NEWS、“攻め”の新シングルでチャート1位に その驚きの音楽的仕掛けとは?

 そういう「なんだこれ?」と耳を引くフックに満ちたAメロに続いて、楽曲はBメロで展開。ここからはJ-POP的な、つまりは西欧音階をもとにしたコード進行が使われている。コード進行はなくインド音階をもとにしたメロディとリズムで構成されているAメロ(そもそもインド音楽にコード進行という概念はない)に対して、Bメロはまったく別の土台から組み立てられているのだ。

 そしてサビの「♪チュムチュムINDIA〜」は王道のコード進行、直球でキャッチーなメロディという、まさに正統派のアイドル・ポップとなっている。このパートの音楽的な構造はもはやJ-POPそのものなんだけれど、ただ、ここでもAメロで使われていたタブラやシタールの音色がそのまま使われているがゆえに、「インド風」の味付けだけが残っている。

 ちょっと専門的な音楽用語を使いすぎたけれど、わかりやすく言えば「一口目はスパイスの効いた本場のインドカレー、でも食べ進めていくうちにいつのまにか日本のカレーライスになっている」というのが、この『チュムチュム』に込められた音楽的な仕掛けなのである。

 この『チュムチュム』を手掛けたのは、作詞・MOZZA、作曲・TAKA3、編曲・CHOKKAKUというチーム。ここ最近のNEWSの楽曲を多く手がけている作家陣だ。常識はずれでありつつ不思議な中毒性もあるというこの曲の背景には、グループとクリエイターチームの信頼関係もあるのかもしれない。カップリング「日はまた昇る」もなかなかの好曲に仕上がっている。

 和風EDMに挑戦した前作シングル『KAGUYA』に続き、オリエンタルな方向性で「攻め」の姿勢を崩さないNEWS。この「チュムチュム」は彼らにとっても代表曲の一つになりそうな予感がする。

■柴 那典
1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」Twitter

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