の力や演奏力やと思っていて。だからこそ個々のプレーヤーが頑張るしかないし、自分たちの曲をいかに自身をもって届けられるかが重要な気がします。

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――フェスのほかにも、対バンツアーはファイナルが恵比寿リキッドルームという自身最大キャパシティの場所になりますし、9月21日には新宿LOFTで同郷出身のKANA-BOONとイベント『激ブライアンカナブンブン丸~Season II~』を開催しますよね。2013年に行なわれた第一回も拝見させていただきましたが、両バンドともにあの頃とは桁違いに成長しています。

白山:第一回の時に「3年後もう一回やろう」と言っていましたし、新宿LOFTも40周年を迎えるというタイミングもあって、2回目を開催できることになりました。3年前にも「なれ合いで仲がいいからやるのではなく、僕たちも結果を出して、同じフィールドに立てるようになっていたら一緒にやろう」と話していたので、約束を果たせることになってよかったです。

――お互いがメジャーという大きな舞台の上で再度ぶつかり合う、というのは意義深いですね。

森:だからこそ、あえてメジャー感が出ないよう初心に返ってやりたいですね。

――Brian the Sunとしては、この数年でも同郷で親交のあるバンドが何組も先に大きな舞台へと進んでいて、その筆頭がKANA-BOONなわけですよね。どのような気持ちで活躍を見届けていて、同じ舞台に立った今はどういう感情なのでしょうか。

森:言葉を選ばずに言うと、まったく関係ないですね。あまり「点」でものを考えないので、長く見れば大阪から出てきてメジャーの舞台に上がってという一緒のことをやっているだけですから。もちろん頑張ってほしいとは思うけど、だからといって自分たちが焦ったりはしないです。

――最終的に平面で見たときに、各自が結果を残して「関西出身のバンドがそれぞれトップを走ってるよね」となればいいですよね。

森:そうなれば最高ですね。

――最後に、いま話を聞いているこの段階で、Brian the Sunは次に向けて動き出しているんですよね?

白山:もちろんです。今は新作の制作に取り掛かっていて、作ったらすぐレコーディングできますという感じなので、鮮度の良い曲がどんどんできている状態ですね。

森:この段階ではまだ3曲くらいしか出来てないんですけど、あと8曲くらいは作ろうかなと。

――ある程度全体像は見えてきましたか?

森:全く見えないですね。

白山:いつもふんわりと思っていた全体像と、全部録り終えて聴いてみたときの感じが違うので(笑)。

森:でも、どっちにしろアッパーなものにはならないかもしれません。「青空! 晴天! 突き抜けてる!」という感じではなくて(笑)、一枚で聴いたときに雨降りの夜の渋谷みたいな作品になってそう。

白山:良い意味で僕たちの垢抜けてなさもある程度入っている作品かもしれません。

森:垢抜けてなさというか、みんなどんどんどうでもいいことが増えていって、諦めがよくなっていったりすると思うんですけど。僕らは「まだそうじゃない」ってところを見せたいし、もっと往生際悪くのたうち回りながら生きてることが伝わればいいかなと。

白山:僕ら自身はいろんな音楽を聴くなかで、UKでもUSでもない音を日本のバンドは出していけると考えているので、そういう意味では面白いことをできるバンドなんじゃないかと自分たちでは思っているんです。

――UK・USのロックバンドに影響されたサウンドがあって、日本的な歌とメロディが乗って、いい意味でミクスチャーな音になっているのがBrian the Sunの魅力でもありますからね。

森:分析するとそういうことなんやと思います。でも、それを自分たちで考えてクレバーに発信すると面白くないんで(笑)。なるべく意識せず、感覚から生まれてくる言葉や音楽を大事にして、できることをやっていければと思います。

(取材・文=中村拓海)

■配信情報
「Maybe(アニメver.)」
iTunes
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mora

■リリース情報
『Maybe』(TVアニメ「甘々と稲妻」EDテーマ)
2016年9月7日(水)発売
DVD付初回生産限定盤:¥1,667円(税抜)
期間生産限定アニメ盤:¥1,204円(税抜)
通常盤:¥1,000円(税抜)

<初回生産限定盤、通常盤CD収録曲>
1.Maybe
2.しゅがーでいず
3.Maybe(Instrumental)

<期間生産限定アニメ盤CD収録曲>
1.Maybe
2.しゅがーでいず
3.Maybe(アニメVer.)
4.Maybe(Instrumental)

■ライブ情報
秋の対バンツアー(タイトルなど詳細は後日発表)
2016年10月28日(金)新潟 GOLDEN PIGS RED
2016年10月30日(日)大阪 BIGCAT
2016年11月5日(土)福岡 BEAT STATION
2016年11月6日(日)岡山 YEBISU YA PRO
2016年11月9日(水)名古屋 SPADE BOX
2016年11月11日(金)東京 LIQUIDROOM

■関連リンク
Brian the Sunオフィシャルホームページ
Brian the SunオフィシャルTwitter

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