オープンなももクロ&しゃちほこに、ハイタテキなエビ中!? “スタダ三姉妹”の棲み分けを解説

 一直線に上を目指す長女、三女に挟まれて正反対の性格付けをされているのが私立恵比寿中学だ。現在のメンバーは8人で最も多かったときは13人、リーダーもセンターも置かず、オリジナルのメンバーで残っているのは真山りか一人だけ。メンバーもファンも「永遠に中学生」という設定で、個々のキャラよりもモラトリアム的な空間での群像劇で見せていく。最新シングル「ハイタテキ!」はそこにかけたわけではないだろうが、オープンな性格の長女、三女に比べると内向的で人見知り、ガツガツと新規のファンを獲りに行くよりも、オープンスペースでのリリースイベントや握手会など、距離感の近いイベントを残しつつ、既存のファンコミュニティ、ファミリーを大切にした運営が特徴でもある。今春、メジャーデビュー後初めてメンバー3人が転校し、小林歌穂、中山莉子の2人が加入。メンバー的にもパフォーマンス的にもリセットされたことで、11月3日の横浜アリーナ公演はさすがに即完売とはならなかったが、持久戦型のグループだけに。ここからまたじわじわと、しかし確実に人気を上げてくることだろう。

 すでに武道館クラスまで成長した三姉妹に加え、大阪にはまだインディーズながら日本青年館ライブを完売させているたこやきレインボーが控えており、次は九州方面で新たなグループを準備しているという話もある。スターダスト芸能3部のアイドルグループは、個々のグループももちろん魅力的だが、同時にコンセプトの共有と差異化、ノウハウの蓄積とグループごとの棲み分け、そのバランスが絶妙に組み合わされることで、ファミリーとしての魅力をより一層強固なものにしている。

■岡田康宏
編集者、ライター、カメラマン、評論家、コラムニスト、WEBプロデューサ。得意分野はサッカーとアイドル。著書・共著に『アイドルのいる暮らし』『サッカー馬鹿につける薬』『グループアイドル進化論』など。Twitter:@supportista

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