Awesome City Club×CAMPFIRE・石田光平対談 メジャーバンドがクラウドファンディングを使う意義とは?

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「目的意識を持って利用してくれる方のほうが、原盤制作費支援を募るより多い」(石田)

――今回、ACCが行った取り組みについては、一部から「なぜメジャーアーティストがクラウドファンディングを使うのか」という意見もありました。

atagi:クラウドファンディングに対して、「原盤制作費がないから投資してください」という目的でサービスを使っているというイメージを持っている方が多いからだと思うのですが、冒頭に言ったように、僕らは「受注生産」のような形を提示するためにこのプロジェクトを始めたという経緯があります。CDを購入するだけなら1500円、7inchシングルもセットなら3000円というように、店舗展開されているような大きな流通規模よりは多少高価になりますが、それでも欲しがってくれる人だけに届けたかったから。規模の感覚の違いが伝わっていれば、そういう問題は起きなかったと思うし、上手く伝えきれなかったのかなと悔しい気持ちになります。

PORIN:私たち自身も、「プロジェクトを単純に楽しんでもらえたらいい」という気持ちでやっているので、「お金がない」とか「メジャーだから」とか、そういうことに拘りたくありませんでした。今回の取り組みをきっかけとして、同じようなやり方がどんどん広まって、主流になっていけばいいと思っています。

――では石田さん、ACCのように、実際に原盤制作費支援以外の目的で、音源を作りたいというアーティストはどのくらいいるのでしょうか。

石田:「何かを一緒にやっていきたいし、新しい取り組みをしたい」という目的意識のうえで利用してくれる方のほうが、単純に原盤制作費支援を募る方より多いです。通常やっていることにプラスアルファをして、より楽しんでもらうための企画を立て、それを一緒に実現するために支援を募るという形ですね。そのため、プロジェクト自体にもただ作るだけではない、支援するに値するような実験的なものなどが少なくありません。

――クラウドファンディングシングルとしてリリースする楽曲は、9月16日リリースの2ndアルバムにも収録されている「アウトサイダー」ですね。同曲はストリングスを多用したアレンジなど、バンドとしてより広い地平へ踏み出そうとしているのが伝わってくる楽曲です。

Atagi:まさに、バンドとして一皮むけたいと思って作ったんです。今までにないアプローチや、これまでの自分では出てこなかったような感覚で曲を作りたくて、いろいろ試行錯誤をしていました。メロディーとコードと簡単なアレンジをモリシー(Gu)に聴かせたところ、「この曲のリアレンジをしたい」と提案してくれて、数日後に上がってきたトラックを聴いたら、ストリングスがたっぷり入っていてとても新鮮でしたね。意外とゴリゴリのR&Bっぽいストリングスのアレンジではなく、少し室内楽っぽい、温かみを感じるアレンジになったことが、個人的には良かったと思っています。クレジットには載っていないのですが、メロディーも歌詞も、メンバーがいろいろと首を突っ込んだりしているので、みんなで作った曲というイメージが強いかもしれません。

PORIN:「アウトサイダー」という曲名は、私のアイデアだしね。歌詞に関しては、主宰のマツザカが、「SNSが定着した世の中での、人と人の繋がりあい」をテーマに書いています。

――それは今回のクラウドファンディングプロジェクトを意識して?

atagi:いえ、作った当初は意識していませんでしたが、結果的にかなり密接な曲になりましたね(笑)。僕らはSNSをすごく活用して、寄り添って生きているタイプなので、そこに対して否定的な感情はなくて。ただ、特殊なものだなとは感じていたので、その不思議な感覚を歌にしました。

PORIN:実際に会っていなくても会った気になるもんね。

石田:僕も、完全にインターネットが当たり前にある環境の人間なので、同じ感覚ですね。Facebookこそ最近見ませんが、Twitterは毎日見ていますし。今日も、ここに来る前に「今からの取材が最高に楽しそうだ」とつぶやいてきました(笑)。本当にSNS上の距離感って不思議で、知らない人がすごくフレンドリーに話しかけてくるなと思ったら、その人がTwitterのフォロワーさんだった、みたいなことも頻繁にありますし。でも、ネット上とリアルで人格が違う人がいるから、気を付けた方がいいですよ(笑)。

atagi:結果的に、良いとか悪いとかの話ではないと言いつつも、実際に会って話しをするのがやっぱり一番早くて間違いがないですよね。

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