TAMTAMが最新作で打ち立てた“音楽的な自由”とは?「今のダブ・バンドとしてどこまでやれるか」

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「ダブってよくわからないけどこういうのかなあ、とか思ってもらえればいいと思う」(Kuro)

――歌ものはもともとやりたかったんですか。

Kuro:最初はこだわってなかったです。ダブ・バンドってぐらいで。

Affee:もともとドラヘビ(Dry & Heavy)みたいなレゲエ/ダブ・バンドはかっこいいよねってことでやってたんですけど、Yuthkeさんはポスト・ロックが好きで。

――Junetさんは、どんな音楽を聴いていたんですか。

Junet:テクノですね。それぞれの音楽性をどんどん入れていくうちにレゲエっていうよりはダブの要素が強くなってきたんだと思います。

Affee:それでKuroちゃんのトランペットで繋ぐより歌で繋いだほうがかっこいいかなと。

――歌で繋ぐ?

Affee:ダブとKuroちゃんの歌を中心に、なんとなくみんなのやりたいことが固まってきたかなといいうのがあって。みんなに届ける際には歌の方が伝わりやすいし。みんなポップなものは好きなんですけど、そのポップさとダブの持つアンダーグラウンドなノリをどうやって合わせるかという時に、歌は重要になってきてるかなと思うようになったんです。

――そういう方向に舵を切るとき、参考にしたバンドとかいますか。

Affee:僕は…ダーティ・プロジェクターズが個人的には大きかったんですけど。ダブステップでもジェイムス・ブレイクとかSBTRKTとか、歌ものっぽい人たちも出てきたんですね。ヘンテコなことをやってて、なおかつポップなバンドがちょうど出てきた。コアなこととポップなものは対立しない。だけどポップな装いにしたら、コアなことは伝わるんだなって。ジェイムス・ブレイクを聴いてもセルアウトだとはまったく思わなかったし。ダブステップでかつ歌ものっていうスタイルがぴったり合ってたと思う。そういう打ち出し方ってあるんだなと思って。

――自分たちがコアなことをやってるって自覚があったんですか。

Kuro:ダブ・バンドということを標榜すると…すごい異端というか、「変わった人キター」みたいな。そっちの人か−、みたいな反応がある。ロック・バンド系のイベントとかだと、なんとなく変わり者扱いされてるかなって感じるときはありますね。一緒にブッキングされるバンドも、ちょっと変わったのが多くて。マスが聴いてる感じのロック・バンドとはブッキングされたことがない(笑)。でも最近はそういう場にでることも増えてきて。そういう人にも聴いてもらえて、ダブってよくわからないけどこういうのかなあ、とか思ってもらえればいいと思うけど。

――はっきりダブ・バンドとは打ち出していなかったけど、そういうテイストもあったメジャーの歌ものバンドというとフィッシュマンズがいますけど…。

Affee:ああ、そうですよね。

――そこらへんは意識しました?

Affee:フィッシュマンズは…もともとみんなフィッシュマンズのコピーとかやってたんですけど、ただあまり話は出てこなかったですよね、(今作を)作っている時は。

Yuthke:そうだね。フィッシュマンズの存在ってみんなの中で大きなものだから、それに対する畏敬の念というか。同じようなことをやるのも恐縮だ、みたいな。僕はそういう感覚はありますね。

Kuro:(ギターの)カッティングしたときとかちょっとそのテイストがふと出たりとか。

Yuthke:そうだね。

Kuro:フィッシュマンズぽくしようと思わなくてもなんとなく、血となり肉となっちゃってるなあとは思います。

――HAKASE(元フィッシュマンズのキーボード奏者。後にリトル・テンポ)がプロデュースしてましたからね(2012年5月2日にリリースした1stアルバム『meteorite』)。

Kuro:そうなんです。

Affee:でも今思うとTAMTAMは不自然なぐらいフィッシュマンズの話はしないで作ってるかもしれないです。

――ドラヘビの方が。

Affee:ドラヘビのほうが話はよく出てきましたね。

――でもドラヘビともまた違う。Kuroさんのボーカルにすごく特徴があるから、彼女のボーカルを中心に据えるなら、それに応じたサウンド作りをするという考えでしょうか。

Tomomi:歌メロを作るときはレゲエ/ダブとかを完全に頭から排して、彼女のボーカルがどう活きるか、それとトラックのコードをどうするか、それしか考えてなくて。だからある種ポップス的というか歌謡曲みたいなメロになってたりとかするかなあ。

――メロディはTomomiさんが作ってるんですか。

Tomomi:僕とKuroさんの2人で分担して作ってます。

――ボーカリストとして彼女はどういう特徴があると思いますか。

Tomomi:うーん…はっきり言語化したことないけど、どうだろう…攻撃的というよりは可愛らしい部分とか、声のキャラクターとして特徴があるのかなと。元気が出る声というか。癒やすというよりは元気づける。ちょっと前に行く感じの声かなと。囁くように細かく歌うよりも、思い切り張ってエネルギーをぶつけてくれるほうが、今のTAMTAMだったら合うのかな、と。

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