Gacharic Spinが見せた、唯一無二のエンターテインメント「みんなと作るこのライブが一番好き」

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 『赤裸ライアー/溶けないCANDY』のガチャガチャダンサーズと楽器チームによる、ジャケット別売上げ対決は、楽器チームが勝利を収めた。しかし、2014年に恵比寿LIQUIDROOMのワンマンライブのソールドアウト公約を期に、ライブ要員から正式メンバーとなったガチャガチャダンサーズの1号 まいと2号 ありさは、いまやガチャピンのメンバーとして欠かせない存在だ。時に可愛いらしく、時に激しく、汗ぐっしょりのアスリート並みの運動量で舞う姿は、ライブにおける大きな起爆剤になっている。

 「ソールドアウトできなくてごめんなさい」アンコールでKOGAはそう口火を開いた。何がなんでもこの日をソールドさせることを目標にしてきた。ガチャピンが主催する、選りすぐりのガールズバンドだけを集めた恒例イベント〈JUICY GIRLS〉をはじめ、多くのライブを行ってきたのは、渋谷公会堂の向かいにある、shibuya egg manだった。それゆえ、渋谷公会堂への思い入れは強かっただろう。それは長年彼女たちを応援し続けてきたファンも同じはずだ。「あと76席」だったという。通常であるなら「ソールドアウト」と発表してもよい数字。だが、どんな事でも妥協を許さない熱血リーダー、KOGAの生真面目さはそれを許さなかった。

「レコーディングより、練習より、イベントより、みんなと作るこのライブが一番好き」

 そう語るKOGAの言葉、気持ちを体現するかのような「宝物」を、はなが独唱で歌い始める。〈みんなと過ごす時間は なんでこんなに早く過ぎちゃうのかな〉思わず、会場からも歌声が発せられ、大合唱へと変わって行く。

 「ハッピーに終わらなきゃいけないのに泣きそう」しんみりとした雰囲気を払拭するかのごとく、6月3日リリースの「Don’t Let Me Down」(フジテレビ系TVアニメ『ドラゴンボール改』エンディングテーマ)を披露し、続く5分間1本勝負「WINNER」では、会場が一体となるランニングで渋谷公会堂が揺れ動き、そのまま「GS Gacha2012」のGSダンスで、3時間におよぶ熱狂と爆笑に包まれた夜は幕を閉じた。

 しっかりとした演奏技術と音楽性を持ちつつも、そこにとどまることなく、アイドル性やバラエティ要素をも色濃く打ち出し、見るものを圧倒し、捩じ伏せていく。それが通常のロックバンドでは絶対に見ることのできない、ガチャピンの唯一無二のエンターテインメントなのである。

 この日、ソールドアウト出来なかった悔しさをバネに、秋より始まるワンマンツアー、11月29日のZepp Tokyoに向かって怒濤の快進撃を見せてくれることだろう。

(文=冬将軍)

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