山崎あおいが歌おうとする“感情”とは?「深くえぐるっていうよりは、かすり傷を残していく」

141118_ya_1.jpg

 

「来年は山崎あおいとして呼ばれたいって目標もできた」

――「ふたりで歩けば」にもありましたが、今回の作品には学生生活も色濃く映り込んでいると思いますか。

山崎:そうですね。大学生になって、社会に出ていく人を身近で見て感じたことだったりとか。あとは、北海道から東京に出てきていろんな人に出会ったり、その中で感じる孤独、地元の友達に対する気持ちだったり、その時その時の自分を書いているんじゃないかなって思います。

――山崎さんの場合、大学の友達よりも一足先に社会人デビューしている状態でもありますよね。学生である自分と歌っている自分とのバランスはとっているんですか。

山崎:大学ではほんとに、大学生っていう感じで。むしろ超地味なんですよ、学校で(笑)。学校に行っても、誰とも一言も交わさずに帰ってくることも結構あったりして。でもあまり、学校の友達と比べて自分が一足先に社会に出ている感じはしなくて。わたしは好きなことをやって、曲を書いて、歌ってっていう、仕事っていう感じではないじゃないですか。それよりは一生懸命アルバイトしているほうがたぶん、上司からの圧力に耐えるとか(笑)。そういうことを経験してるんじゃないかなって。

――でも好きなことをやるからこそのプレッシャーは相当のあるじゃないですか。

山崎:そういう意味ではあるかもしれないですけど。でも、あと2年もすれば友達たちがどんどん追い抜いていくんじゃないかなって気持ちもありますね。わたしはもう、これを頑張るっていう感じじゃないですか。でも友達はまだ夢と希望にあふれていて、何でもできる――わたしも何でもできるんですけど。すごい悲しい気持ちになるんですよね、友達と将来の話をしてると。

――なんでまた(笑)。

山崎:わたしはどれだけ頑張ってもシンガー・ソングライター山崎あおいっていうところから何か肩書きが増えることはないけど、友達は部長になったり、社長になったりできるじゃないですか(笑)。羨ましいなって。

スタッフ:じゃあ、課長にしてあげるよ(笑)。

山崎:課長(笑)!

――いいですね(笑)。今、同年代のシンガー・ソングライター同士、“ギター女子”という括りで一緒に活動することも増えていますよね。こういう状況は刺激にはなっているんですか。

山崎:そうですね。まあでも、たぶんわたしも含めてお互いがお互いに無関心なところがあるんじゃないかなと思っていて(笑)。ギタ女同士でバチバチとライバル心があるということもないし、かといってみんな集まってライブしようぜ!みたいなノリもないし。お互いがお互い、「あ、ギタ女ですねわたしたち」くらいな雰囲気があるんじゃないかなって。

――一緒に頑張っていこう!っていう関係でもないんだ。

山崎:そういうテンションを持っている人たちだったら、たぶんみんなバンドをやってると思うんですよね(笑)。ひとりで、マイペースで曲を書いてやっていたいっていう性格の人が、ギターを持って歌う感じだと思うので。そこは、そういうものなのかなあと思ってます。

141118_ya_2.jpg

 

――“ギター女子”っていうのは、さっき言っていた肩書みたいなものですよね。それは、言われてどうなんですか。

山崎:そうか、っていう感じですね。何々系女子みたいな括りはたくさんありますけど、ギター女子ってその中でもめちゃくちゃ広い括りじゃないかなと思っていて。女子か男子かで言えば女子に分類される子たちが、ギターという楽器を持てばみんなギター女子で。自分はカテゴライズされたくないとか、逆にギター女子に入りたいって気持ちはないんです。

――そこまで堅苦しさを感じたり、活動を狭めてしまっているわけではないんですね。

山崎:逆に広げてくれたんじゃないかなと思っていて。今年の夏は、ギタ女という括りで憧れていたROCK IN JAPAN FES.のステージに立つ経験をさせてもらったので。山崎あおいという名前だったらまだ早かったかもしれない経験を、ギタ女っていう枠でさせていただいて。それでまた、来年は山崎あおいとして呼ばれたいって目標もできたので。そういう入り口としては、ありがたいところだなと思います。

――同年代だからいろんな話をしたり、意識してるのかなと思ってました。

山崎:個人的には仲良くなりたいところもあるんですけどね。でも、みんな人見知りなので難しいんです(笑)。でもイベントで会ったら積極的に話しかけるとか、連絡先だけは聴いておこうっていうのはあります。11月に住岡梨奈さんと2マン・ツアーをするんですけど、ライブに向けてLINEしたりとか(笑)。あとは、井手綾香ちゃんと遊んだりとか、ですかね。井手ちゃんは社交的なんですけど、相手が社交的ならそこにペコペコついていくみたいな感じで(笑)。人見知り同士だとなかなかつらいものがありますね。

――小さい頃からそんな感じですか?

山崎:小さい頃はわりと何でも言えたんですよ。小学生の頃はほんとに活発で。手を上げた回数を正の字で書いていったらクラスでナンバー1みたいな子だったんですけど。思春期を迎えたあたりからちょっとおかしくなって(笑)。ある日、「自分、心の中で独り言いいすぎじゃないかな」って思って。その最悪なタイミングでギターに出会ってしまいました(笑)。

(取材・文=吉羽さおり/撮影=下屋敷和文)

■リリース情報
『ふたりで歩けば』
発売:2014年11月19日
価格:初回限定盤 ¥1,700(税抜)
   通常盤 ¥1,200(税抜)
<CD収録内容 初回限定盤、通常盤共通>
1. ふたりで歩けば
2. サヨナラ
3. マスク
4. ふたりで歩けば (Instrumental)
5. サヨナラ (Instrumental)
6. マスク (Instrumental)
<初回限定盤のみ>
(DVD)
「ふたりで歩けば」(ミュージックビデオ&メイキング)
バースデイライブ 「AOI SUMMER CAMP 2014」 Live at 札幌cube garden 2014.8.29
「スクランブル」「カランコロン」「恋の予感」「深呼吸」「花火のあと」

■ライブ情報
『住岡梨奈×山崎あおい ACOUSTIC LIVE 2014秋 「one×one」』
11月13日(木) 札幌KRAPS HALL
11月24日(祝・月) 東京キネマ倶楽部
11月26日(水) 梅田AKASO
11月30日(日) 名古屋CLUB QUATTRO

『2ndワンマンライブツアー』
3月4日(水) 宮城・仙台 LIVE HOUSE enn 2nd 
3月9日(月) 東京・TSUTAYA O-EAST 
3月11日(水) 大阪・CLUB QUATTRO UMEDA
3月12日(木) 愛知・NAGOYA CLUB QUATTRO
3月14日(土) 福岡・イムズホール 
3月20日(金) 北海道・Zepp Sapporo

■オフィシャルHP
http://yamazakiaoi.jp/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる