2014年のハロプロを完全解析! ファンイベント「ハロプロ楽曲大賞」の結果から考察する

MV部門

◆モーニング娘。'14 [道重さゆみ]「シャバダバ ドゥ〜」

 MV部門で1位を獲得したのはモーニング娘。'14 [道重さゆみ]「シャバダバ ドゥ〜」。楽曲のみならずMVの完成度も高く、納得の1位である。

 ハロプロのMV作品は、引きで歌い踊るダンスショット+寄りのクローズアップショットの2種類を組み合わせた作りが基本となっている。メンバーの素材の魅力を最大限に活かすためには、このようなオードソックスな作りが最適解なのかもしれないが、そればかりでは飽きが来てしまう。そんな中で、ちょっとしたアイデアや捻りが加えられた作りのものの方が、楽曲大賞では高評価を得られやすいというところがある。

 今回で言えば、1位の「シャバダバ ドゥ〜」は様々なシチュエーションでの道重のラブリーなショット、タイポグラフィの効果的な使用、さらにメンバーの譜久村聖と飯窪春菜がスポット出演するといった遊び心が高クオリティに繋がっている。また、3位の℃-ute「I miss you」ではカメラのカット切り替えなしの1ショット長回しという手法が取られているし、9位のモーニング娘。'14 [譜久村聖・生田衣梨奈・鞘師里保・鈴木香音・飯窪春菜・石田亜佑美・佐藤優樹・工藤遥・小田さくら]「見返り美人」は、卒業する道重とそれを見送る9人のメンバーという対比が映像で表現されている。

 ただ、MV部門の難しいところは、映像の作りのクオリティやアイデアを重視するのか、それともただ単にメンバーが美しく可愛く撮れているかどうかを重視するか、評価軸が投票者によって異なるところだろう。どちらか一方だけが正解ということはなく、そこは投票者が思った通りに、「良いMVだ」と感じたものに投票すればそれでいいと個人的には考えている。

推しメン部門

 あくまで「楽曲大賞」なので、メインは楽曲部門であり、MV部門などはサブ、さらにいえばこの推しメン部門は「おまけ」と位置づけている。投票参加者の層がどのようなメンバーが好きなのか、ちょっとしたアンケートのような意味合いである。

 とはいえ、その結果が気になってしまうのはやはり人情だろう。楽曲大賞においては、Berryz工房の嗣永桃子が2008年から2013年までの6年連続で1位という記録を作ってきた。それがついに途切れたのが今回の2014年で、1位はモーニング娘。'14の道重さゆみが獲得した。楽曲大賞のレギュレーションにおいて、推しメン部門は「その年のMVPではなく、オールタイム推しメンを投票してください」という注意書きがある。にも関わらず、2014年はグループ卒業で常に注目を浴び続けてきた道重が1位になってしまうのは、いささかしょうがない面もあるだろう。予測としては、あまり推しメンを厳密に考えてない浮動票的な層が今回は道重に投票した、というところもあるかもしれない。

 その他で注目したいのは、4位に佐藤優樹、5位に鈴木香音という2人のモーニング娘。'14のメンバーが入ってきた点。もちろん人気メンバーではあるが、エースとは言えないこの2人がこんな上位に入ってくるのも楽曲大賞投票参加者層の傾向だろう。過去の結果を見てみても、石川梨華、辻希美、紺野あさ美といったメンバーが強かったのがこれまでの推しメン部門である。

*

 ……以上、2014年度のハロプロ楽曲大賞の結果を振り返ってきた。あくまでネット投票によるひとつの指標ではあるが、1年間のハロプロを俯瞰する上では第一級の資料となり得ているのではないだろうか。この面白さをより多くの人々と共有したいと考えているので、本稿でこの企画を初めて知った、興味を持ったという方は、また今年の年末にも開催する予定なので、是非とも投票に参加してほしい。開催後はまた分析記事を寄稿できればな、と思っております。

■ピロスエ
編集およびライター業。企画・編集・選盤した書籍『アイドル楽曲ディスクガイド』(アスペクト)発売中。ファンイベント「ハロプロ楽曲大賞」「アイドル楽曲大賞」も主宰。Twitter

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