セカオワ、海外展開へ向けた動きが明らかに 著名プロデューサーや<PC Music>とのコラボを分析

 そして、『ANTI-HERO』にカップリング曲として収録される「ムーンライトステーション remixed by Dux Content from London」では、インターネットを中心に話題を集めているロンドンのクリエイター集団<PC Music>の主宰である、A. G. CookとDanny L Harleによるプロデューサー・デュオ「Dux Content」がリミックスを手掛けている。最近では、安室奈美恵が6月10日発売のアルバム『_genic』で、同じく<PC Music>所属のプロデューサー・SOPHIEを起用するなど、日本のメジャーアーティストによる<PC Music>界隈とのタッグが続いている。

「海外ではカニエ・ウェストやビョークがArcaなどを起用して話題を呼んでいるように、今のセカオワや安室奈美恵がカッティング・エッジなプロデューサーを迎えているということだと思います。ネットレーベルを拠点に活躍する海外のプロデューサーの中には日本のキャラクター音楽やゲーム、アニメに強い興味を持っている作り手も多く、今回の起用が新たな交流に結びつく可能性は高そうです」

 また、同氏は今回のコラボがもたらす可能性について、海外クリエイタ―にも影響を与えるのではと指摘した。

「Fukaseがkz(livetune)の楽曲に参加するなど、セカオワとトラックメイカー勢の交流は以前よりあったので、今回の起用にそこまで疑問を抱くリスナーはいないと思います。それに、日本で最大級のポップ・バンドになったといえるセカオワが遊び心を表現しつつ、振り幅の広さを見せていることにも注目です。日本の音楽の作り手は『アメリカやイギリスのポップミュージックをどう輸入してローカライズするか』という発想になりがちだが、ボカロやアニソン、アイドルやV系など日本にオリジンのあるゼロ年代以降の音楽が海外へ輸出され、海の向こうのクリエイターに影響を与えているという事実もある。セカオワの海外進出にも期待は高まります」

 前作『Tree』も58万枚のセールスを突破し、ますます勢いに乗るセカオワ。世界展開を見据えた彼らの動きは、今後の音楽シーンを考える上でもカギとなりそうだ。

(文=編集部)

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