バックドロップシンデレラ、なぜ名曲を“ウンザウンザ”で踊る? 各国民謡とBUCK-TICKカバーが並ぶ異色作を分析

バクシン、なぜ名曲を“ウンザウンザ”でカバー?

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 ここで、全曲、主メロ・歌メロを弄ってないことに気付いた。

 加えて、奇抜なアレンジを用いながらも、無理矢理感も違和感もないどころか、原曲のイメージがまったく損なわれていない。何気にオリジナルの延長線上にあるのだ。しかしながら、どこをどう聴いてもまぎれもなくバックドロップシンデレラの唯一無二な音楽になっているから不思議だ。アップテンポの曲をバラードに仕立てるとか、またその逆であるとか、方向性を180度変えることが多く見られる中で、こうしたカバーも珍しい。オリジナリティを追求するバンドの力量と、原曲に対するリスペクトと愛に満ちあふれているアルバムである。

「好きなアーティストのルーツを探るのが好きで、そういう聴き方をして、いろんな音楽に出会ってきたんですね。民族音楽やワールドミュージックは、一般的に馴染みの薄い音楽だと思うけど、僕らがこういう音楽をやることによって、こうした未知のジャンルや音楽との出会いになれたらなと思っています」(ペリー)

 誰もが耳馴染んだ楽曲を、オリジナリティを以てして新たな側面を引き出していく。同時にそこではじめて触れる異国の音楽に出会う人も多いことだろう。マニアックだけどキャッチー、解りやすくも深い、まさにバックドロップシンデレラというバンドを象徴するようなカバーアルバムだ。

 次から次へと我々を驚かすアイデアで攻め立てるバックドロップシンデレラ。今後も何か企んでいるに違いない。

■冬将軍
音楽専門学校での新人開発、音楽事務所で制作ディレクター、A&R、マネジメント、レーベル運営などを経る。ブログtwitter

■リリース情報
『いろんな曲でウンザウンザを踊ってみた』
発売:5月11日
価格:¥1,800 (税抜)

<収録内容>

1. だんご3兄弟(おかあさんといっしょ/速水けんたろう・茂森あゆみ)
2. ジンギスカン(Dschinghis Khan)
3. サウスポー(ピンク・レディー)
4. シュラバ★ラ★バンバ(サザンオールスターズ)
5. マイム マイム(イスラエル民謡)
6. ゴーウエスト(ザ・ドリフターズ)
7. ICONOCLASM(BUCK-TICK)
8. 一週間 (ロシア民謡)
9. bubamara(ロマ民謡/エミール・クストリッツァ)
10. にっぽん昔ばなし(まんが日本昔ばなし/花頭巾)

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