Sexy Zone、新作チャート1位獲得も前作割れ 体制変更へのファンの不満も影響か

 そこへきて、今回のメンバー再編成である。これにはファンも大きな失望を感じて、元通りの5人体制に戻すべく、CD購買のボイコットが呼びかけられたというわけだ。

 実際、3万枚程度の売り上げ減がグループにとってどれだけのダメージになるかはわからない。特にジャニーズ事務所は売り上げ枚数の多寡以上に「1位」という順位にこだわっているので、多少枚数が減ろうとも順位が下がらなければ余裕の構えでいるかもしれない。

 だがこの話で少々興味深いのは、ジャニーズファンが本来の5人体制にこだわったという事実そのものだ。女性アイドルについて考えてみれば、最近は頻繁なメンバーチェンジや人数の増減が行われるのは不思議なことではなく、姉妹グループからメインへのレンタル転籍も当たり前のように行われる。ライブに行ってみたら目当てのメンバーが別の仕事で休んでいれうとか、その代わりに別のメンバーが抜擢されていることも珍しくない。

 そうした女性アイドルの現状と比べると、ジャニーズでは昔からメンバー変更が避けられる傾向にある。むしろ今回のSexy Zoneの新体制は昨今の女性アイドルを真似たのではないかと思わせるほどで、実際のところ歌番組で兄弟グループをしたがえて多人数で歌う姿を見ていると、AKB48やモーニング娘。など多人数の女性アイドルグループを彷彿とさせる。

 だが、いずれにせよそのやり方がジャニーズにおいて珍しいものであるのは間違いない。

 ただ、Sexy Zoneというグループはそもそものコンセプトが大時代の男性アイドルようにドラマティックできらびやかな演出を志向するもので、楽曲やパフォーマンスにもそれは色濃く反映されていた。今回のシングル曲である「男 never give up」もラテンのフレイバーを感じさせつつアッパーに決める、アイドル曲としてはある種のベタさを感じさせるもので、しかしだからこそそうした骨太の表現を好むファンが多くついていた。

 しかし、そういうファンには、今どきの女性アイドルのようにメンバーまでが頻繁に増減するようなラディカルな編成はなかなか受け入れがたいに違いない。ファンの反感や不買運動の背景には、そうした男性アイドルファンのメンタリティが反映しているように思われる。いずれにせよ、公式サイドがこの多人数体制を維持し浸透させていこうとするか、ファンの要求に応じて旧体制を復古させるか、それによって売り上げがどう変わるかが、次回作までの見どころになると言っていいだろう。

■さやわか
ライター、物語評論家。『クイック・ジャパン』『ユリイカ』などで執筆。『朝日新聞』『ゲームラボ』などで連載中。単著に『僕たちのゲーム史』『AKB商法とは何だったのか』『一〇年代文化論』がある。Twitter

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