嵐、新シングル売上げでまたも横綱相撲 時代に対応した音楽性と支持層の厚さを読む

 では、今回の楽曲であります「青空の下、キミのとなり」はどんな曲かと言いますと、冒頭から抑えたEDM感をうまく展開し、シンセ使いやファンカラティーナなどを連想させるギターやパーカッションで80年代っぽさもフォロー。オートチューンなんかも微弱に使ってみせてますし、この地味ながらも「よく耳すまして聴いとけやお前ら」と言いたげなさりげないアピールは玄人筋にも納得の内容ではないでしょうか。

 そしてAメロ、Bメロ、サビという流れがとにかくスムーズでテンポよく、それぞれに方向性が微妙に異なるにもかかわらず、このつなぎっぷりは前山田健一とか今どきの「短時間でジェットコースターのようにめくるめくオモシロ要素を見せる」「飽きさせない」タイプの楽曲に仕上がっていると言っていいかなと思います。そんなわけで一部でダンスがちょっと古くさいのではとか言われていたような気もするわけですが、こと楽曲に関しては今の時代にもきちんと対応しているなあと思うわけであります。しかしこの手の「飽きさせない」曲は今どきはネットでサクッと聴くのに向いているのは当然でありますから、もっとYouTubeなどで公式が爆押ししていってもいいんじゃないかナーと思うのでありますが、遠大な戦略に基づいてコトを進めているであろうジャニーズさんにそこまで望むのは欲張りすぎでありましょうか。

■さやわか
ライター、物語評論家。『クイック・ジャパン』『ユリイカ』などで執筆。『朝日新聞』『ゲームラボ』などで連載中。単著に『僕たちのゲーム史』『AKB商法とは何だったのか』がある。Twitter

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