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前田敦子と生駒里奈、トミタ栞の共通点は? 気鋭の作家が手がける女性ソロアーティストの実力を探る

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 現在『saku saku』(テレビ神奈川系)のMCとして活躍中のトミタ栞が、4thシングル『だめだめだ』のダウンロード販売を12月3日より開始した(CDの発売は12月10日)。今回はライターで話題の書『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う』(青弓社ライブラリー)の著者でもある香月孝史氏が、これまでトミタ栞にプロデューサーという立場から携わり、最新作でも表題曲を手掛ける大塚愛と、1stシングルから楽曲を提供し続ける音楽作家・若田部誠の2人にスポットを当てて分析。それぞれの楽曲が彼女の魅力をどう引き出そうとしているのかを検証したうえで、トミタ栞が持つ可能性について言及してもらった。(編集部)

トミタ栞 『♪ だめだめだ(ディレクターズカットver.)+TV SPOT(アカペラver.)』

 トミタ栞の4thシングル『だめだめだ』が12月10日にリリースされる。3rdシングル表題曲「だめだめだ」は、前作の明るいキャッチーさとは対照的なクールなナンバー。「HAPPY AND HAPPY」に引き続いて大塚愛がプロデュースを務め、詞曲を手がけている。大塚愛は過去(2006年)に鈴木亜美に曲を提供したことはあるが、今回のトミタ栞に関しては自身初の詞、曲提供に加えて楽曲のプロデュースも手掛けている。ワンカットで歌い上げる彼女の姿が印象的なMVとともに、シリアスなトーンを強めた今作は、シンガー・トミタ栞の新たな表現の幅を見せる作品になっている。

 一方、トミタ栞自身が作詞したカップリング曲の「めぐりめぐる」は、これまでも彼女の楽曲に参加してきた若田部誠が作曲を担当し、デビュー以来、彼女が見せてきたポップさと切なさを受け継ぐ一曲になっている。作曲の若田部はトミタの1stシングル「線香花火」で作詞作曲を手がけ、前作「HAPPY AND HAPPY」のカップリング曲でトミタ作詞の「みなとみらい」でも作曲を担当している。ここまで、トミタ栞作品を彩る重要な役割を担っている作曲家といえるだろう。また若田部は、AKB48の『希望的リフレイン』に収録されたTeam8のオリジナル曲「制服の羽根」の作曲・編曲を担当するなど48系の楽曲への参加も多く、AKB48のファンに馴染みの深い人物でもある。

 若田部誠は48系との関わりの中でとりわけ、若手女性シンガーの印象的なソロ楽曲を世に送り出してきた。その代表といえるのが、前田敦子のソロデビューシングル曲「Flower」と、乃木坂46の生駒里奈初のソロ曲になった「水玉模様」(乃木坂46の2ndシングル『おいでシャンプー』に収録)だろう。いずれも、まだソロの歌い手としてはキャリア最初期となる彼女たちの、初々しさと切なさが混ざり合う楽曲になっていて、グループアイドルの中にあって特異な存在感を示す前田や生駒の奥行きを引き出している。トミタ栞作品でも、若田部自身が作詞も担当する「線香花火」などその系譜に連なる楽曲を制作し、そこにトミタのパーソナリティがフィットして、ポップな仕上がりになっている。前田や生駒の場合、集団からやや浮き上がったような個性が重みのある武器になっているのに対して、トミタには彼女たちがあらかじめ持っているような不穏さや影はない。そのぶん、陽性のキャラクターがまさるため、「線香花火」や今作の「めぐりめぐる」といった感傷的な情景描写が目立つ若田部楽曲においても、ポジティブさが宿っているように聴こえてくるのだ。トミタ栞作品に若田部が継続的に関わる中で引き出されようとしているのは、今の彼女にはまだ乏しい、切なさを含んだ情景描写を表現する力ではないだろうか。その表現力がしっかりと身に付いたとき、トミタ栞が本来持つ明るさと相まって、前田や生駒のような、独特なバランス感を持つアーティストになっていくのだろう。そういった意味で、若田部が提供するこれらの楽曲群が、シンガーとしてのトミタ栞の基調を形成する重要な役割を果たしていることは間違いない。

     
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