9mm Parabellum Bulletが「クアトロA面シングル」で見せた、4人4様のプロデュース力

 2013年にリリースされた、現時点での最新アルバム『Dawning』を聴いた印象は、「爽快」だった。混沌を鳴らしてきた9mmに対して、爽快と思えるなんて!と自分自身でも戸惑ったが、それだけ9mmの表現の幅は広がってきていたのだ。そしてそれは、この4人が個々で様々なスキルを成長させていたからだったのだ。今作は、そんな9mmの過去をひもとくカギにもなる。そして、恐らく今後リリースされるアルバムに、より4人の色が明確に反映されていくであろうという予兆にもなっている。つまり今作は、9mmの過去・現在・未来を繋ぐ一枚になっているのだ。9mmが現れた頃は、ステージ上の全員がぶつかり合うようなパフォーマンスから、制作の現場でもバチバチやり合っているに違いないと思っていたけれど、今作で、誰がイニシアチブを握ってもまとまる様子を見ていると、リスペクトし合っているからこそ、安心してやり合えるのだな、と今更ながら思う。

 9月11日には『反逆のマーチ』を引っ提げてMステに出演する彼ら。「ロックバンドが地上波のテレビに出演する意義」が語られることの多い今日この頃、彼らはどんなパフォーマンスを見せてくれるのだろうか? 《欲望に飲まれて忘れた何もかも/愛でも勇気でも思い出させてやるよ》――ロックバンドだけが、9mmだけが持つ、ドロドロの時代を掻き分けられるリアルな言葉と音。今の彼らなら、巨大なメディアを通してでも、それを轟かせられるだろう。信じてお茶の間で待つ。

■高橋美穂
仙台市出身のライター。㈱ロッキング・オンにて、ロッキング・オン・ジャパンやロック・イン・ジャパン・フェスティバルに携わった後、独立。音楽誌、音楽サイトを中心に、ライヴハウス育ちのアンテナを生かしてバンドを追い掛け続けている。一児の母。

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