LOUDNESS二井原・山下が語る、『THUNDER IN THE EAST』とメタルシーンの現在

LOUDNESS二井原・山下のメタル談義

アメリカ、ヨーロッパ、日本のメタルシーンの違い

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──30年前と比べて、アメリカやヨーロッパのメタルシーンはどんな感じなんですか?

山下:アメリカとヨーロッパではまた違うんだよね。僕らがアメリカで呼ばれる大きなフェスって大体80年代のバンドばかりだから、必然的にそういうお客さんが多いんで。

二井原:TESLAとかQUEENSRYCHEとかね。

──じゃあ年齢層も若干高め?

山下:そう。当時を知ってる人たちだから、もちろん盛り上がりますよね。でもヨーロッパに行くと最近のバンドも結構出るし、聴いたことないのがいっぱいいる。例えばフィンランドのフェスでは、僕はそのとき知らなかったけど、OPETHがすごく良くて。あとはAMORPHISとかABBATHとかSABATONとか、あのへんはヨーロッパでは必ず人気があるけど、アメリカではそうでもないよね。で、アメリカに行くとTHE WINERY DOGSが人気だったり。全然色が違いますよね。アメリカ、ヨーロッパ両方で盛り上がるのはLOUDNESSとTWISTED SISTERぐらいじゃないですか。

二井原:TWISTED SISTERは向こうではすごい人気だよね。

山下:この前のスペインは楽しかったですね。出演バンドがSCORPIONS、JUDAS PRIEST、KROKUSとちょっとあり得へん感じで、高校生の頃の僕に戻ってしまいましたから。しかも僕らの出番が終わったらすぐにACCEPTが始まって、その後にJUDASがたたみかけるように始まって。

二井原:最後にRIOTが出てね。

山下:RIOTのメンバーから「お前、『Warrior』弾けるか? だったら出ろ!」って言わて、そのままライブに飛び入りしたんです。

二井原:僕はそれを最前列で、酔っ払いながら観ていて(笑)。

山下:ものすごくデカいサッカー場が3つぐらいある場所にステージを組んでやってるんだけど、ありえへんのはすぐそばに普通に民家やマンションがあるのに夜中の3時ぐらいにVENOMがライブやってるの(笑)。これ日本だったら、神宮球場で夜中の3時にいきなりVENOMが演奏するようなものだからね。

──普通なら苦情が来ますよね(笑)。では皆さんから見て、日本の今のメタルシーンはどう映りますか?

山下:『LOUD PARK』とか呼んでもらうけど、盛り上がってるよね。ただ、あれも外国のバンドがメインで、日本人がまだまだメインにはなれていないのがどうなんやろうなって。例えばLOUDNESSだったりOUTRAGEだったりANTHEMだったりがメインにおって、それに対抗するようなやつがおったらまた違うのにね。そういうイベントができたらええなと思いますけどね。

──そういう意味ではLOUDNESSは今年、OUTRAGEとともに『LOUD∞OUT FEST』というイベントを初開催しましたが。

山下:そうですね。あれを大きくしていけばいいわけですから。

二井原:ドメスティックなバンドのメタルイベントっていう意味ではね。

90年代末は引退、就職活動まで考えた

──ちょっと話は変わりますが、ヘヴィメタルにとっての90年代って80年代ほどの盛り上がりに欠けた時期でしたよね。

山下:ちょうどグランジの時代で。

──ですね。二井原さんも山下さんも当時、LOUDNESSから離れてそれぞれ別のバンドで活動していたわけですが、お2人にとってどういう時代でしたか?

二井原:あの当時は世界的に、メタルバンドが生き延びていくのに大変な時期だったよね。特にオーソドックスなメタルをやってるバンドには厳しかったし、それこそギターソロがない曲が好まれる時代だったし。僕はすでにいなかったけど、LOUDNESSだって相当実験的な時期でしたから。

──二井原さんは当時SLYで活動していましたが、お客さんに変化ってありましたか?

二井原:SLYに関して言うと、EARTHSHAKERとLOUDNESSが合体したバンドだったから、デビューしたときはそこそこ興味を持って来てくれてたけどね。CDも10万枚ぐらい売れたのかな、あのときは。まあ話題作りはすごかったですから。ただ、その感じを維持できなかった。だって当時はB'zをはじめ、ビーイング系の時代だったからね。ちょっとロックっぽいギターが入りながらも、歌は歌謡曲的で。

山下:僕はまさにそこにおったんですよ。

──spAedのことですね。

山下:あの頃はいっぺんハードロックとは違うものをやってみようと思って、ああいう音楽をやってたんです。でも2年もやってたらどんどん鬱憤が溜まってきて(笑)。

二井原:僕は1998年ぐらいにバンドや事務所がなくなり。それこそもう引退やな、次は仕事何しようかなと、マジで求人雑誌を買ったり新聞の求人欄を調べたりして、履歴書を買って就職活動しないとなってところまで来てたからね。

──そこまでだったんですね。そして2000年に二井原さん、山下さん、樋口さんがLOUDNESSに復帰します。

二井原:ちょうどLOUDNESSが結成20周年で、もう一回オリジナルラインナップに戻ろうかって話があって。で、現在に至るという。35年もやってれば、いいときもあれば悪いときもありますよ。

──でもLOUDNESSは一度も解散してないですよね。

山下:そうですね。タッカンが1人で守ってきたから。

二井原:彼がいればLOUDNESSですからね、はっきり言って。

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