ジャスティン・ビーバーの大変身アルバムにハマった人が次に聴くべき4枚

グライムス『アート・エンジェルズ』

 そして必聴なのがグライムスのニューアルバム。カナダのバンクーバーを拠点に活動する女性ソロアーティストで、本名はクレア・バウチャー。デビュー当初からそのエッジィな音楽性が注目を集めていたが、この11月に名門レーベル「4AD」に移籍し3年ぶりとなる4th『アート・エンジェルズ』をリリースしたばかり(日本盤CDは12月11日 にリリース予定)。

 新作は彼女がもともと持っていた先鋭的で実験的なセンスとポップ性が絶妙に融合した一枚。たびたび彼女自身がルーツにあげているナイン・インチ・ネイルズに通じるようなインダストリアル・サウンドに、極太のベースが絡みあう。かと思えば、テイラー・スウィフトを彷彿とさせる「Flesh without Blood」のような曲もある。

Grimes - Flesh without Blood/Life in the Vivid Dream

 デビュー当初にスクリレックスのカナダツアーのオープニングに抜擢されたり、前作『Visions』リリース後もディプロ、スクリレックスと共にツアーを巡ったりと、彼女もやはり「ディプロ&スクリレックス人脈」のアーティスト。そしてこれも2015年を象徴する一枚と言っていいだろう。

MØ「Kamikaze」

 見逃せない新鋭がMØ(ムー)。先ほど紹介したメジャー・レイザーのヒット曲 「リーン・オン」にフィーチャリング参加していたデンマーク出身の女性シンガーだ。

 本名をKaren Marie Ørstedという彼女は現在27歳。昨年にデビュー・アルバム『ノー・ミソロジーズ・トゥ・フォロー』をリリースしたばかりだが、2013年にはアヴィーチーの「ディア・ボーイ」でフィーチャリング参加していたりと、実は数々のヒットナンバーの歌声を担ってきたキャリアの持ち主だ。新曲「Kamikaze」はやはりディプロがプロデュース。不良仲間と街を荒らす「マッドマックス」風のミュージックビデオも含めて、徐々に反響を広めつつある。

MØ - Kamikaze (Official Video)

 パリでの同時多発テロ事件もあって「kamikaze」という言葉がヨーロッパでも注目を集めるようになったのは不幸な出来事だが、おそらくこの曲は来年リリース予定の彼女のセカンド・アルバムに収録されるはず。どんなステートメントが発せられるかも注目したい。

 というわけで、今回はジャスティン・ビーバーの新作からスクリレックスとディプロというハブを経由してつながる5枚を紹介した。結果として、今年のダンス・ミュージックやエレクトロ・ポップの動きを象徴するようなセレクトになったのではないだろうか。

■柴 那典
1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」Twitter

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