SEKAI NO OWARI、新アルバムが初週24万枚突破! 驚異的セールスの背景は?

 そして、徹底して自分たち流のファンタジーを見せる『Tree』は、バンド=リアルを歌う、という風潮すら一変させていくのかもしれない。華やかなロックスターは過去のものになり、冴えない普段着(多くは眼鏡着用)で日常を綴るバンドが増えたのは00年代以降だが、その日常に魔法をかけてみよう、と夢の国へ誘ってくれるのがピエロを擁するセカオワだ。「リアリティ、とは今の時代の言葉だ」とは2003年のデヴィッド・ボウイが語った言葉なのだが、あれから10年以上が経って、そろそろ「リアル」の時代は終焉を迎えているのかもしれない。

 こんなふうに多方面で未来を占えるアルバム『Tree』。初動は24万枚強だが、もっともっと伸びるのだろう。50万枚を超えたなら、その時は確実にシーンの何かが変わっているだろう。

■石井恵梨子
1977年石川県生まれ。投稿をきっかけに、97年より音楽雑誌に執筆活動を開始。パンク/ラウドロックを好む傍ら、ヒットチャート観察も趣味。現在「音楽と人」「SPA!」などに寄稿。

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