GLIM SPANKYが見据える、世界進出の見取り図「『こういう音もメジャーになれる』ということを証明したい」

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 GLIM SPANKYが、7月22日に1stフルアルバム『SUNRISE JOURNEY』をリリースする。これまでヘビーなロックサウンドとパワフルな歌声で突き進んできたGLIM SPANKYにとって転換点となる、「褒めろよ」や「リアル鬼ごっこ」「サンライズジャーニー」といった間口の広い楽曲をはじめ、バラエティに富んだロックナンバーが多数収録されている一作といえる。今回のインタビューには、松尾レミと亀本寛貴の2人が登場。GLIM SPANKYのルーツや制作手法、松尾のボーカリストとしての歩みや亀本がレコーディングで得たもの、そして活動の先に見据える大きな野望について、大いに語った。

「日本語で世界のロックに挑戦して、ワールドワイドでメジャーなものになっていきたい」(松尾)

――GLIM SPANKYが『閃光ライオット』に出演した際は、4人組のバンドでしたよね。どのように形を変えて今の2人になったのでしょうか?

松尾レミ(以下、松尾):元々4人で結成したのは、高校に入学してすぐ、文化祭でコピーバンドをするためでした。なので、文化祭が終わった段階でギターとベースのメンバーが抜けたのですが、また同じパートをやっている亀本を含む先輩2人が加入して。この時の4人で『閃光ライオット』に出演しました。そこからメンバー脱退を経て、亀本が残り今の形になりました。

――その頃からずっと松尾さんがソングライティングを手掛けていたそうですが、2人はそれぞれどんな音楽に影響を受けたのでしょうか。

松尾:私は父がアートの個展を開いたりするような人で、家では常に音楽が流れていました。小さい頃はミュージシャンの方や詩を書いている人に会わせてもらうなど、幅広いカルチャーに触れていくなかで、音楽に興味を持ちました。音楽も海外のスタンダードなロックのほかに、フランス音楽やアフリカン・ロック、60年代アングラフォークに渋谷系など、分け隔てなく流れるような自宅だったんです。そのなかでも特に好きだったのがビートルズで。中学生の時から私はガサついた声だったので、合唱曲で高い声を歌えないことをコンプレックスに思っていたのですが、ビートルズの「Help!」を聴いたとき、ジョン・レノンの声がガサついているのにカッコよかったことに衝撃を受け、声の使い方や「自分の声はこういうジャンルで発揮できるかも」と気付けたんです。

亀本寛貴(以下、亀本):僕が最初に楽器を持ったきっかけは、小学校低学年くらいの時に母が録画していたドラマの主題歌にGLAYが起用されていたことです。その後も中学校・高校と気持ちが続くのですが、高校生の時にバンドをやりたいと思い、TSUTAYAで片っ端から洋楽のCDを借りました。ニルヴァーナ、ガンズ・アンド・ローゼズ、オアシスと、時代で区切らないようにしながら音楽を聴いていると、次第にジミ・ヘンドリックスやクリームのCDを貸してくれる友人もできて。実際に60年代や70年代のロックを聴いて、練習したり、大学のサークルで演奏するようになってから、今の音楽的なアプローチに近づいてきました。

――亀本さんは、松尾さんと組むにあたって、彼女の音楽性に寄せられた部分もあった?

亀本:最初はレミさんが聴く音楽に対して「そういうの興味ない」ってずっと言ってたんですけど…。高校生の頃には「ビートルズも聴け、歴史を辿れ!」と電話で口論になったこともありました(笑)。幸いにもアーカイブはレミさんの家に資料館レベルであったので、その後はしっかりと活用させてもらいました。ただ、リアルタイムで更新されているものは、自分でアンテナを張っていないと逃してしまうので、その感覚も重要視しています。大学生になってからは、海外のインディーミュージシャンが配信している演奏動画を観たりしていました。

松尾:そんな彼と常に一緒にバンド活動をしているので、新しい音楽を見つけたら、逐一情報共有していたんです。だからどちらかがどちらかに寄せられた、影響されたというよりは、“互いに成長していった”というほうが正しいのかもしれません。アートやファッションも感覚的に常に共有することによって、音にも「この曲は何色でこういうイメージ」と言ってもポンと返してくれるコミュニケーションができるので重要だと思っていますし、だからこそ色んな物を共有しています。

――亀本さんは松尾さんの世界観をどういうふうに汲みとっていますか。

亀本:レミさんが「こんな感じの世界観だから、こうしてくれ」と指示して動くだけなら、もっとうまい人はたくさんいると思います。だからこそ、曲の雰囲気や世界観を自分がどう感じるかを自分なりに表現するし、色んなものを共有しつつ、一人の別の感覚を持った人間として、プラスアルファのエッセンスを出せるように心掛けています。

――洋楽をルーツに持っている2人が、なぜあえて日本語ロックをやろうと思ったのでしょうか?

松尾:「日本人なので日本語で表現したい」という思いと、自分たちの音楽を世界に発信するにあたって、洋楽が好きだからってそっち寄りにしてしまったとき、私なら「じゃあ元々向こうで出てきている海外アーティストを聴くよ」って思うんです。だから海外の人に出来ないこと、つまり日本のエッセンスを打ち出していかなければいけないし、そのうえで、世界に通用するロックサウンドやワールドワイドなリズム、今の日本で流行しているものと関係ない文脈を合体させるようにはしています。

――では将来的には世界へ進出することも視野に入れている?

松尾:一番大きいことを掲げると、日本語で世界のロックに挑戦して、ワールドワイドでメジャーなものになっていきたいです。たとえば欧州では日本のビジュアル系が流行ったり、クールジャパン的なものが盛り上がっていますが、それは局地的なものだったりするわけで。もちろんそれはいいことなのですが、本当の意味で世界的なブレイクをしたい。でも、それを成し遂げるためには、まず日本を制することが先だと思うので、今のポップシーンにはないヘビーなサウンドで、「こういう音もメジャーになれるんだぜ」ということを証明したいです。

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