LAMP IN TERREN、HOWL BE QUIET、SHE'S “歌”でつながる同世代バンドが生んだもの

SHE'S、ハウル、テレン3マンレポ

20160423-lt1.jpg
LAMP IN TERREN

 トリを飾ったLAMP IN TERREN。今更ながら筆者は初見で、まずフロントマンである松本大(Vo、Gt)の20代前半のバンドマンには珍しい、ある種のロックスターぽい出で立ちが目に飛び込んでくる。同時にハスキーで男気のある強い声質も新鮮に耳に飛び込んできた。ケレン味たっぷりでありつつ、煮え切らない青年未満の心情をリリカルに歌うというユニークなバランス。8ビートを堂々と鳴らすバンドの骨太さ。トリッキーなところのない”ザ・ギターバンド”であり、日本語を大切にした叙情味でも聴き手を引き込んでいく。中盤には5月3日リリースのダブルAサイドシングルから披露した「innocence」は、ラストのサビ前の静かなブロックでのコーラスワークから、熱を帯びて叫びになる松本のボーカルまでが、大きなストーリーを描いていた。同シングルのもう1曲「キャラバン」は、一転して明るいコード感とバンドという旅を続けていくワクワクした気持ちを表現した演奏だった。歌が軸にあるからこそ可能な音楽的なレンジの広さを持つことができる、そういうバンドだと理解した。

20160423-of8.jpg

 

 アンコールでは、このツアーで恒例になったらしい、他バンドナンバーのカバーを披露。この日、LAMP IN TERRENはSHE'Sの「Un-science」をカバーした。松本曰く、「自分では素直に書けなかった愛について”Love gives me wonder”という表現」に共振したのだという。ギター・アレンジでのカバーという意味でも聴きどころの多いカバーだった。そんなふうに対バンへのリスペクトを表明しながら進んできたツアーから、バンドはもちろん、オーディエンスも受け取るものが多かったはずだ。歌を大事にするバンド、とわざわざ形容する必要はもうすぐなくなるのかもしれない。先輩バンドで言えばback number、さらに大御所で言えばMr.Childrenにそんな形容をする人はいない。まだ遠すぎる存在なのかもしれないが、10代〜20代前半の女性ファンに加え、バンドと同世代の男性ファンも増え始めた今、さらにリスナーの層が広がれば、新しいスタンダードを彼らが築く可能性は大いにあると見た。

(文=石角友香/写真=山川哲矢)

SHE'S「Un-science」
HOWL BE QUIET「MONSTER WORLD」
LAMP IN TERREN「innocence」

SHE'Sオフィシャルサイト
HOWL BE QUIETオフィシャルサイト
LAMP IN TERRENオフィシャルサイト

次ページ:メンバーソロライブフォト

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる