映画『ソレダケ / that’s it』爆音上映会が開催 初日舞台挨拶で石井岳龍監督、染谷将太らが登壇

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 石井岳龍監督の最新作『ソレダケ / that's it』の爆音上映会が5月27日(水)に渋谷TSUTAYA O-EASTで行なわれた。

全国の劇場公開に先駆けて同作の世界初上映となったこのイベントは、劇中の音楽を担ったbloodthirsty butchers(以下、ブッチャーズ)のリーダー、吉村秀樹の三回忌にあたる日に開催。ブッチャーズの主戦場だったライブハウスで音楽のライブさながらに爆音で上映したいという制作スタッフの意向で実現した。平日の夕方開催にも関わらず、会場には限定300名の観客が“邦画界の革命児”の最新作をいち早く観ようと会場に集まっていた。

 上映前には、石井岳龍監督、主演キャストの染谷将太、水野絵梨奈、渋川清彦、村上淳が舞台挨拶で登壇。MCは生前の吉村秀樹と親交のあった日高央(THE STARBEMS、ex.BEAT CRUSADERS)が担当。日高は登壇者呼び込みの前に、「死してなおこんな映画を生み出させる吉村秀樹、恐るべし」とバンド界の偉大な先輩を褒め称えた。

 そもそもの映画企画を石井監督にオファーした吉村が制作途中に急逝するなど、幾多の困難を乗り越えて公開初日を迎えたことを受け、石井監督は「スタッフもキャストも大変頑張ってくれて、とてもいい仕事ができた。今の気持ちはとても一言では言い表せられない。ようやく皆さんに観てもらえて嬉しい」と感慨深げに語った。また、若いホームレスである主人公の大黒砂真男〈ダイコクサマオ〉を演じた染谷将太は「3年前に監督から持ちかけられた企画は全然違ったが、吉村さんが亡くなったことで中断した企画を石井監督が練り直し、とても力強い形として昇華させた。本当に凄い映画」と実に3年半もの期間を経て完成に漕ぎつけた石井監督の力量を絶賛。

 染谷と同じくアンダーグラウンドで生きる風俗嬢・南無阿弥〈ナンムアミ〉役に体当たりで挑んだ水野絵梨奈(監督から傑出した身体能力を高く評価された)は、撮影中の印象に残ったエピソードとして、いろいろと重いものを担ぎながら地上40メートルくらいの螺旋階段を駆け下りた話を挙げた。「高所恐怖症なので、なかなかカットがかからずに凄く怖かった」という。

 役作りに際して、染谷は石井監督から「とにかく体力をつけてほしい。酷暑の時期に全力疾走するから」と宣告されたそうだが、染谷と同じく本作の冒頭で全力疾走する裏社会の調達屋・恵比寿大吉〈ヱビスダイキチ〉を演じた渋川清彦は、体力作りに関して特に何もしなかったとのこと。「その代わり、普段エスカレーターを使わずに二段上がりで階段を使った」と話した。また、ダークサイドに生きるアウトロー・猪神楽彦〈イノガミラクヒコ〉を演じた村上淳は「役的に低カロリーな男なので体力作りはしなかった」と語り、村上の役を「究極の省エネ男」と述べた石井監督は村上の怪演ぶり、特に登場のシーンに是非注目してほしいと一言。

 拷問や銃撃の大乱闘といった殺伐としたシーンの多い本作だが、村上によると現場はそれに反して和気藹々としていたといい、「監督は非常にジェントルな方で、理不尽なことで怒ることもない。今日はこの場にいない綾野剛も非常に和やかな雰囲気のなか演じていた」と意外なエピソードを披露した。

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 『ソレダケ / that's it』は石井監督にとって『ELECTRIC DRAGON 80000V』以来実に14年ぶりのロック映画ということもあり、映画の公開を記念して“ロック鏡開き”を敢行。石井監督の「せーの、ロックンロール!」という掛け声と共に、木槌に見立てたエレキギターをキャスト陣が一斉に振り下ろし、樽酒の蓋を勢いよく割った。

 最後に、登壇者を代表して染谷が挨拶。「こうして爆音上映という形で公開できる環境はこの映画にとって凄く幸せだと思う。まさに映画館で観てほしい映画。人と人がぶつかり合うエネルギーをもらえる作品です」とアピールして締め括り、これから作品を鑑賞する観客から拍手喝采を浴びた。

 映画『ソレダケ / that's it』は、5月30日(土)から全国の劇場で本格的にロードショー。石井監督は全国の主要劇場でティーチインと舞台挨拶を行なうなど、自らこの絶対の自信作を精力的にアピールしていく。詳しくは公式サイト(http://soredake.jp/)をご参照いただきたい。

■『ソレダケ / that’s it』
出演:染谷将太、水野絵梨奈、渋川清彦、村上淳/綾野剛
監督:石井岳龍 楽曲:bloodthirsty butchers 脚本:いながききよたか 製作:『ソレダケ / that’s it』製作委員会
配給:ライブ・ビューイング・ジャパン 公式HP:soredake.jp
2015年/日本/カラー/1:1.85/3ch/110分 © 2015 soredake film partners. All Rights Reserved.
5月27日(水)より、シネマート新宿にて公開中。以降、全国順次公開。

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