>  > fhánaの考える、バンドとしての“不思議な立ち位置”

2ndアルバム『What a Wonderful World Line』リリースインタビュー

fhánaが明かす、“どこにも帰属しない”スタンスと戦略「すべての場所で浮いた存在になっている」

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「すべての場所で浮いた存在になっている。どこに居ても違和感がある」(佐藤)

――fhánaはアニメの主題歌をやっているという立ち位置もあるし、バンドとしての世界観も発信している。その両面性もあるグループですよね。さらに、海外でもライブを行っている。そういう今のfhánaが持ってる不思議な立ち位置とそこの武器みたいなものに関して、どういう風に捉えていますか?

佐藤:そこに関しては、自分の中に明確な戦略、青写真がありますね。fhánaはこれまでアニメをベースに認知されてきて、地盤を固めていると思うんです。だけどアニソンだけに留まる音楽ではないと思っていて。かといって「所謂J-Rockのシーンで本当はやりたい」というわけでもない。海外受けする日本のポップカルチャーを発信する立ち位置のバンドでもない。全部と被ってはいるんですよ。でも、そのすべての場所で浮いた存在になっている。どこに居ても違和感がある。アニソンのイベントに出たら「他のアニソンアーティストとfhánaはちょっと違うよな」みたいになるし。

towana:それはありますね。

佐藤:でも、仮に普通のJ-Rockバンドとかロックバンドの集まりのなかにいたとしたら、「fhánaはちょっと違うよな」ってなる。

kevin:それもある(笑)。

towana:ライブをしていても思うんです。他の人たちがよくやる煽り方を私たちは持ってなかったり。それはどこに行っても感じることですね。

佐藤:ジャンルの様式美に染まってない、そこの予定調和のなかにない存在だと思うんですよね。もちろん、ある程度は合わせているんです。たとえば「Animelo Summer Live」に出させてもらったら、ちゃんとそこで合うようにしている。でも、同時にそこの空間で少し浮いた存在になっている。どこに行ってもちょっと違う。それがおいしいポイントだと思っていて。意識的にそうしているところもありますね。

――なるほど。海外への展開に関してはどうでしょう?

佐藤:NHKワールドの『J-MELO』という海外向けの音楽番組の企画で、「J-MELO Breakthrough Artist Showcase 2015」という楽曲の世界投票があって。そこで僕らが3位になったんですね。他にも有名なアーティストもいたんですけど、インドネシアとかアジアの人が投票してくれて。しかも、それがアニメの主題歌じゃなくてアルバム曲なんですよ。「Outside of Melancholy ~憂鬱の向こう側~」だったんです。だから、「あのアニメの曲を歌ってるfhánaだ」っていうんじゃなくて、fhánaというバンドのキャラクターが受け入れられたのかもしれない。そういう風にしていきたいという思いはありますね。

――そこが突破口になっている。

佐藤:そうなんです。アルバムにも「Relief」という曲が入っているんですけれど、これは全編英語詞の曲なんですね。それはやっぱり、去年にアトランタでライブをやったり、「J-MELO」で3位になったり、そういうことを経て、世界に出ていきたいというモチベーションが高まっていて。その中の一つの試みとして英語の曲を作ろう、と。その前に作った「追憶のかなた」でも英語のパートがあるんですけれど、そこで録ったtowanaの英語のヴォーカルがすごくいい感じだったんですね。それで全編英詞もいけるぞ、と作ったのがこの曲です。これは自分の音楽的な趣味が反映されている感じですね。

――この「Relief」っていう曲もfhánaらしさを拡張するタイプの曲ですよね。

佐藤:そう。それでこの「Relief」って「救済」という意味なんですけど、世界に向かってどういうメッセージを発信したらいいのかを考えて、そういうものが出てきたんです。みんな、それぞれいろんなレベルで救いを求めてると思うんですよね。経済的には豊かな人も、貧困の中で食うや食わずの中で生きている人も、テロや戦争の中にいる人も、誰もがそれぞれ救いがあるみたいな、そういうことを歌っているんです。

――それが曲のテーマになっている。

佐藤:だけど、その「救い」っていうのは「僕が君を救ってあげるよ」みたいな感じで安易に与えられるものじゃなくて、「自分のなかにこそ救いがある」「自分を救えるのは自分だけ」みたいな、そういうことを歌っていて。それが他人を救うことにも繋がると思うんですよね。それは個人個人のことでもそうだし、世界全体のことでもそうだと思っていて。ヨーロッパの移民の問題にしても、アメリカの大統領選にしても、今の世の中から徐々にリベラルさが失われていると思うんです。世界は否応なくバラバラに多様化していて、それは止められない。だからこそ、それに対する反応として混乱も生まれているし、保守的な反応も生じている。だけど、そういう中でも多様化や多様性自体は肯定されていくべきだしそこで上手く調整していくことが必要ですよねっていうことも、このアルバム全体でうっすら言いたかったりすることなんですよね。

――確かにそうですね。音楽というのは、ある種のポジティビティをてらいなく表現できるアートフォームであると思うんです。「多様性というのは大事なものなんですよ」っていうことも、気持ちよいメロディとドラマティックな曲に乗せれば、お題目じゃなく伝えることができる。

佐藤:そうですね。ただ、fhánaの持ってる精神性としては、それをストレートに打ち出すと「いやそれはちょっと違う」みたいな感じになっちゃうんです(笑)。でも、本当にそう思うんですよ。「人はわかりあえる」と信じていたら、そうじゃなかった時に悲しみが生じてしまう。人間同士だったら喧嘩になるかもしれないし、国と国だったら戦争になるのかもしれない。それよりは「わかりあえない」っていう前提から始めたほうがいいと思うんです。それでも一瞬わかりあえたような気がするときもある、という。だからその瞬間はすごく奇跡的に輝くし、神様からのギフトみたいなものなんだ、みたいなことを歌ってるのが、ラストの「gift song」という曲で。そういう感じで、アルバムは希望を見せて終わっているんですね。

(取材・文=柴 那典)

■リリース情報
『What a Wonderful World Line』
発売:4月27日(水)
価格:初回限定盤(CD+Blu-ray) ¥3,600 (税抜価格)+税
   通常盤(CDのみ) ¥3,000 (税抜価格)+税

<CD収録内容>
01. The Color to Gray World
02. What a Wonderful World Line
03. ワンダーステラ
04. Relief
05. little secret magic
06. Antivirus
07. 虹を編めたら
08. Critique & Curation
09. c.a.t.
10. Appl(E)ication
11. 追憶のかなた
12. ホシノカケラ
13. コメットルシファー 〜The Seed and the Sower〜
14. gift song

<Blu-ray収録内容>
-MUSIC VIDEO-
01. What a Wonderful World Line
02. 虹を編めたら
03. コメットルシファー ~The Seed and the Sower~
04. ワンダーステラ

-リスアニ!LIVE 2016 LIVE映像-
05. 虹を編めたら
06. コメットルシファー ~The Seed and the Sower~
07. divine intervention
08. 星屑のインターリュード
09. Outside of Melancholy ~憂鬱の向こう側~

■ライブ情報
『What a Wonderful World Line Tour 2016』

5月7日(土) 東京・LIQUIDROOM OPEN 17:00/START 18:00  
5月14日(土) 名古屋・Electric Lady Land OPEN 17:00/START 18:00  
5月15日(日) 大阪・umeda AKASO OPEN 16:00/START 17:00  
6月4日(土) 東京・Zepp DiverCity(追加公演) OPEN 17:00/START 18:00

チケット料金:スタンディング5,800円(税込)
※3歳以上有料 ※入場時ドリンク代別途500円必要 
※整理番号順での入場
※営利目的の転売禁止
※転売チケット入場不可
※オークションへの出品禁止

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