ななみが明かす、“変化”を求め続ける理由「私は落ち着きたくないーー音楽に関しては」

ななみが語る、変わり続ける理由

「現実的なものがあったうえでファンタジーの部分を」

ーーこうしてアルバム全体を聴いて感じるんですが、愛という概念に苦さや悲しみがありますよね。愛とともに、裏切りや失望、別れといったことの描写がすごくされている。その上で<それでも私は愛を歌うんだ>という感覚がすごく出ている作品だと思います。

ななみ:うんうん、そうですね……そこまで深く考えていただいて、うれしいですけど。私的には「こうだ!」としか言えないです(笑)。そういう生き方なので、だからそんなに自分が変わってるとは思えないですね。

ーーデビューの頃のななみさんは、愛が欲しくて、それがつかめないゆえの苦しみも歌っていたと思うんです。でもここでは、愛のようなもの……愛だと思ったものを手繰り寄せたら、実はそうそう簡単なものでもない、愛はつかみやすいものでもなかった、みたいな感情があると思うんですよ。

ななみ:うーん、描いていた愛が……現実には少なすぎた、というのはあります。子供の頃は愛されたいと、愛されたら幸せになると思ってたんですけど。大人になって愛を受けることも、愛を与えられるようにもなって……描いていた愛が現実になさすぎて、むしろちょっと幻滅しちゃって。だから、ああいうふてくされた曲が出てきたのはあるかもしれないですね。

ーーそうですか……現実は難しいですね。

ななみ:現実は難しい、ですけど。でも満足しなくて、良かったです。

ーーあ、これも先ほどの話だと、そういうことですね。で、それゆえに愛を求めて、それがまた歌になるということですね。

ななみ:そうですね。グルグル回っていくんだろうなと思います。

ーーでも最後の曲「明日太陽が消える」では、ちゃんと希望を描いていますよね。

ななみ:そうですね。太陽が消えるってありえないことだけど、この曲では<夢を奪われても負けないで>っていうことを伝えたくて。それで最後に太陽を取り戻そうと戦いに出るんですけど、アルバムがリピートされたら「サイレン」が始まるので、また戦争が始まる、という意味でもあって。

ーーなるほど。それだけ光と闇が自分にはリアルなものだということですね。

ななみ:どっちも好きです。闇があるおかげで光がヒーローになれてるわけで、そう思うと、どっちかというと光のほうがいいとこ取りで、暗闇のほうがたぶん懐が広いのでは、みたいな(笑)。私はそう思っていたいですね。あと、ガンダムの主題歌を歌わせていただいたあとの作品なので、アレンジなどではできるだけ非現実的な音を意識して作りました。

ーーそうですね。だからシンガー・ソングライターのアルバムというイメージではないんですよ。

ななみ:うん、ないですね。シンガー・ソングライターは自分の歩んできた道を赤裸々に描くイメージがあるんですけど、私が目指してるのは澤野弘之さんなので。自分は、そういう現実的なものがあったうえでファンタジーの部分がある曲を書きたいんだろうなと思います。

ーーそれがはっきりわかっただけでも大きいんじゃないですか? このアルバムにおいては。

ななみ:そうですね、だいぶ大きな気づきですね。だから今回のアルバム、発売するのがすごく楽しみなんですよ。今までももちろん楽しみではあったんですけど、不安のほうが大きかったんです。でも今回は確信を持って「この曲はこう!」と思ってやってきたし、自分の意見をいつもより、うざいぐらい言ったし。そのぶん反応を聞けるのがすごく楽しみだし、悪い反応だったとしても楽しみです。今回は自分の好きなことができたフルアルバムなので、意見を聞くのがすごく楽しみですね。「この子ってクリエイターの部分がすごくあるんだ」と思っていただきたいですね。

ーーしかしデビューから2年足らずでここまで駒が進んだのはビックリしました。もう、いろいろなことがね……。

ななみ:それは東京に住んだのが大きいですね。東京はやっぱり厳しい街なので、私が地元でやってたことは通用しなかったし。でも、だからこそ地元の人たちが愛している音楽を忘れたくはないのもあるし……今回のアルバムは、そのどちらの感じも表現しています。現実をかみしめて作ったアルバムだな、というのはありますね。

ーーわかりました。8月からのツアーはどんなものにしようと思ってます?

ななみ:<白と黒の世界>というタイトルですし、前半と後半で合わせて白と黒を表現しようと思っています。あとは私らしく、泣かせたいなと(笑)。前回のツアーの大阪公演はそんな感じで、涙のライブができたんですよ。「ななみのライブに来たらなぜか泣いちゃうんだよね」「泣きたいから行こう」ぐらいの気持ちになってもらえるものにしたいんです。そのためには泣けるような人間でないといけないし、泣けるようなアーティストでいないといけないと思ってるので、そこは成長していきたいなと思いますね。<ライブで笑顔になってもらう>とかじゃなくて、私にとっての最高の褒めは涙なので。今回は初っぱなからそれができたらいいなと思いますね。

ーーわかりました。じゃあ泣かせてください。

ななみ:泣かせます!(笑)

(取材・文=青木優)

■リリース情報
『Light in the Darkness』
【初回生産限定盤】 ¥3,056(税抜)
1.サイレン
2.四文字ラブレター
3.笑火
4.通りゃんせ
5.I Eye Ai
6.SaRieL
7.only lonely
8.Next 2 U
9.走れ。
10.桜 -19th Edition
11.これを愛として
12.明日太陽が消える
13.CHASER (LIVE)
14.Dahlia (LIVE)
15.君という宝物 (LIVE)
16.I’ll wake up (LIVE)
17.I live for love (LIVE)

【通常盤】 ¥2,778(税抜)
1.サイレン
2.四文字ラブレター
3.笑火
4.通りゃんせ
5.I Eye Ai
6.SaRieL
7.only lonely
8.Next 2 U
9.走れ。
10.桜 -19th Edition
11.これを愛として
12.明日太陽が消える

■ライブ情報
「ななみ 2016 tour “白と黒の世界”」
8月26日(金) 大阪 梅田AKASO 
9月11日(日)  福岡 中州Gate’s 7
9月17日(土) 東京 原宿アストロホール
10月1日(土) 大分 BRICK BLOCK 

■オフィシャルサイト
http://73music.jp/

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