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ハルカトミユキの新作『世界』が体現する、80~90年代半ばまでのイギリス音楽史

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 ヒューマン・リーグ、ユーリズミックス、ハウスマーティンズ、ライド、ファットボーイ・スリム……。ハルカトミユキの新作『世界』を聴いていると、80年代から90年代半ばまでのイギリスの音楽シーンを追体験しているかのようで、とても楽しい。

 まず印象的なのが、ニューウェイヴから派生し、「第二次ブリティッシュ・インヴェイジョン」として80年代に世界中を席巻したシンセポップのムーヴメント、「ニューロマンティック(ニューロマ)」のバンドを彷彿とさせる「tonight」。ミユキがかねてよりフェイヴァリットに挙げていたフォスター・ザ・ピープルのルーツをたどったときに発見したのが、ニューロマを代表するアーティストのひとつであるヒューマン・リーグであり、ミユキは1986年発表の『Crash』に収録されている「Human」をニューロマにはまったきっかけとして挙げている。「tonight」ではヤマハのDX7をはじめとしたアナログシンセの音色を再現したソフトシンセによって、当時の雰囲気が見事に作り上げられている。

 日本でニューロマと言えば、C-C-Bの「Romanticが止まらない」(1985)が思い出されるが、松本隆と筒美京平のコンビによる、日本歌謡史に残る一曲とも言える。また、the telephonesが昨年発表した『SUPER HIGH TENSION!!!』でニューロマに接近したり、こちらも日本のニューロマを代表するバンドSOFT BALLETのメンバーと、その意志を受け継ぐLillies and Remainsの交流が活発になったりと、ここ数年はちょっとしたニューロマ・ブームと言ってもいいのかもしれない。なお、ミユキの現在の髪型は同じくニューロマの代表格、カルチャー・クラブのフロントマンであるボーイ・ジョージを意識したものだとか。

 一方、昨年ハルカがよく聴いていたのは、後にビューティフル・サウスとしてブレイクするポール・ヒートンが在籍し、同じく後にファットボーイ・スリムとしてブレイクするノーマン・クックがベーシストとして参加していたことでも知られるハウスマーティンズで、1987年発表の『The People Who Grinned Themselves to Death』のタイトルトラックが印象に残っているという。ザ・スミスなどにも通じる80年代英国の清廉なギターポップ~ネオアコに、90年代に入って台頭するライドなどのシューゲイザー要素をうっすらと加えた「世界」は、ケツメイシやFUNKY MONKEY BABYS、miwaなどメジャー系のアーティストを数多く手掛けるプロデューサー、NAOKI-Tの参加もあって(「tonight」にも)、素晴らしいポップソングに仕上がっている。シューゲイザーの要素はもともとハルカトミユキの持ち味のひとつだったが、音圧薄めのギターポップ寄りの作風が、近年だとペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハートなども連想させる。

     
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