GLAYによる“CDシングル”への問題提起 『G4』シリーズの先見性とは何か?

参考:2016年01月25日~2016年01月31日のCDシングル週間ランキング(2016年02月08日付)

 2016年の始まりは、とかく芸能スキャンダルのニュースが過熱気味に吹き荒れた1カ月だった。
 
 こういった報道と実際のチャートアクションが結びつくことはなかなかないのだが、今回印象的だったのは、SMAPの解散危機の報道を機にファンの間でシングル『世界に一つだけの花』の購買運動が広がったこと。結果、同作はオリコンの1月22日付シングルデイリーチャートで1位を記録し、2月1日付週間ランキングでも週間4万7千枚を売り上げて3位にランクイン。12年ぶりのオリコンTOP3入りを記録した。そして今週も8位となり、異例の2週連続TOP10入りとなっている。

 おそらく、今回このシングルを買ったSMAPファンのうち、すでにCDを持っている人はかなりの数を占めるだろう。収録アルバム『SMAP 015/Drink! Smap!』やベスト盤『SMAP AID』も含めるならば、「世界に一つだけの花」という楽曲自体を所有している人はその大半と言っていいのではないだろうか。つまり、そう考えるならば、今回、数万枚規模のCDが純粋なる「意思表示」として買われたことになる。

 そのこと自体をどうこう言うつもりはないが、ヒットチャートを分析してきた身からすると「ついにここまで来たか」という感慨はある。

 特にここ数年、音楽チャートを巡っては、特典商法や複数枚購入に関する話題がネガティブな角度から取り沙汰されることが多かった。ゴールデンボンバーがシングル「ローラの傷だらけ」であえて特典なしのCDを発売し話題を呼んだこともあった。

 その時に鬼龍院翔が意図したのは、「果たしてファンは本当に“音楽”を買っているのか?」という問題提起をすることだった。が、ここに至って、状況はさらにその先を行っている。グループの存続を願ったファンは、「解散を阻止しよう」と一致団結。オフィシャルな情報とは一切関係なく、SNSのタグを通じて自主的にポジティブな購買運動を盛り上げた。すなわち、彼らが買ったのは“音楽”でも“特典”でもなく、いわば“心意気”にお金を払ったわけである。

 ダウンロードや定額制ストリーミング配信が普及した2016年、いろんな意味で、CDシングルチャートの意味がさらに変わりつつあることを痛感する。

 というわけで、今週のシングルランキング。1位にGLAY、2位にGENERATIONS from EXILE TRIBE、3位にlolという結果となったのだが、実は1位となったGLAYのシングル『G4・IV』も、シングルというフォーマットに対しての問いかけを内包したものになっている。

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