乃木坂46『真夏の全国ツアー』で見えたグループの成長 セットリストとパフォーマンスから読む

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彼女たちがツアーで得たもの

 「結局、乃木坂らしさとは何だったのか?」

 その答えは未だ出ていないし、実は一つの答えを出すことが今回のツアーの目的ではないともいえる。白石も西野も「グループ全体について考えるようになった」と語っていたのはセンターに選ばれた後のことで、アンダーメンバーや研究生は『アンダーライブ』がスタートするまで、何を頑張ればいいかすらわからない日々を過ごしていた。今まで大きな流れのなかで、アイドルとして夢中に駆け抜けてきた彼女たちは、自身について考えるだけで精一杯だったのだろう。そんな彼女たちが更なる高みにむけて「『乃木坂らしさ』とは何か?」について真剣に考え悩むことになったこと。じつはそのこと自体に大きな意義があり、成長なのである。彼女たちはこれから今まで以上に外の世界に飛び出していくだろう。そのたびに他と比較して同じような壁にぶつかることになるだろうが、そこで迷い悩み歩んだ道のりは積み重なる。そして、後に自分たちの成長の過程を振り返るとき、得体のしれない全貌を目の当たりにすることになるのかもしれない。その初めの一歩を全員で踏み出せたことが、今回のツアーの一番の収穫なのだと思う。

 さて、神宮公演2日目のアンコールでは新曲が早くも披露された。初のダブルセンターと盤石のメンバーで挑む13thシングル表題曲は、杉山勝彦氏と共に今や乃木坂46にとって欠かすことのできない存在となったAkira Sunset氏がAPPAZI氏とコライトした「今、話したい誰かがいる」。グループにとって新たな境地になりそうなこの曲で、彼女たちは再び紅白へと挑む。桜井玲香は神宮公演2日目のダブルアンコール終了後に、「皆さんを後悔させないような、どこにも負けないグループになってみせる」と誓ってくれた。「乃木坂らしさ」を追い求め続ける限り、彼女たちの成長は止まることはないだろう。

■ポップス
平成生まれ、音楽業界勤務。Nogizaka Journalにて『乃木坂をよむ!』を寄稿。

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