Suchmosは日本の“スタンダード”になるか? 7月6日発売の注目新譜5選

UNISON SQUARE GARDEN『Dr.Izzy』(AL)

 シングル『シュガーソングとビターステップ』(2015年5月)の大ヒット、初の日本武道館公演(2015年7月)を経て、ついに本格的なブレイクを果たしたUNISON SQUARE GARDENだが、これまで以上の期待と注目が注がれている本作で彼らは、“ロックバンドとしての通常運転を維持したまま、音楽的最高値を更新する”という従来のスタンスを貫いてみせた。目まぐるしいスピード感を伴って展開していく楽曲構成、ロックミュージック特有の爆発力と(アニソン、ボカロ系のユーザーにもアピールする)現代的なポップネスを共存させたサウンドメイク、メンバー3人の高い演奏力を背景にした緻密でスリリリングなアンサンブル。バンドという形態の可能性をさらに追求した本作は、“シュガーソング”から入ってきた初心者からお得意様的なファンを満足させると同時に、まったく誤解されることなく、現在進行形のUNISON SQUARE GARDENを伝えることになるだろう。このブレのなさ、ロックバンドとしての信念の強さこそが、彼らの核なのだと思う。

UNISON SQUARE GARDEN「mix juiceのいうとおり」

the HIATUS『Hands Of Gravity』(AL)

 アルバムをリリースするたびに変化と実験を繰り返し、前衛的なサウンドにも躊躇なく踏み込んできたthe HIATUSだが、通算5作目のオリジナルアルバムにおいて彼らは、“これぞthe HIATUSの王道だ!”と快哉を叫びたくなるような音楽を堂々と打ち鳴らしている。壮大な物語性を体現するメロディとスタジアム級のダイナミズムを備えたバンドサンドがひとつになったビッグアンセム「Geranium」、煌びやかな光を放つピアノと推進力の強いビートに後押しされ、空を突き抜けるようなボーカルが響き渡る「Clone」、緻密に抑制されたアンサンブルから一転、サビに入った瞬間に一気に開放される「Drifting Story」。冒頭の3曲を聴くだけで、彼らのテンションがポジティブに振り切れていることがはっきりとわかるはずだ。楽器の鳴りを活かしたオーガニックなサウンド、感情が赴くままに自由に解き放たれた細美武士の歌も印象的。活動スタートから7年。本作によってthe HIATUSは遂に自らのスタイルを発見したのかもしれない。

the HIATUS「Bonfire」

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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