AK-69が明かす、“ホンモノ”へのこだわりと覚悟「リアルなヒストリーこそがヒップホップ」

AK-69が提言する“ホンモノ”へのこだわり

「やっぱりトップに立てたことは間違いない」

――AKさんは日本のヒップホップシーンのなかでのご自身の立ち位置は、どういうふうにとらえてますか。

AK-69:同じくらいの規模の人がいないんで難しいですね。俺はストリートヒップホップをやってる人たちのコミュニティにいるようでいないから。でもまあ、間違いなく言えるのは、自分のスタイルでこれまでやってきて、日本のヒップホップと言ったら俺と言われている。好きでも嫌いでも、俺のことをみんなが知っている状況になった今だからこそ、俺がいろいろやらなきゃいけない立場なんだろうなっていうのは、最近すごい思いますね。ヒップホップのファンだけじゃなくて音楽ファン全体、メディアの人たちにも名前を知ってもらえるようになった状態だからこそできること。昔はできなかったシーンのためになること。そういうこともできる立場になったんだなっていうのは、ちょっと自覚してます。

――ヒップホップシーンの道を切り開く立場になったと。

AK-69:まあ、アンダーグラウンドのヤツらは、俺のことあんまり好きじゃないと思います。なかには凄いリスペクトしてくれてる人ももちろんいますけど。好きじゃない人たちの気持ちも分かるんです。俺も昔は東京のラッパーがみんなメジャー契約したり、すげえ羽振りよさそうなインタビュー記事が出てるのを見てムカついてました。それって、人間みんなあると思うんですよ。成功している者が無条件に嫌だという。でも俺はそれを完全否定するタイプじゃなくて、こういうふうになりてえとか、こいつらよりも絶対カッコいいことやりてえって思う、それが原動力になっていた。それを逆に思わせる立場に今なってるんだろうな。そのころ思った相手よりもさらに大きなところに、高いところに今いると思うし。だからそうやって、批判も称賛も含め、やっぱりトップに立てたことは間違いない。トップに立った人だからこそできることをこれからも……それをアピールしたいわけじゃないですけど、でもまあ、やってくべきだなと思ってますけどね。

――先日のライブでは般若さんやKOHHさんが出演されてましたよね。

AK-69:そうですね。これも笑える話なんですけど、般若はだいぶコアなラッパー、アングララッパーに支持されている代表格じゃないですか。みんな、俺と仲が悪くあってほしいみたいで(笑)。『フリースタイルダンジョン』に出たときも、俺の歌終わりに般若がステージに上がってきたんですけど、それをみんなジャマしに来たみたいに言っていて。どんだけ仲悪いと思いてえのっていう(笑)。般若も新曲をライブで聴いて、ほんと良かったってメールしてきてくれました。俺の成り立ちを分かってる人からのリスペクトはすごい感じるし、お互いリスペクトし合ってる。俺がダサいことになっていたら、ああいうタイプのラッパーにはすごい嫌われると思うんですけどね、実際。

――仲間とのつながりも大切にされているAKさんらしいというか、「KINGPIN」の最後には「T-X(TOKONA-X)に捧げる」ということが入っています。

AK-69:やっぱり、あいつが生きてる時に交わした言葉をずっと俺は背負ってやっているから。彼は日本の伝説だと思うんです。トップを走っている人間があいつの名前を言い続けなかったら、どれだけすごいラッパーでも風化してしまう。俺たちは名古屋が生んだあの男を、このヒップホップシーンがある限りシャウトし続けないといけないと思うんですよ、仲間として。尊敬しているアーティストとしてもそうだし。だからそこはずっと言い続けたいですけどね。

――AKさんの今の活躍は、TOKONA-Xさんたちが名古屋のシーンを作ってきた結果でもありますもんね。

AK-69:そうですね。名古屋のシーンは凄かったんで。今でこそちょっとまとまりがなくなっちゃってますけど。でも本当にそうですね。あいつらがいて、シーンがあって、そのなかから出てきたっていうのはもう、ずっと変えられないからですからね。

(取材・文=松田広宣)

■リリース情報
シングル『With You ~10年、20年経っても~ / KINGPIN』
発売日:2016年7月6日(水)

<収録曲>
M1 With You ~10年、20年経っても~
M2 KINGPIN
M3 With You ~10年、20年経っても~ (Instrumental)
M4 KINGPIN(Instrumental)

<初回盤DVD内容>
・With You ~10年、20年経っても~ Music Video
・「Flying B」LIVE映像 (2016.2.27 一夜限りのプレミアム・ライブ「NON FICTION」@豊洲PITより)Documentary of the “B”

■ライブ情報
『AK-69 Zepp Tour 2016 ~Flying B~』
公演日:2016年7月18日(祝・月)
OPEN 17:00 / START 18:00
会場:大阪・Zepp Namba

※終了公演は割愛。詳細はこちら

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