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<EDP(EXITTUNES Dance Production)>設立記念鼎談

Ryu☆×かめりあ×DJ WILDPARTYが語り合う、音楽ゲームとダンスミュージックの変遷

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「スタートとゴールを明確に決める必要性がある」(DJ WILDPARTY)

――『EDP presents ravemania 2016 summer』では、3人もそれぞれ新曲を書き下ろしています。それぞれの新曲について伺っていきたいのですが、まずはRyu☆さんの「Over Drive」について。全体的に重めの音が多い今回のアルバムにおいて、飛びぬけて解放感のある楽曲だなと感じました。

Ryu☆:イメージ的にはダンスコンピレーション作品の一番最後あたりに入っているような、キャッチーでスピード感のある楽曲をイメージしました。これは前作を踏まえてわかったことなのですが、音楽ゲームのクリエイターって、普段の楽曲は速いものをオーダーされがちなので、自由度の高い作品としてお願いすると、BPM128前後のものを提出いただくことが多くて。そういった経緯もあり、自分はプロデューサーとして速い楽曲を担おうと思いました。

――全体を考えたうえでのチョイスだったんですね。ちなみに、Ryu☆さんはプロデューサー目線でワイパさん、かめりあさんの楽曲についてどういう印象を抱いているのでしょうか。

Ryu☆:ワイパ君の楽曲は、1ジャンルだけを突き詰めている人には到底思いつかないようなアイディアが入っていることが多くて。渋谷と秋葉原、六本木、代官山にいるオシャレなクラバーやギャル、アニメファンも全部アゲれるDJにしかできない芸当だし、フロア向きな楽曲を作るのが上手いなと思います。

DJ WILDPARTY:僕自身はDJ歴こそ長いのですが、DTM歴はまだ浅く、ここ3〜4年で本格的に作り始めた形なんです。毎回リミックスやオリジナル曲を作る時は、自分のDJで使いたくなるようなものを意識していますね。ただ、今回はなるべくひねったものを作る様にしました。

――ワイパさんの楽曲において、ボーカロイドを使用したのは今回が初めてですよね。

DJ WILDPARTY:そうですね。僕の中で「和」というテーマを考えたとき、真っ先にボカロが浮かんだんです。もともと歌詞を読み上げさせたり、曲を歌わせるつもりはなくて。だから今回のボーカロイドもあくまで楽器として使っているんです。

Ryu☆:ボカロを「和」と解釈したのは本当に新鮮で「そうきたか!」と思いました。あとはキメの作り方やブレイクの部分が、フロアで即戦力的に使える機能性を持っていて、DJっぽいなと感じました。こう作ってここで爆発みたいなフロアでどういう風に映えるか。感じのところがすごい分かっている即戦力タイプの曲だなーと思っていました。海外のトレンドも考えて作ってくれたと思うんだけど、やっぱり向こうはフューチャーベースがいまアツいのかな?

DJ WILDPARTY:もともとフューチャーベースって、インターネットを主戦場としているトラックメイカーたちが作ったものなのですが、最近はEDMで使われることも多くて、かつての複雑なキメがバンバン入るようなものから、一音一音が強いものに移り変わっているような気もします。一部ではフューチャーベースだと思ったら全く違う方向に変化する楽曲も登場してきましたし、まだまだ面白いクリエイターが集まってくるジャンルですね。

Ryu☆:こういうのを聞くと、日本も負けられないなと思いますね。音楽だけではなく、エンターテインメント全般にいえることですが、僕は「サプライズ」が重要だと考えていて。EDMが初めて出てきたときも、ブレイクで盛り上げてサビで落とすというドロップの概念に戸惑いましたが、kors kと色々話していて、「どれだけその場で驚かせて、最終的に『あれ? と思ったけどすごくいい!』という印象にできるかじゃない?」という結論になりました。お客さんをどれだけ喜ばせつつ、裏をかけるかが大事なんだと思います。

――かめりあさんの楽曲「yamabiko」についてはどうでしょう?

Ryu☆:とにかく作るのが早くて、今回の中でも一番だったので、『EDP presents ravemania 2016 summer』のCMにも使わせていただきました。楽曲に関しては、ワブルベースを日本で使わせたら1番じゃないかなと思うくらいのクオリティです。

――この曲は直球で「和」と感じさせる音をサンプリングしつつ、ダブステップを取り入れたものですよね。かめりあさんのアルバム収録曲であり、フューチャーベースと和のミックスが特徴的な「kodama」とも連動しているようですが、どちらを先に作ったのでしょうか。

かめりあ:順番としては、「yamabiko」が先ですね。最初に作る段階で楽曲の名前をリストアップしている時に、「yamabiko」という名前にピンときて、しばらく練ろうと思っていたら「kodama」というタイトルも一緒に浮かんできたので、これを対にできないかなと思い、そこから仕上げていきました。

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――今のエピソードが顕著だと思うのですが、かめりあさんの作品を聴いていると、理系っぽいというか、「ここにこういう曲を入れよう」と綿密に計算しているように感じます。

かめりあ:たしかに、今回の作品も15曲を書き下ろすと決まったとき、まずはジャンルを書き出して、15曲分のテンポをグラフで書いて、偏らないように気を付けたり並べ替えたりしました。そこから作れるものを進めていくという形だったので、最初の時点てある程度目標やプランがあった状態といえますね。

Ryu☆:簡単に言っているけど、「15ジャンルを作ろう!」と思ったとして、それを完成まで持っていくのは相当難しいよ。実際完成した作品を聴いたとき、15種類の宝石を見ているような気分にさせられましたし、「これはできるだけ多くの人に聴いてもらわなければ!」と思いました。

DJ WILDPARTY:個人的には、ななひらさんの使い方や電波ソングの取り入れ方もかなり面白いと思います。あと、ブレイクコアが入ってたのはかなり印象的でした。これまであまり作っているイメージがなかったので。

――確かに、ここまでアカデミックに仕上げてきているのに、最後にななひらさんが歌う電波系ハードコア「ウィー・ラヴ・ハードコア」で終わるのは面白いですよね。

かめりあ:アルバムの中でもストーリーを考えていて、戦いを経て最終的にはピースフルに終わるイメージをしたとき、最後はピースフルなアンセムを作るべきだろうと思ったんです。それも踏まえて2度3度聴いていただけると嬉しいですね。

Ryu☆:あと、かめりあ君って、一般層だけではなく、DTMをやっている方や音楽のプロたちの信頼がすごく高くて、BtoBとBtoCを両方クリアしている稀有なトラックメイカーで。スピードとクオリティがそれぞれハイレベルなので、頼もしくもあり、脅威を感じるクリエイターなんですよ(笑)。

DJ WILDPARTY:年間100曲を完パケしているって本当なんですか?

かめりあ:はい。今のところ3年連続です。

DJ WILDPARTY:3年で300曲……イチロー並みの安定感ですね(笑)。それは別として、かめりあ君も幅広い音楽性ですよね。ワブルに長けてるとはいえ、何でも作れるようなイメージです。

Ryu☆:でも、DAWはすごく変わったものを使ってるよね?

かめりあ:そうなんです。アメリカのCockos社が作っているREAPERというDAWを使っています。元々DAWに触るよりも前にMIDIベースで作曲をしていて、DAWに移行する際に調べていたら、ニコニコ動画界隈では音MAD動画を作るのにREAPERが有名なフリーダウンロードツールとして多用されていたんですね。僕もREAPERにしてみたら、手放せなくなっちゃったんです。変えてもよかったんですけど、タイミングを逃して気づけば今日まで来てしまいました。

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――Ryu☆さんの機材については以前にお伺いしました(http://musicfactorytokyo.com/special_detail.html?id=1104)が、ワイパさんはどのような環境で制作を行っているのでしょう?

DJ WILDPARTY:オリジナルはFL Studioで、マッシュアップやエディット、DJMIXの制作はAbleton Liveと使い分けています。FLは波形編集にあまり向いていないので、既存曲にアカペラを乗せるといったことはAbleton Liveのほうが得意なんです。音源の管理には、測定も正確なパイオニアの「Pioneer DJ rekordbox」が欠かせないですね。

Ryu☆:わかる! 僕もBPM測定は「rekordbox」だ。

――曲作りに関して、自分らしさを盛り込むためにしている工夫などはありますか。

Ryu☆:メロディー主体で作るので、メロディーだけは負けないようにしています。1回聴いて、サビのメロはがっちり覚えて貰って帰ってもらう。昔は弾いて作っていましたけど、手癖になりがちだったので、最近は頭の中で想像してすぐ打ち込むようにしています(笑)。

かめりあ:僕はむしろ自分らしさを極力出さないようにしていますね。依頼があれば、ジャズも手掛けますし、ピアノのソロ音源も作りましたし。一方で、アルバムのようなハードコアも作るので、なんにでも柔軟に対応できる音楽性の広さが自分らしさだと思います。

DJ WILDPARTY:僕はサンプリングに近いのですが、最近すごくハマっている楽曲を数曲リファレンスにして作っていくことで、自分らしさを出せていると思います。「このメロディーが合いそうだから拝借しよう」という、DJ的な視点というか。自分は理論だったり技術がまだそんなに追いついていないので、それを補うために、いろいろ試行錯誤していますね。

Ryu☆:面白い。モジュールみたいな考え方だね。楽曲のエッセンスを抽出して再構築するというか。

DJ WILDPARTY:もともとサラリーマンとしてプログラマーを1年やっていて、そこでスタートとゴールを明確に決める必要性を感じたので、楽曲制作においてもその部分は顕著に出ていると思います。曲作りって、細かくしようと思えば終わりが見えなくなるので。

Ryu☆:たしかに、機材の発達で作り方も考え方も変わってきて、より突き詰められるようになりましたからね。若い世代のトラックメイカーは、ハードの制約がないようなものだから、色んな音を駆使して突拍子もないアイディアが生まれてきたり。

DJ WILDPARTY:逆にハードで曲を作る人も増えましたよね。テクノとかでハード機材使うことにポリシーがある人もいます。かめりあ君はプリセットを使わないでイチから作るんですか?

かめりあ:そうですね、むしろそっちが好きです。単純なワブルを一発だけ、とかなら、プリセットのほうが効率がいいのでそうしますが、基本的には作るほうに醍醐味を感じています。

DJ WILDPARTY:なるほど、僕はもっぱらプリセットですね。元々ある曲のリファレンスのこの音が欲しいっていうのは大体プリセットで賄えるし、知り合いとも「出したい音がプリセットに出ているんだったら使ったほうがいい」という話になったので。

Ryu☆:「プリセットは楽」という風に思う人もいるかもしれないけど、それを選択するセンスでどのようにでも変わりますからね。スタックするだけでも、慣れない人はベースの音圧が下がっていたりとか、細かい部分の技術も重要ですし、結局アウトプットが良ければ万事OKなんですよ。みんなが同じ音を出せるようになりつつある環境で差別化を図るなら、すでに似たようなプリセットが出ている音を作るのではなく、斬新なアイディア・サプライズを盛り込む時間に回すべきだと思います。

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