Ryu☆×かめりあ×DJ WILDPARTYが語り合う、音楽ゲームとダンスミュージックの変遷

Ryu☆新レーベル<EDP>設立記念鼎談

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「音楽ゲームの楽曲は進化が早まっている」(かめりあ)

――そういえば、『revemania』の楽曲は『beatmania II DX』や『jubeat plus/REFLEC BEAT plus』といったKONAMI社の音楽ゲームにも追って収録されるんですよね?

Ryu☆:そうです。15年ほど携わらせていただいて、音楽ゲームは楽曲に触れてもらう一つの優秀なフォーマットだと感じているので、リスナーにはこれを機にゲームをプレイしてもらいたいですし、ゲームで収録楽曲に触れて興味を持ったユーザーは、ぜひともアルバムを聴いてほしいですね。

DJ WILDPARTY:海外のトラックメイカーも、最近は『DANCE DANCE REVOLUTION』でクラブミュージックを知ったという人も多いらしいですね。ポーター・ロビンソンもそのうちの一人ですし。

Ryu☆:いま、メインストリームに出ている世界的なDJに音楽ゲームを通っている人が増えていますし、特に日本はその傾向が顕著で。サイバートランスのブーム後、クラブの力が弱っていた時期だった2000年代頭から後半にかけて音楽ゲームが流行しているので、10代から20代後半くらいのボカロPやダンストラッカーには大きく影響を及ぼしているのを感じます。

かめりあ:音楽ゲームに収録されることは、明らかに若い人たちに届くという感覚がありますね。クラブって未成年は入れないですし。未成年がダンスミュージックに触れる機会が一番あるのが音楽ゲームだと思います。

DJ WILDPARTY:僕も同じ意見ですね。『SOUND VOLTEX』で一時期エフェクトや譜面を担当させていただいていたのですが、DJ目線で色々とやっていたら、他の作る人と違う印象を持っていただけたらしくて。現場から新しいものを持ち込むこともできると思います。

――なるほど。3人はクラブミュージックとゲームミュージック、両方に携わっていく中で、繋がりや共通項を見出している部分はありますか?

かめりあ:音楽ゲームに収録されているダンス系の楽曲については、基本的にクラブミュージックへ根ざしたものだと解釈しています。僕自身も、クラブミュージックよりも先に音楽ゲームに触れていて、音楽ゲームの曲を「クラブミュージック」として認識していました。今はそこから少しフェーズが変わって、音楽ゲームで純粋培養されて、音楽ゲームに収録されることを目指してクリエイトするトラックメーカーが多く育ってきているので、良い意味で逸脱してきていると思います。

DJ WILDPARTY:僕はユーザーとして音楽ゲームに触れたことはありません。ですが、PlayStationの『wipEout』というゲーム(プロディジーの「Firestarter」が起用された)だったり、『R4 -RIDGE RACER TYPE 4-』の音楽が好きで。しばらく経ってから、それらのゲーム音楽を掘り下げていくとクラブミュージックやハウスに行き着くんだということに気付いたんです。あと、9歳離れた兄が「これはカッコいい、これもカッコいい」と文脈を無視してフラットに紹介してくれたので、単純に良い音楽としてクラブミュージックも音楽ゲーム発の楽曲も聴いていました。

Ryu☆:まさか『R4』が出てくるとは……。僕もこのゲームには影響を受けていて、音楽を手掛けていた細江慎治さん(sampling masters MEGA名義などで活動)は、ロッテルダムテクノ(ガバ)をゲームに持ち込んだ第一人者ですし、僕自身も過去に『RIDGE RACER』のソフトをCDプレーヤーに入れてよく聴いていたり、「VOX UP」という楽曲でコラボさせていただいたのは夢のようでしたね。

かめりあ:音楽ゲームの楽曲は、どんどん進化が早まっているジャンルだと思っています。もちろん、クラブミュージック全般が移り変わりやすいジャンルでもあるのですが、音楽ゲームも新しい楽曲、新しいアイディア、新しい音使いがどんどん更新されて、それらを参考に次から次へと新たなクリエイターが育ってくるという、非常にいいサイクルで回っていますよね。ここ最近だと、曲の中での展開が多くなっていることが顕著だと感じますし、昔はイントロから下がってサビになり、アウトロに持っていくという4展開だったのですが、ユーザーのレベルアップに合わせて展開も8つくらいあるものが平均になっているのを感じるんでしたよね。り、どんどんフレーズがきめ細かくなっていますよね。自分もそこに火を付けている一人なんですけど。

Ryu☆:自分も一翼を担うひとりだから大丈夫(笑)。

かめりあ:そう言っていただけると心強いです(笑)。オーディションや楽曲公募もその進化に寄与しているのではないかと考えています。選考となると、コンペ的に一発目のフレーズがダメなら不採用という切られ方をすると思うので、必然的に作り手の作り込み力やパンチ力、テクニックも上がっていく。それは利点でもあり欠点でもあると思っていますが、少なくとも変化を起こしているのは確かかなと。

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――では、ダンスミュージックの作り手として、2016年も中盤に差し掛かった段階で面白いと思う動きはありますか?

Ryu☆:ひとつキーワードを挙げるなら「回帰」かなあ。オールドスクールなアンセムを再評価する流れが来ている気がするんです。

DJ WILDPARTY:最近だと、アーミン(Armin van Buuren)がHuman Resourceの「Dominator」を使っていたり、ダブビジョン(DubVision)がCeCe・ロジャースの「Someday」(1987年リリース)という大ネタを使った「Sweet Harmony」をリリースしていますよね。

Ryu☆:トップDJがこぞってやっているのも面白いよね。個人的には懐かしさを感じますが。

DJ WILDPARTY:僕はUKのダンスミュージックに面白さを感じています。UKテクノはストイックな曲が多く、最近はカセットテープリリースや配信のみなど、販売形態もフレキシブルですし。かつてはコマーシャルな音楽に対する抵抗もあって、ツーステップやガラージをアンダーグラウンドな環境のままやっていたのですが、今はハードウェルのようなEDM側のクリエイターがこれらの音楽に接近していて、面白そうな動きだなと観察しています。

――先ほど、ワイパさんの口から「現場」という言葉が出ましたが、音楽ゲームにまつわる現場って、ここ数年でようやく増えてきたという印象で。とくに『EDP(EXIT TUNES DANCEPARTY)』の影響は大きかったんじゃないかと思います。

Ryu☆:そうですね、特に先日豊洲PITで行なった『EXIT TUNES DANCE PARTY 2016-SOUND VOLTEX FLOOR ANTHEM & beatnation summit-』は、音楽ゲームを突き詰めると3000人規模のライブイベントができるということを証明できたと思います。

かめりあ:あれは鳥肌が立ちましたね。

Ryu☆:さっきかめりあ君も話してくれたように、若い時期にダンスミュージックへ触れる機会として音楽ゲームが果たした役割は大きいと思います。プレステ版の『ビートマニア』が107万本も売れていたり、『DANCE DANCE REVOLUTION』のブームがあったり、全国の家庭にPCが普及したのもその時期ですし、いろんな要因が重なって、<beatnation RHYZE>などの若手クリエイター陣も音楽ゲームに影響を受けて育ったわけで。ニコニコ動画も含め、音楽ゲームへの入り口も増えて、そこをきっかけとしてダンスミュージックを好きになったリスナーが年々増えていることで、ライブの動員増加にも繋がっているんです。

――8月21日にCIRCUS Tokyoで開催するイベント『EDP presents ravemania / MEGANTO METEOR Release Party』は、これまで主催してきたフェスとは違い、クラブイベントに近いものですよね。

Ryu☆:<EDP>としては、CDリリースだけではなく、ライブやグッズ、ゲーム展開など全方向をやりたくて。『EXIT TUNES DANCE PARTY 2016-SOUND VOLTEX FLOOR ANTHEM & beatnation summit-』では豪華な出演者陣が顔をそろえましたが、一人の持ち時間は2~3曲だったので、ファンの方も満足しきれない部分があったのではないかと思うんです。なので、今回のイベントは各自40分前後のロングセットで出演してもらい、出演者もバランス良く出ていただき、ご来場いただいた方の新しい扉を開くことができるような、バランスがいいと思ってもらえる配置や振り付けを見せられればいいです。ワイパ君も大箱で開催するEDPの15分セットなんて普段やらないだろうから(笑)期待してます。

かめりあ:僕は出演者の多い『EDP』で、よくアクセル全開で暴れまわるのですが、今回それをやるときっと体力が持たないので(笑)、ペース配分をしっかりしつつ、いちDJとしてリリースパーティを盛り上げる楽しいライブができればいいなと思っています。僕のアルバム「MEGANTO METEOR」のリリースパーティも兼ねているので、当日はアルバムから多くの楽曲を披露させていただきます。

(取材・文=中村拓海/写真=三橋優美子)

■イベント情報
『EDP presents ravemania/MEGANTO METEOR Release Party』
開催日:8月21日(日) OPEN/START:14:00/14:30
会場:CIRCUS Tokyo
出演:Ryu☆、kors k、かめりあ、HyperJuice、DJ WILDPARTY、BlackY、Nhato、andmore
追加出演者:Hommarju、Xceon/GUEST:MayumiMorinaga 
チケット:DOOR ¥4,320 ADV ¥3,800
【ADV受付専用URL】https://eplus.jp/edp-hp/(PC・携帯・スマホ)
2016年8月5日(金)10:00~
※入場時ドリンク代別途必要
※3歳以下入場不可/4歳以上はチケット必要
※整理番号順での入場ではありません
主催・企画・制作・運営:EDP
お問い合わせ:EXITTUNES 03-4520-9819
イベント特設サイト

■リリース情報
かめりあ『MEGANTO METEOR』
発売:7月6日(水)
価格:¥2,300+税

<収録曲>
01. THE LAUNCH OF THE MEGANTO METEOR/かめりあ
02. Witness of Eternity/かめりあ
03. Bass Weapon: LAZERFLAME/かめりあ
04. Glitch Nerds (from EDP Presents ravemania)/かめりあ
05. Singularity (The Day When The A.I. Becomes More Human Than Human)/かめりあ
06. NEURO-ROCK-OUT/かめりあ
07. Nightmare of Hornets Squad/かめりあ
08. Devil's tattling/かめりあ
09. MEGANTO METEOR/かめりあ
10. イーディーエム・ジャンパーズ (from EDM Extreme)/かめりあ feat. ななひら
11. Glasya-Labolas/かめりあ VS. PHQUASE
12. FIRETHROWER/かめりあ
13. kodama/かめりあ
14. Free To Free/Quarks(kradness×Camellia)
15. Enantiomorphs/かめりあ
16. Berserkerz' Warfare 345/かめりあ
17. ウィー・ラヴ・ハードコア/かめりあ feat. ななひら

特設サイト

【2016/7/6 Release】MEGANTO METEOR / かめりあ【Crossfade Demo】

『EDP presents ravemania 2016 summer』
発売:7月6日(水)
価格:¥2,500+税

<収録曲>
01. POWER STORM/K SUKE
02. Hibana/Nhato
03. Chuck Chuck/Masayoshi Iimori
04. Temple Riot/HyperJuice
05. Hydrangea (ravemania mix)/REMO-CON
06. yamabiko/かめりあ
07. WAM/Hommarju
08. P.I.o.t.S./Xceon
09. Turn Round/DJ WILDPARTY
10. Seasonable hours/KAN TAKAHIKO feat. Numb'n'dub
11. Distant Summer/kors k
12. Runaway Tonight/DJ Shimamura
13. FUNNY SUMMER VACATION/P*Light
14. Over Drive/Ryu☆
15. Burning Oasis/BlackY
16. Pica Pica/RoughSketch

特設サイト

【2016/7/6 Release】EDP presents ravemania 2016 summer【Crossfade Demo】

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