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"せか猫"クリエイターを魅了する新星=HARUHI その歌声の可能性を音楽ライター2氏が分析

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 音楽業界を中心に、各界のクリエイターたちがいま、熱い視線を注ぐひとりの女性アーティストがいる。5月11日にデビューシングル『ひずみ』のリリースを控えるHARUHIだ。プロフィールによると、99年、アメリカ・ロサンゼルス生まれの17歳。今まで表だった活動が全くない中、突如現れた赤く染めたショートヘアーと中性的なルックスが、ミステリアスな魅力を増している。

 川村元気氏の同名小説を原作とする映画『世界から猫が消えたなら』(以下『せか猫』)(5月14日公開)の主題歌に抜擢されていることもあり、すでに映画館や街中などで表題曲「ひずみ」を耳にしている方も少なくないだろう。3月14日にGYAO!で先行解禁され、翌日にYouTubeでアップされた『せか猫』バージョンのMVは、あわせて再生数 45万回を突破。その1ヶ月後、4月15日にアップされたばかりのHARUHIバージョンのMVは、映画『せか猫』の永井聡監督と主演の佐藤健が、1月に行われたHARUHIのライブパフォーマンスと歌声に衝撃を受けて参加していることもあり、大きな話題となっている。また、現在歌詞サイトの歌ネットではデビューシングル「ひずみ」が早くも注目度ランキング7位にランクインしている。

 永井監督が“たった1小節聴いただけで主題歌への起用を決めた”というエピソードにも象徴されるように、クリエイターや早耳のリスナーを瞬殺で打ち抜くHARUHIの音楽の魅力はどこにあるのか。音楽ライターの森朋之氏は次のように指摘する。

「『せか猫』の川村元気氏(原作)、永井聡氏(監督)、佐藤健氏(主演)がHARUHIの「ひずみ」についてコメントしていますが、3氏とも揃って、まずはHARUHIの声に着目しています。“女性の繊細さがありつつ、男性の力強さがある”“微笑んでいる少女のような、泣いている少年のような”“切なさの中に力強さも”と表現は違いますが、共通しているのは、彼女の声から、相反する印象を受け取っているということ。悲しみと希望、憂いと明るさ、開放感と密室感といった真逆の感情を聴く者に同時に与える。たとえばCocco、Salyuなどもそうですが、優れたボーカリストというのは本来“そういうもの”であり、HARUHIのボーカルからも同じものを感じます。

 さらにHARUHIの場合は、声のなかに“揺らぎ”の要素があるのが特徴だと思います。感情表現、音程などを繊細に揺らすことにより、楽曲に奥行きを与え、リスナーに様々なイメージを与えているというか。それが天性のものなのか意図的にやっていることなのかはわかりませんが、楽曲を聴く限り、ある程度、自分自身でコントロールされている印象を受けました」

 歌声と楽曲の相性も良いと、同氏は続ける。

「「ひずみ」は、そんな彼女の特性を上手く引き出している楽曲ですね。ゆったりとした手触りのメロディにはHARUHIの表現力が存分に発揮できるだけのスペースがあるし、心地よい揺れを感じさせるバンドサウンドも彼女の声によく似合っています。プロデューサーは数々の素晴らしいボーカリストを世に送り出してきた小林武史さん。今回も、声の特徴を最大限に活かす的確な仕事だと感じました。

 具体的なことを歌わず、目の前にある情景、感情を客観的に描いた歌詞も、HARUHIのボーカルスタイルに合っていると思います。ひとつひとつのフレーズに感情を込めるというよりも、言葉を音として捉えているような雰囲気があり、それが“押しつけがましくない”という印象につながっているのではないか、と」

 一方で、音楽ジャーナリストの柴那典氏は、HARUHIが日本の音楽シーンに与えうる影響について、次のような示唆をしている。

「デビューシングルに収録される、彼女が作詞作曲を手掛けた曲「Empty Motion」と「The Lion is Calling Me」は、J-POPというよりむしろ、90年代のオルタナティヴ・ロックや00年代以降のインディー・ロックを彷彿とさせます。英語詞であることもそうですが、構成も昨今のJ-POPと異なっていて、Bメロや大サビがないんです。アメリカ育ちならではの音楽性で、シンプルに声の強さで勝負するスタイルは、複雑な構成を持つJ-POPに慣れたリスナーにとって新鮮に響くはずです。次のスタンダードとなる可能性を秘めているといえるでしょう」

 また、彼女を軸とした“チーム”でクリエイションを行っているところも、大きな強みとなると同氏は見ている。

「Perfumeやサカナクションといったアーティストが絶大な人気を得た理由のひとつに、一流のクリエイターたちがチームを結成して、アートワークやライブパフォーマンスの演出まで含めて、完成度の高い世界観を築いたことが挙げられます。今回、HARUHIにはすでに名プロデューサーの小林武史さんが付いていますし、MVは映画と同じく永井聡監督が手がけています。彼女の神秘的なイメージに沿う形で世界観が築かれているため、さらなる広がりも期待できるのでは」

 2016年、音楽シーンに現れた17歳の新星・HARUHIの“声”をぜひ体験してみて欲しい。

(文=編集部)

HARUHI 『ひずみ』(Music Video)

■リリース情報
『ひずみ』
発売日:2016年5月11日
価格:
【初回生産限定盤】¥1,500(税込)
4曲入りCD+「ひずみ」 MV収録DVDの2枚組
【通常盤】¥1,200 (税込)
4曲入りCD
〈収録曲〉
1. ひずみ (Lyrics and Music : 小林武史) ※映画「世界から猫が消えたなら」主題歌
2. あたたかい光 (Lyrics and Music : HARUHI, 小林武史) ※明光義塾CMソング
3. Empty Motion (Lyrics and Music : HARUHI)
4. The Lion is Calling Me (Lyrics and Music : HARUHI)

■オフィシャルサイト
http://www.haruhi99.jp/

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