B'z、大御所らしいシングルでチャート1位に その手堅い手法と音楽性を読む

 そんなわけで、B'zとしては逆に肩の力を抜いちゃって、シングルリリースのペースも落ちているように思います。とはいえ、力を抜いても手を抜いているわけではなく、今回のシングルもまずはメジャーリーグから黒田博樹広島東洋カープへと帰還した黒田博樹投手のテーマソングという話題性バッチリの仕掛けがリリースの何ヶ月も前から準備されておりましたし、商品としても1曲入り&DVDにして値段を下げるという、90年代に培われた手法でもって購買欲を高めています。その結果、売り上げは手堅く15.7万枚。前述のようにライバルはまゆゆさんなわけですし、彼女が過去最高の12万枚を売ったとしても、この枚数は超えられませんでした。さすがB'z、伝家の宝刀というところです。

 曲としては最近のB'zの傾向なのか、率直な70年代ロック路線が取られているようです。スタジアムでかかるテーマ曲ということで曲の構成も含めてクライアントサイドの要求に手堅く応えるB'zらしさが出ていると言えましょう。期待感を煽るビート感も同様なのですが、しかしそれでもハードロック/メタル的な派手さなどは控えめで、むしろタイトな印象。こういうところも含めての肩の力の抜けた大御所らしさがあると言ったところでしょうか。

■さやわか
ライター、物語評論家。『クイック・ジャパン』『ユリイカ』などで執筆。『朝日新聞』『ゲームラボ』などで連載中。単著に『僕たちのゲーム史』『AKB商法とは何だったのか』がある。Twitter

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「チャート一刀両断!」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる