東海岸には禁欲的な“ストレートエッジ”のパンクスも 現役パンクロッカーが米国各地のシーンを紹介

アメリカ西海岸は、ポートランドやサンフランシスコでパンクが盛ん

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ポートランドのライブはハロウィンの日だったため、本場のハロウィン仮装の客が沢山いた。(右が筆者)

 2006年に廻ったアメリカツアーは、現在アメリカパンク、D.I.Yシーンで絶大な人気を誇るTRAGEDYと日本のWARHEADとのツアーだった。どの場所でも大勢の客が押し寄せ、TRAGEDYのアメリカでの人気の凄さを肌で感じた。TRAGEDYの住んでいる西海岸の北部にあるオレゴン州ポートランドはパンクの盛んな街で、古くはWipersから、現在でも活動しているアメリカハードコアの代表と言っても過言ではないPoison Ideaのほか、WarCry、DIFIANCE、HELL SHOCK、LEBENDEN TOTEN、CRIMINAL DAMAGE、今回のツアーを一緒に廻ったLong Knifeなど、現在でもアメリカシーンの中心を担うバンドが沢山いる。アメリカでは珍しく年齢層の高いパンクバンドも多く、10年前に初めてアメリカツアーをやった時から現在に至るまで、常にサポートをしてくれる素晴らしいパンクスの集まるシーンだ。

 西海岸でいうとカリフォルニア州サンフランシスコ周辺もパンクシーンが盛んだ。古くはDead Kennedysがいて、その後も多数のパンクバンドを輩出している。世界で一番有名なパンクマガジン『MAXIMUM ROCKNROLL』の出版社もサンフランシスコにあり、隣街のオークランドには現在でも続く老舗ライブハウスGILMANがあり、アメリカパンクシーンを語るうえで欠かせない街だ。GILMANはボランティアで運営されており、禁酒禁煙でライブは全てオールエイジショー。ここでは80年代の著名アメリカンハードコアバンドも多数ライブを行っているほか、日本からツアーでサンフランシスコに行ったバンドも多くのライブを行っている有名なライブハウスだ。

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ロサンゼルスのライブハウスの看板。アメリカ的でこうやって名前が書かれていると気分も盛り上がる。

 筆者のバンドのレコードリリースの多くも、サンフランシスコのPRANK RECORDSがやってくれており、2012年のアメリカツアーではサンフランシスコとオークランドのメンバーでやっているバンドNo Statikとともに、テキサスからサンフランシスコまでを廻った。サンフランシスコはアメリカの中でも大きなパンクシーンがあり、多数のバンドや客もいるので、アメリカの西海岸でツアーやライブをやる場合には必ず寄ることになるだろう。

 カリフォルニア州ロスアンゼルス周辺は、かつてGermsやBlack Flagなどのアメリカを代表するバンドの本拠地だった。メキシカンが多いのでライブにはメキシカン・パンクスが大勢やって来て、盛り上がるのも特徴だ。ロスアンゼルス以南でも同様にメキシカンが多いため、現在ではメキシカン・パンクスが客層やバンドの中心となってシーンが成り立っているように見受けられる。

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