モーモールルギャバンが明かす活動休止の真実、そして迷いからの脱却「音楽がスポーツになってしまっていた」

「ちゃんと歌うことが音楽だと改めて実感しました」(ゲイリー)

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ゲイリー・ビッチェ

――今回の作品制作にあたり、3人は上京してきたわけですが、そのことが作品に影響している部分はありますか。

ゲイリー:デモがひと通り完成したタイミングで上京して、アレンジ作業とレコーディングは東京で行いました。影響は……個人的にはあまりないかもしれません。

ユコ:私はあるかも。関西にいた時は実家だったので、環境の変化も大きかったし、なによりそれがリフレッシュのひとつになった。「次の作品で自分の持ち味を出せなかったとか言ったら許さないぞ」というくらい自分を律していたので。

ゲイリー:ぶっちゃけると、休止前はユコ=カティとT-マルガリータにとって音楽はお仕事に、僕にとって音楽はスポーツになってしまっていましたから。今回のアルバムを通じて、音楽が音楽であることを取り戻しました。

ユコ:私もロジカルに考え過ぎて、音楽のどの辺が好きだったのかよくわからなくなって。活動休止してもライブには全然行けなくて、唯一行ったのが『SUMMER SONIC 2014』のQUEEN。その時は涙が止まりませんでしたし、「音楽が好きなんだ」という感覚をパンっと取り戻しました。

ゲイリー:僕も同じくQUEENのライブが大きかった。そもそも休止後はずっと音楽を聴けていなかったんですが、街の雑踏でイヤフォンをしてQUEENを聴き始めたら、涙が止まらなくなりました。「ヤバい恥ずかしい、帰ろう」と思って、すぐ家へ引き返すくらい泣いたんですけど、結果としてサマソニまで足を運んで、ライブもちゃんと観ました。人のライブを観てあんなに嗚咽混じりで泣いたのは、後にも先にもあれっきりでしたね。その後は気軽にcinema staffとか、友達のライブを観に行けるようになりました。

――それぞれが「音楽と向き合った」結果として、先日の復活ライブなどにはどのような影響がありましたか?

ゲイリー:さっきの「音楽がスポーツになってしまった」というのは、僕にとってはライブの盛り上がりがまさにそうで。ドラムも原曲よりアッパーで、煽るぐらいの方がライブでは盛り上がるし、お客さんもどんどんテンション上がっていくので、それに頼った方法論で進んできましたが、そこに対して「違うだろ」と思う自分もいました。「ドン、ダン、ドン、ドン」としっかり踏み込んで、体に響くドラムを叩きながらも、ちゃんと歌うことが音楽だと改めて実感しました。ライブで焦ってBPMが上がったりすると「落ち着け落ち着け、違うだろ、音楽ってそういうものじゃないだろ」と別の自分が話しかけてくれるようになって、いわば新しい視点が生まれた感じです。

――「音楽のスポーツ化」という問題は、ゲイリーさん個人ではなくシーン全体の抱える課題でもあるような気がします。

ゲイリー:やはり「盛り上がることに特化している」のかなという。それが音楽的な盛り上がりであればいいのですが、音楽がお客さんを煽って乗せて、コールさせるためのツールに成り下がっていることに関しては、自分たちにその責任の一端があると思うくらいに反省はしています。我々が出てきたことで「モーモールルギャバンがそれをやるなら、オレたち若手はそれの上を行かないと……」と思わせてしまった部分もあるでしょうし。ちゃんと音楽を大事にしないと、あの世に行ってしまった世界のレジェンドに申し訳が立たない、という気持ちで最近は演奏しています。

ユコ:「ここに音楽がないと意味はない」という思いはずっとあったのですが、それを上手いこと消化できないままステージにいて。だからライブが終わった後、変な疲れ方をしていました。それが次第にデフォルトになって、自分の中で敏感だった部分が鈍感になっていったりする感覚がありました。レコーディングの時から聴こえ方は全然違ったんですけど、復活ライブは初めて3人で演奏したときの感覚に近かったです。その感覚は自分の中では健全だなと思えるもので、いいモチベーションになっていて、ライブに対する姿勢は大きく変わりました。

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