コブクロが考える、時代のど真ん中にある音楽　「どんなテーマで書いても統一感がある」

黒田俊介

「CDというモノとして音楽を作るのは、ひょっとしたら今回が最後」（黒田俊介）

――ほんと、全曲紹介したいところなんですけど、時間に限りがあるので曲を絞って。やっぱり「未来」は大事な曲ですね、アルバムの中では特に。

小渕：そうですね。「未来」という曲の成り立ちは、コミックスがあって、映画化されて、その主題歌をということだったんですけど。10年後の自分から手紙が届いたら……というストーリーで、ちょうど僕らが10年前にリリースしたのが「桜」で、そのシングルの中に「今と未来を繋ぐもの」という曲が入っていて。結局僕らも、同じようなことをずっと伝えていたんだなと思って、だから映画の方々は僕らに曲を作ってほしいと言ってきたんだなと。さっきの姿見の話のように。それで作っていくうちに、未来がどんどん枝分かれしていくということで、枝というテーマが出てきた。僕らが最初に作った歌「桜」で、そのあとに「蕾」があって、いよいよ「枝」になったぞと。どんどん戻っていくような感覚というか、先に向かっていくというより、元をたどっていくようなことをやっているのかな？と。

――ああ！　それはまさに。

小渕：「桜」の子供が「未来」だという感じが、すごくするんですね。「桜」の兄弟は「蕾」や「ここにしか咲かない花」ですけど、「未来」は子供です。だから「未来」のジャケットも「桜」と同じデザインを使っている。そういう意味で、時の流れをすごく感じています。

――もしかして、そこから、「桜」を収録した10年前の『NAMELESS WORLD』と、「未来」を収録したニューアルバム『TIMELESS WORLD』とを対比させるというアイディアが出てきた？

小渕：そうなんです。10年前のアルバムって何だっけ？というところから、『ナントカWORLD』にしようとか、『NAMELESSナントカ』にしようとか、悩みに悩んで。ある日、もう今日決めなきゃいけないという日の打ち合わせで、僕が黒田に“一個だけアイディアがあるんだけど。『TIMELESS WORLD』はどう？”って言ったら、一緒にいたデザイナーが“僕も『TIMELESS WORLD』しかないと思ってました”って言うわけですよ。あーもう、これしかないなと。

黒田：それなら“僕も思ってました“と(笑)。

小渕：それから“NAMELESS”と“TIMELESS”という言葉を比べてみたんですけど、10年前の僕らはまだ結成して7年で、TIMELEESSという言葉を使えるほどの経験もないんですね。でもそこから10年たって、“TIMELESS＝時をこえた歌”と言えるのが、やっと今かなということで、このタイトルをつけました。

――ファンはすごく喜ぶと思いますよ。しかも初回盤に封入されているフィルムを『NAMELESS WORLD』のジャケットに重ねると、新しいデザインが楽しめるという、時をこえた仕掛けもあって。

小渕：『NAMELESS WORLD』は、初めて100万枚というセールスが出た、僕らにとって思い出深いアルバムなので。持ってくださる方も多いと思うし、そこにフィルムを重ねてくれる喜びといったらないですから。それはやっぱり、CDというモノでしかできない遊びなので。今は配信になったり、音楽の聴き方は変わりましたけど、当時持ってたアルバムはずっと一生聴けるわけですから。それを大事にしてほしいなと思います。

黒田：僕らもアルバムを作りながら、“CDというモノとして音楽を作るのは、ひょっとしたら今回が最後かもね”という話をしてたんですよ。たとえば3年後にはどうなってるかわからないし。時代の波には誰も逆らわれへん。その中で自分らが何ができるか？を考えるんですよね。

小渕：そうなると、当たり前ですけど、同じことをやり続けている感覚というのは、すべてを一刀両断できるんですね。時代の流れは、大きくうねっていくんです。それに合わせると、どこかで必ずずれるんです。そこで、うねりのど真ん中に居続けるという精神状態とか、貫く気持ちは、この『TIMELESS WORLD』という言葉に表れているような気がしますね。

――思いの詰まったアルバムを引っ提げて、8月から、12月まで続く大規模なアリーナとドームツアーが決まりました。最後に、ツアーに臨む意気込みをぜひ。

黒田：まさに今、ツアーの曲順とか、もろもろの話し合いをしているところです。

小渕：前回のアルバムツアーは『One Song From Two Hearts』で、ちょっと久しぶりなので。アルバムを聴きこんでからのツアーになりますし、これだけコンセプチュアルな言葉を掲げてのツアーなので、時の流れを感じてもらいたいし、さっきも言ったように今歌いたい歌だけを詰め込んだアルバムなので、みんなで大合唱したいです。「SUNRISE」にゴスペルが入っていたり、「tOKi meki」にも楽しいコーラスが入っているし、みんなで共有する感じはすごくイメージしてますね。

小渕：たとえば僕がジャケット周りをやったり、小渕は歌を作ったり、お互いの役割分担が分かれていく中で、今回のツアーはスタッフも今までとは違う形式でやるので、新しい感じになるとすごく思います。思い切り楽しんでいただければと思います。

（取材・文＝宮本英夫）

コブクロ『TIMELESS WORLD』

■リリース情報
ニューアルバム『TIMELESS WORLD』
発売：2016年6月15日
価格：初回限定盤　CD+DVD
￥4,500（税抜）
通常盤　CD
￥3,000（税抜）

＜収録曲＞
01.SUNRISE（アサヒビール「アサヒもぎたて」CMソング）
02.未来（映画「orange-オレンジ-」主題歌）
03.何故、旅をするのだろう（JR西日本CMソング）
04.tOKi meki
05.SNIFF OUT !（テレビ東京系ドラマ「警視庁ゼロ係～生活安全課なんでも相談室～」主題歌）
06.サイ(レ)ン
07.hana（ロッテGhana CMソング）
08.星が綺麗な夜でした
09.Twilight（映画「トワイライトささらさや」主題歌）
10.Tearless
11.陽だまりの道（ドラマ「ブラック・プレジデント」主題歌／紀陽銀行CM）
12.42.195km（大阪マラソン・公式テーマソング）
13.奇跡（ドラマ「DOCTORS 3 最強の名医」主題歌）
14.NO PAIN, NO GAIN feat.布袋寅泰（東京個別指導学院CMソング）
15.STAGE（テレビ朝日ドラマ「警視庁・捜査一課長」主題歌）

■ツアー情報
『KOBUKURO LIVE TOUR 2016“TIMELESS WORLD” supported by Ghana』
8月27日（土）札幌・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ　開場16:30／開演17:30
8月28日（日）札幌・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ　開場15:00／開演16:00
9月10日（土）広島グリーンアリーナ　開場16:30／開演17:30
9月11日（日）広島グリーンアリーナ　開場15:00／開演16:00
9月21日（水）名古屋・日本ガイシホール　開場17:30／開演18:30
9月22日（木・祝）名古屋・日本ガイシホール　開場15:00／開演16:00
10月1日（土）名古屋・日本ガイシホール　開場16:30／開演17:30
10月2日（日）名古屋・日本ガイシホール　開場15:00／開演16:00
10月8日（土）愛媛・ひめぎんホール・メインホール　開場16:45／開演17:30
10月9日（日）愛媛・ひめぎんホール・メインホール　開場15:15／開演16:00
10月24日（月）日本武道館　開場17:30／開演18:30
10月25日（火）日本武道館　開場17:30／開演18:30
11月2日（水）仙台サンプラザホール　開場17:45／開演18:30
11月3日（木・祝）仙台サンプラザホール　開場15:15／開演16:00
11月9日（水）新潟県民会館　開場17:45／開演18:30
11月10日（木）新潟県民会館　開場17:45／開演18:30
11月19日（土）さいたまスーパーアリーナ　開場16:00／開演17:30
11月20日（日）さいたまスーパーアリーナ　開場14:30／開演16:00
11月26日（土）マリンメッセ福岡　開場16:30／開演17:30
11月27日（日）マリンメッセ福岡　開場15:00／開演16:00
12月5日（月）宮崎市民文化ホール　開場17:45／開演18:30
12月6日（火）宮崎市民文化ホール　開場17:45／開演18:30
12月17日（土）京セラドーム大阪　開場15:00／開演17:00
12月18日（日）京セラドーム大阪　開場14:00／開演16:00
チケット料金：全席指定￥7,900（税込）※6歳未満入場不可